オリジナル・ストラトス
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第1世界
ねぇ、僕は思うんだ。
この世界はもうどうしようもないくらいに腐ってるって。
希望すらも腐らせてしまうほどに……
だったら、だったらさ。
もう壊しちゃった方がいいんじゃないかな?
だから、僕は……
キミたちも巻き込んで進むよ。
◇◆◇◆◇
「いっけー!ダイコン3号!!」
頭を緑にそれ以外を白く塗装された人型のロボット、ダイコン3号がすむーずに動きながら敵の玉ねぎの形をした戦車、名をタマネギ3号に向かって走り出す。
このまま突撃だー!!
「ふっふっふ。このタマネギ3号に死角はないのさー!」
とたーちゃんが言うとタマネギ3号の皮が剥けてミサイルを放ってきた!!
なんのー!これしきー!
ダイコン3号を人形からダイコンへと変形させて空を飛ぶのじゃー!
ぎゅーんっと空を飛んでミサイルを回避しつつ、タマネギ3号へと向かう。
「くらえー!ダイコーンあたーっく!」
ダイコン3号が回転しつつ、タマネギ3号へと突撃ー!!
火花を散らしながらダイコン3号はタマネギ3号を貫いた!!
やったぁー!!僕の勝ちだぁー!!
「のわーやーらーれーたー」
たーちゃんの声と一緒にタマネギ3号がどかーん!って爆発した。
「あはは!楽しかった!!」
バトルが終ったからたーちゃんの所まで駆けて抱きつく!
あったかぁーい!
「いやぁ、負けちった。
まぁ、ゆーくんが楽しめて束さんもはっぴーだよ。うんうん」
たーちゃんが嬉しそうに笑った。
たーちゃんが笑うと僕もはっぴーだよ!
「ねぇね!たーちゃん、次何して遊ぶー?」
「んーどうしよっかなー?ちょっと街までランデブー?」
「お買いもの!?
じゃあ僕あいすたべたい!」
「らじゃー!10ダースくらい買おっかぁ」
「わーい!」
二人でお買いものの準備をする。
どのあいすにしよーかなー?
ばにらにしよっかな?
それとも限定のだぶるべりーちーずけーきにしよっかな?
お家の鍵を閉めて、いざ出発しんこー!
目的地はでぱーとだ!
あいすいっぱい食べるぞぉ!
「あ、そうだ!
ねぇねっ、たーちゃん?」
たーちゃんと手を繋いで歩いてると、思い出したことがあったからたーちゃんに話しかけた。
「ん?どったの?」
首を傾げて訊いてくる。
「ちーちゃんがIS学園?ってとこにきてだって!」
「うー、ちーちゃんめ、私からゆーくんを奪うのか、束さん激しくじぇらしい」
たーちゃんの口がむぅっ、ってあひるさんみたいになっちゃった。
「んー?IS学園に行くとじぇらしいなの?」
なんでかな?
「まーねー。でもあそこには箒ちゃんも通うみたいだからねぇ」
箒ちゃんと聞いて僕の眉間に皺がよる。
僕は篠ノ乃ちゃんが大っ嫌いなのだ!
「えー、篠ノ之ちゃんいるのかー。
僕、篠ノ之ちゃん嫌い。
たーちゃん嫌ってるから嫌い」
なんなんだよー、たーちゃんのせいじゃないのに逆怨みしちゃってさー!
激おこだよ!ぷんぷんだよっ!
「まぁまぁ、箒ちゃんも苦労したみたいだからねぇ」
たははは、っとたーちゃんが苦笑いする。
たーちゃんは篠ノ之ちゃんを庇うけどやっぱり僕は嫌いだ。
「ぶー、やっぱやめよっかなー。
ちーちゃんに会いたいけど、篠ノ之ちゃんには会いたくないやー」
いくらちーちゃんが居るからって毎日篠ノ乃ちゃんと顔を会わせるのは嫌だしねー。
ちーちゃんに会いたかったら忍び込めばいいしね。にんにん!
篠ノ乃ちゃんの話が出て僕は不機嫌ですよーってほっぺを風船みたいに膨らませる。
でも、たーちゃんにほっぺをツンとつつかれてぷひゅーってもれちゃった。
むぅ。
「いっくんもいるみたいだよ?」
「いーちゃんもいるの!?
じゃー行こっかなー」
ぱぁっと顔を明るくさせる。
そっかー久しぶりにいーちゃんに会えるのか~
だったら行こっかなー
楽しみだな~
「おっけー。ちーちゃんによろしくねん」
「えー。たーちゃんも行こーよー。
たーちゃんいないと寂しいよぅ」
「もー可愛いなー!ゆーくんは!」
ぎゅっと抱き締められる。
えへへ~あったかいなー。
「でも、束さんはやることがあるからねー。残念だけど無理かなぁ」
ぎゅーっとされながら、たーちゃんを見ると申し訳なさそうにしてた。
でも、僕知ってるもん。
「うー、篠ノ之ちゃんの専用機でしょ?」
僕今じぇらしいだよ。
「あれはもう完成してるよん。らぶりーゆーくんのためだよ」
えへへ。篠ノ之ちゃんじゃなくて僕のかー。
たーちゃんの一番は僕だもんね!
篠ノ之ちゃんにはあげないもん!
「えへへぇ。じゃあ、我慢する」
にぱぁっと笑うとたーちゃんも笑ってくれた。
「それじゃ、デパートへゴーだ!」
「ゴー!」
ぐいってばんざぁーい!
たーちゃんは僕を肩車して走る。
えへへぇ。
たのしぃなぁ!
◇◆◇◆◇
「ぶーん!」
僕は廊下をすたたたっと走る。
たーちゃんが言うには廊下は走ってせんせーに怒られるためにあるんだって!
だから僕は今走っているのだ!!
でも、みんなほーむるーむ?ってので教室にいるから誰も怒ってくれないよぅ。
激しくろぅんりっ!
でも、入学式とほーむるーむは遅刻するのが形式美?なんだって!
これもたーちゃんが教えてくれたんだ。
たーちゃん物識りだね!
こーなーをぐるっと曲がって階段を二段跳ばしで上って後は一直線だ!
それで1―1ってくらすにとつげーき!とっこーだー!
「ごめーんなさーい!遅刻しましたー!
あれれ?遅刻したら廊下に立つんだっけ?
じゃー立ってます!」
ピシッと敬礼をしてどあを閉めて廊下に立つ。
えーっと、確かたーちゃんが言うにはあと、何をすればお友達たくさん出来るんだっけ?
うーんと……そうだ!
めろんぱん買ってこいや!われぇ!
と
あんたたちみたいなぐみんに興味はありませんわ!だった気がする!
むふふー僕はちゃんと勉強してきたもんねー
どっちから先に言おうか考えてると、がらららってどあが開いた。
「優貴、中に入ってこい」
あっ、この声は!?
「ちーちゃん!!」
ガバッと飛びかかる!!
すると優しく抱きとめてくれた。
んふー、やっぱりちーちゃんも暖かいねぇ。
「ちーちゃん、ちーちゃん!久しぶりー!」
飛びついたまま、上を見ると困ったような顔をしたちーちゃんが。
んお?どーして困った顔をしてるの?
悩みごと?
はっ、まさかちーちゃんを困らすようなやつがいるんだな!?
そんなやつには僕がおしおきするんだからな!
「優貴、降りてくれ」
残念だけどちーちゃんの頼みだから、僕は降りた。
僕は忠犬も裸足で逃げ出すほど忠実だからね。ぶいぶい!
「優貴、学校では織斑先生と呼べ」
「うー、わかった」
「それと何故遅刻した?」
「たーちゃんが教えてくれたの!
遅刻して廊下に立つのがてんぷれ?なんだって」
「あの馬鹿者が」
あれー?ちーちゃんが眉間に皺をよせてる。
何かダメだったのかな?
「あいつから学校について教えられたことはほとんど間違ってるから忘れろ。いいな?」
「りょーかいしました!」
ピシッとちーちゃんに向けて敬礼!
学校では先生の言うことが絶対なのだ!
「では、中に入って自己紹介してこい」
「うん!」
教室に入ると何故か皆さんポカンとしていた。
あっ、でもいーちゃんは助かった!みたいな目で僕を見てる。
どーしてだろ?分かんないや。
憎き篠ノ之ちゃんは睨み付けてきてる。
無視しとこ。
僕は大人だからね!穏便に済ませられるのだよ。
「はじめまして!僕の名前は新優貴ですっ!
好きなことは食べることと抱きつくことと遊ぶことと宇宙です
よろしくおねーしぁーすっ!」
にぱぁっと笑ってしゅーりょー!
ちゃちゃーっと席につきましょう。
「えっと……男の子……?」
「…………男の娘?」
『それだ!!』
んー?皆騒がしーぞ?
駄目なんだよ。騒がしくしちゃ。せんせーに怒られちゃうんだじぇ?
それに僕だって好きで小さいわけじゃないんだからなー
成長期さんがにーとなのさ!
だから、2年前から変わらずの142センチです……
「ねーねー、織斑せんせー。
席どこー?」
「織斑の横だ」
「りょーかいですっ!」
ピシッと敬礼していーちゃんの横の席、真ん中の最前列に座る。
「いーちゃん、おひさー。
元気だったー?」
んー。中学入学おめでと会以来だったはず。
「おう……あぁ、マジで優貴が来てくれて助かった……」
おうおう、お疲れー。
何かあったのかなー?
「まーがんばっ!
これからよろしくねー」
ふにゃって笑ってへーい!ってハイタッチ!
「おう。よろしくな」
いーちゃんもにこっり笑顔だじぇ。
◇◆◇◆◇
「あー……」
「ふぇ……」
一時間目のIS基礎理論授業が終わって休み時間。
たーちゃんは入学式の後は群れを形成するための時間に当てられるって言ってたけど、なんかIS学園は普通に授業があるみたいだった。
学校なんて久しぶりだから友達100人できるか楽しみにしてたんだけどなー。
まぁ、まだ時間はあるからそんなことゴミ箱にポイッしとこう。
さて、僕は今ぐろっきーなうです……
いーちゃんもぐろっきーなうみたいだけどね……
ふぇっ、ちーちゃんヒドイ。
何回も打った。
凹んじゃったらどーすんだよーこのやろー。
あ、ちーちゃんはやろーじゃないか。
取り合えず、授業が酷く退屈なのは分かったざんす。
やってる内容なんて簡単すぎてつまらないし、授業中寝ても、ゲームやっても、ロボット作っても、消しゴムで白騎士の模型を彫っても、いーちゃんと話してもいけないらしい。
ちーちゃんはちゃんと授業を受けろって言ってたけど、暇なんだもーん!
ぼーあ、ぼーあ!退屈だよ!
机の上に上体を乗せて、ぐでぇっーと伸びをする。
ふと、横を見てみるといーちゃんがいない。
教室を見回してみてもチラチラと僕を見てくる女の人しかいない。
「あれれー?かくれんぼ?」
なるほどっ!さっすがいーちゃんだじぇ。
遊び心を分かってるでありんす。
消えたいーちゃんを探せっ!
まずは聞き込みからだ。
「ねぇねぇ、そこのカノジョたちー」
取り合えず一番近くにいた3人組に話しかけてみた。
「え、うん。ななにかな?」
んー、3人組の一番右の人、みぎいっちゃんが返事をしてくれた。
「いーちゃん知ってる?
教えてくれたらアメあげちゃうのだ!」
ポケットからチュッパチャップスを3本、味は餡、御手洗団子、花林糖を取りだしみせる。
「あ、うん。篠ノ之さんと一緒に廊下に行ったみたいよ」
と、真ん中の人、まんなーちゃんが教えてくれた。
一番左の人、ひだりーちゃんも頷いてる。
ちぇー、篠ノ之ちゃんかー会いたくないから大人しく僕の席で待ってよ。そーしよう。
「そっかー、ありがとねー。みぎいっちゃん、まんなーちゃん、ひだりーちゃん」
各々にアメを渡してバイバイ。
驚いた顔してたけど何でだろう?
まっ、いっか。
それよりもどうやって授業の時間を過ごすか考える方が大切だしね。
さてと何しよっかなー?
◇◆◇◆◇
カキカキと緑色の髪色をした小柄で黒眼鏡をかけた先生が言った内容を筆ぺんなるもので、のーとに書き写していく。
むぅ、中々書きづらいでやんす。
たーちゃんの所で一緒にいたくーちゃんと買い物に行った時に面白半分で買ってみたんだけど、ちょうどいい暇潰しになりそう。
よくやった。過去の僕。今の僕を救ったのは君だ。
すらすらすらーっと書いてるといーちゃんから視線を感じた。
「どーしたの?いーちゃん」
僕が訊ねると、いーちゃんは慌てたような困ったような顔をした。
「い、いや。優貴って頭良かったよな?」
頭?
ポンポンと自分の頭を撫でてみる。
僕頭良いのかな?
そもそも、頭良いってどんな人のこと言うんだろ?
たーちゃんみたいな人のこと……?
じゃあ違うかな。
僕たーちゃんより馬鹿だし。
「んーん。僕頭良くないよ?」
「うっ、そうか……」
苦い顔をするいーちゃん。
どーしたんだろ?
「何で?」
「いや、その――」
「織斑くん、新くん、どうしたんですか?」
いーちゃんと会話をしてると緑髪の先生、うーん。
あ、おっぱいちゃんせんせーにしよう。
おっぱいちゃんせんせーが邪魔してきた。
「あ、えっと……」
しどろもどろになるいーちゃん。
けれど何かを決心したような顔になって――
「先生!」
勢い良く言った。
「はい、織斑くん!」
「ほとんど全部わかりません」
おおっ、これが暴露話と言うやつですな!
たーちゃん曰く、暴露話ってのは自分の弱味を見せることで相手と妙な連帯感を生ませて相手に親しみを持たさせる万歳あたっくみたいな自爆技らしい。
その派生の暴露大会なるものは傷の舐め合いをすることで自分達は味方なんだよね?って概念を押し付けあうものらしい。
僕はやったことないけど、1回やってみたいなー。
いーちゃん、たーちゃん、ちーちゃん、僕の四人で。
「え……。ぜ、全部、ですか……?」
おっぱいちゃんせんせーが困ったようなひきつった顔をする。
むー?いーちゃんの暴露話がお気に召さなかったのかなー?
でも、なんでいーちゃんは暴露話をおっぱいちゃんせんせーにしたのかなー?
んー、おっぱいちゃんせんせーと仲良くなりたいのかな?
はっ、まさか、おっぱいでいーちゃんをたぶらかしたのかな!?
むぅっ、ふとどきものめっ!
「ふしゃーっ!」
「うえぇっ!?な、ななんで新くんに威嚇されてるんですか!?私!?」
悪い子や!悪い子や!
えっちぃ子や!えっちぃ子や!
健全な男子高校性はおっぱいに目がないってたーちゃんが言ってたから、きっといーちゃんもおっぱいに目がないんだ!
だから、おっぱいちゃんせんせーのおっぱいでおっぱいされておっぱい……あれれ?
こんがらかっちゃった。
「……新、落ち着け」
こんがらかっちゃった頭を振ってるとちーちゃんが出席簿で僕の頭を軽く叩いて話しかけてきた。
軽くだから痛くないけど吃驚しちゃったよ!
「ちーちゃん、ちーちゃん。
おっぱいちゃんせんせーがいーちゃんをおっぱいで誘惑したんだじょ!」
ビシッって犯人を指差す。
「えぇえっ!?そそんなことしてないですよう!」
「優貴!?お、おっぱいて……」
慌てた声を上げるいーちゃんとおっぱいちゃんせんせー。
くらすめいともざわざわと騒がしくなる。
今さら慌てたって遅いんだからなぁ!証拠は掴めてるんだ!はくじょーしろー!
パンっと先より強くちーちゃんに頭を叩かれた。
むぅ。
「優貴、落ち着け。
何故山田先生が織斑を誘惑してることになったかは知らんが、どうせアイツの入れ知恵の所為だろう。
お前がどう考えようが構わんが、回りに迷惑をかけるなと昔教えただろう」
むぅっ。
そう言われると言い返せないこの世の中は世知辛い。なんちゃって。
でも、皆に迷惑をかける、なんて正直どうでもいい。
というか、何が迷惑だったのかわからない。検討もつかないでゴザル。
けど、ちーちゃんの言いつけを守れてないのはダメなわけで。
「うぅっ、ごめんなさーい。深く猛反省をしてますです。おっぱいちゃんせんせーがいーちゃんを誘惑するのは合法です、はい」
『違法だからね!?倫理観的に!』と、くらすから声が上がる。
あれ?違ったのかな?
人の恋路を邪魔する者は地雷踏んで死ねって聞いたから邪魔したから怒られたのかなって思ったんだけど……
「はぁ……アイツの所に居させたのがそもそもの間違い……か。
新。授業中に騒ぐな。いいな?」
呆れを滲ませながらちーちゃんが嘆息する。
どうやら、授業中に威嚇したのがいけなかったらしい。なるほど。
「りょーかい!お口にちゃっくです」
右手を口元で左から右に。
これで見えないちゃっくが僕の口に装着されたのさ。
「織斑。今やってるのは基礎中の基礎で入学前の参考書を読めば解る内容だ。
読んだのか?」
「あ、古い電話帳と間違えて――」
パンッ!
僕よりも強くいーちゃんは叩かれた。痛そう。
「あとで再発行してやる。1週間以内に暗記しろ。いいな」
「い、いや、1週間であの分厚さはちょっと……」
「やれと言っている」
「……はい。やります」
あ、いーちゃんが肩をおとした。
ご愁傷さま。
僕はちゃっくしなきゃだから慰められないけど、頑張ってねぇ。
ふれー、ふれー、いーちゃん。
授業はまだまだ続くぞー?
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