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いつの間にかハイスクールD×Dの木場君?

作者:ユキアン
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日常風景のパフォーマンス
  第32話

 
前書き
とりあえずプロフェッサーの話でお茶を濁すしかなかった。
次回からはサイラオーグとのレーティングゲームになるはずです。 

 


side オリジナル


夏休みが明け、プロフェッサーに今までの様に魔術で髪を白く染めてもらい学校に登校する。夏休み前と違うのは、僕と白音さんとギャスパーとヴァレリーさんの四人だった登校風景が紫藤さんとゼノヴィアさんが増えた事と、白音さんとの距離が近くなった事だろう。

今日は始業式と言う事もあり、午前中だけで終わったのだが、プロフェッサーからの頼み事があったので生徒会室に向かう。扉にノックして返事を待ってから開ける。

「失礼するよ。シトリーさんは居るかい?」

「どうかしましたか、木場君?」

「うん。冥界で若手が集った時に将来の目標を語ったんだよね」

「ええ、それがどうかしましたか?」

「シトリーさんのその夢を、手伝えるかもしれないと言っている人がいます。出来れば、会って話がしたいとも。どれだけ明確なヴィジョンが見えているかでどれだけ知識を貸すかを決めるとも言ってたよ」

「……もしかして、あの宝石を使った魔術を作った方なのですか?」

「あの宝石魔術は元から在った物を使いやすくしただけらしいけど、独自に色々な物を開発しているね。魔術に魔道具に魔法工学に錬金術、最近はゴーレムとかキメラにも手を伸ばしてるみたいだよ」

「そんな人が何故私の夢を手伝いたいと?」

「それは僕には分かりません。直接本人に聞いてください」

「……分かりました。何時、何処でならお会い出来ますか?」

「今日これからでもご案内出来ますよ。あまり遅いと忙しくなっている可能性もありますから」

「そうですか。皆を連れて行っても構いませんか?」

「大丈夫ですよ」

「分かりました。今日の所はたまっている仕事の確認だけを行いますので、そうですね、30分程待ってもらえますか」

「分かりました。では校門でお待ちしていますので」







side プロフェッサー


魂の器の精製がこのラインに存在するんだから、流し込むルートがこういう風になって、相対的に発動位置が此所になり、炉心がこうなるな。もう少しコンパクトにまとめたいな。さすがに魔法陣が173も必要では困る。

「それでもこいつが雛形になるか。一応保存だな」

専用の紙に描いた魔法陣をラミネート加工してから展開用の術式を刻み込んで束ねておく。新しい紙を用意して新たな魔法陣作成に移る。

「師匠、増幅結界の応用8でなんで安定の3と減少の2を加えるんすか?省けば時間と労力の短縮になると思うんっすけど」

「そこは遊びだ。増幅する対象によっては遊びがない場合耐えきれない事も在るからな。どれでも増幅可能と言う点に重視しているのが応用の8だ」

ミッテの質問に答えながらも魔法陣の基礎部分を書き上げる。

「なるほど〜。でもそれなら安定の3を清浄の2でも良い気がするんすけど」

「それだと加速の4との組み合わせが悪くなる。ある程度の妥協は許さなければならない。増幅率が足りなくなるのは分かりきっているから、そこに増幅結界の基礎2を中心に添えて応用の6と組み合わせて立体陣を組むんだ」

「その場合は、立体陣で発動させるんっすか?それとも立体陣に発動させるんっすか?」

「立体陣上で発動させれば良いタイプだ。多少範囲が小さいから回避しながらというのは難しい。だが、カードにでもしておけばシングルアクションで火力が倍近く上がる」

「簡単にシングルアクションって言うっすけど投擲技術も磨かないといけないじゃないっすか。展開用の魔術はコストが悪いし」

「そこは工夫次第だ。何もそれ一つだけを展開する必要はないだろうが。複数の立体陣を戦場の至る所に張り巡らせば良いだけだ」

「それもそうっすね。ありがとうっす」

「うむ、頑張れよ」

ミッテの質問が終わると同時に扉がノックされる。

「誰だ?」

「僕だよ。シトリーさんと眷属の方をお連れしたよ」

「少し待て」

見られては不味い物をバインダーに収納して傍らに置いておく。

「もう良いぞ」

「失礼しま、木場君?」

オレを見てソーナ・シトリー達が困惑する。

「くくっ、ある程度正解である程度ハズレだ。そちらの話も簡単にではあるが説明しよう。まずは席に着くと良い」

部屋に入って来た人数分の魔法陣が書かれたカードを投げてイスを作る。

「これは?」

「結界を利用して作ったイスだ。魔力を感じれば分かるだろう?」

「確かにイスらしい形の魔力は分かりますが、大丈夫なのですか?」

「ふむ、やはりそこからか。ならこれで分かりやすくなるだろう」

処分予定の紙を飛ばしてイスを覆わせる。

「お手数をおかけします」

「気にするな。世間で普及していない技術だからな」

全員が席に着いた所で自己紹介に入る。

「この姿では初めてになるな。オレは名はプロフェッサー。『断罪の剣』の魔術技術全般を取り扱う者であり、木場祐斗の細胞から作り出したホムンクルスの身体に魂の欠片を入れたものだ」

「魂の欠片?」

「木場祐斗の来歴は知っているか?」

「ええ、簡単には。昔は教会に所属していて、対堕天使用の術式を作り上げた事で教会を逐われ、サーゼクス・ルシファー様に保護された」

「そうだ。そして、戦闘面において常人から掛け離れた思考をするのは?」

「リアスに聞いた事があります。異常な程に自分を顧みない特攻と自分を囮にしたカウンター主体なのに傷一つ付かない技巧派だと」

「そしてそれらに共通するのが自分を顧みないと言う事だ。木場祐斗という人格のほとんどはそれで出来ていて、研究者としての面と技巧派である面が混ざっていると言える。それを抽出して別の身体に入れたのがオレともう一人居るアーチャーと言う存在だ」

「と言う事は、貴方も木場君と言う事ですか?」

「近いが違う。そうだな、少し強引ではあるが木場祐斗の可能性だとでも言っておこうか。抽出したとは言え、完全に分ける事など不可能だからな。魂の割合が変わったと見る方が良い」

「可能性ですか」

「そう、可能性。完全に別人の様に見えるが、どうなるかなんて簡単には分からんだろう?もしかしたらあの姉に毒されて軽いノリで魔法少女をやっているソーナ・シトリーが居てもおかしくはないだろう?小さい頃からべったりと引っ付いて育てばたぶんそうなっている可能性は大だ」

「……この話は此所までにしましょう」

ふむ、若干そっちに落ちかけた事があるな。まあ、本当に子供の頃の若気の至りだろう。子供がヒーローに憧れるみたいに。オレも昭和ライダーみたいな改造人間になりたかった。あっ、今は改造人間か。夢が叶ってたな。思考がずれたな。

「では本題に移ろう。下級や中級を対象にしたレーティングゲームの学校を作りたいとの事だが、負の面をしっかりと捉えているか?」

「負の面ですか?」

「そうだ。夢を叶えた事で不利益になる奴は必ず出てくる。これは社会として当然だ。幸福には絶対値が存在し、それを分配するのが社会だからだ。無論、絶対値を多少増やす事は出来る。出来るが、それが下の者に届くかは分からない。その絶対条件の元で問おう。夢を叶えた事で発生する不利益を周囲を納得させるだけの材料をどれだけ持ち合わせている」

「…………」

「ふむ、分からないか。ならもう少しヒントを出そう。オレが思いついた不利益の中で一番デカイと思ったのは冥界の法律だ」

「冥界の法律ですか?」

「そう、その法律の中にとてつもない落とし穴が潜んでいる。よく考えてみろ。ここに人数分の法律書がある。夢を手伝いたいと思うのなら、一緒になって考えろ。おまけでもう一つヒントを出すなら、人だろうと悪魔だろうと天使だろうと堕天使だろうと、醜い物を持ってるってことだな。ちなみに実体験だ」

懐からチュッパチョップスを取り出して銜える。口の中に苦みが広がり、包み紙を見て納得する。青汁味とか何を考えてやがるんだ?そしてこれを買って来たのはミッテだな。後で絞める。他にも変なフレーバーが在りそうだな。

ちっ、本当に在りやがった。牛タン塩味にクリームシチュー味、本場インドカリー味にフィッシュ&チップス味。まだ行けそうなのがカルピス原液ストレートとコーヒー豆。意味が分からんのがフラッシュメンとビーストの二つだ。何処で買って来たんだ?

青汁味を舐め終わり、カルピス原液ストレートを銜えた所で何かの答えに気付いたようだ。

「これがプロフェッサーの予想する未来なのかは分かりませんが、おそらくはこれも有り得るはずの未来です」

「聞かせてもらおう」

「……下級・中級悪魔による犯罪行為の増加。それも私の作った学校関係者からの」

「些か甘いが正解だ。ちなみに最悪まで辿り着けば内乱まで行くぞ。はっはっはっ、その場合処理が簡単な上も下もまとめて皆殺しで処分する事になっている。魔王様達にはそう伝えてあるから、内乱までは行かないはずだ。改革って言うのは何時の世も荒れに荒れるからな」

「……やはりそうなりますか」

「なるな」

「……私は何も見えていなかったのですね」

「まあ、若いし経験も少ないからな。こればっかりは時間がいる」

「…………」

「では、新たに問おう。夢を諦めるか?」

「…………」

「人生とは後悔の連続だ。高々100年であってもそう言われている。それの10倍以上を生きる事になるオレ達はさらに後悔し続ける事になる。組織のトップに立つのなら更に酷くなるだろう。それでも、理不尽を、事故を、裏切りを、悪意を、堕落を、嫌悪を、不条理を、挫折を、自己満足を、受け入れて飲み込み消化出来るか?」

ソーナ・シトリー達が怯えた目でオレを見てくる。それも仕方在るまい。魔導書の汚染はオレとアーチャーが分けて受け入れている。そして、アーチャーはその強靭な精神で普通に耐えている。オレは受け入れて同化し欲望に昇華させた。簡単に言えば精神を蝕む汚染を全てオレに適合する知識欲に変えて、マッドサイエンティストになった。自分の身体をも研究の材料の一つとしか見ないような。そんなオレの狂気に曝されているのだからな。

「オレは受け入れて飲み込み昇華したぞ。理不尽を、事故を、裏切りを、悪意を、堕落を、嫌悪を、不条理を、挫折を、自己満足を、愛おしい物と同じ様に抱きしめられるか?」

しばらく待ってみても恐怖からどうする事も出来ないソーナ・シトリー達を見て狂気を引っ込める。

「どうやら急ぎ過ぎたようだな。今日の所はここまでにしておこう。この部屋にはいつでも来ると良い。先程の問いの答えを出せば、答えに合わせて力と知識を貸そう。焦る必要はない。周りに相談してみるのも良いだろう。オレはお前の夢を否定しない。いつまでも成長を待っていよう」

なんとか部屋からソーナ・シトリー達が出て行き、魔導書の上で丸まっていた久遠が声をかけてくる。

「協力してやるって言っておきながら言葉でフルボッコとか良い趣味してるにゃ」

「失礼な。手痛い失敗をする前に対策を練らせてやっているだろうが。それにあながち間違いでもないんだぜ。人間の歴史がそれを証明している。人間だからって侮るなよ。人間の恐ろしい所は他の種族と比べると異常な程に道具を進化させる所だ。伊達に世界に君臨してねえんだよ。どの種族でも核兵器を防げるのは神クラスのみ、その後の放射能汚染の影響からは逃れる術はあるにはあるが効率は最悪。道ずれなら結構簡単に全ての種族が簡単に葬られるぞ」

「それは」

「あっ、あと、他の種族に比べると変人も生まれる。悪魔で言う超越者って奴。ネットでリアルチートって調べれば分かるけど、変人の一言でしか表せれない様なのがごろごろ出てくる。しかも全員が魔力とかを持ってるって訳じゃない。何人かは魔力持ちだったみたいだが、WWⅡの変人どもは全員普通の人間だからよ」

「ふぅ〜ん、そこまで?」

「そこまで。空の悪魔とか特にヤバいな。意味が分からん。話がそれ過ぎたな。ええっと、そうそう、犯罪の増加までは確実にあるな。どうしても力を手に入れると試してみたくなる。だから、それを試せる場を用意する必要がある。まあ、簡易版のレーティングゲームを用意するのが一番だな。これにはメリットが多い。娯楽の一種になるだろうし、レーティングゲームよりは身近に感じられる。そこがポイントだ。競技人口は比べ物にならないだろう。そこで活躍すれば眷属悪魔にもなりやすいだろう。神器持ちの人間を眷属悪魔にするのが流行っているみたいだが、ギャンブル性が高いし本人の向き不向きがある。経験を積んでいる奴を見繕う方が戦力の強化に繋がる。更には天使や堕天使の方でもレーティングゲームに似た様なことをしようと計画しているからな。それのテストケースとして一枚噛む。さらには公式の賭けを行い、胴元で金を稼いで学園と競技場を拡大させながら警備会社みたいな物を作る。これによって少しでも増加するであろう犯罪に対応する。そして、この金の流れに上級悪魔を殆ど関わらせない。特にソーナ・シトリーの夢を笑った奴らには絶対に関わらせない。此所までは既に計画済みだ」

説明しながら携帯を取り出してアドレスからとある人物を選ぶ。

「幾ら何でも手が早過ぎだと思うんだけ」

「そりゃあ協力者が居るからな。やっほ〜、レヴィアたん。今大丈夫?」

『やっほ〜、大丈夫だよ』

「計画通り思考誘導含めて現状と将来に発生しうる最悪の未来についての説明、及び協力者の存在を明かした。更に精神的にもかなり負荷をかけたからな。思考誘導も相まってレヴィアたんにも助言を求めるはずだ。そこで真面目に、仕事の時の様な態度で接すれば、ソーナ・シトリーからの評価はうなぎ上り」

『後々面倒になりそうな発言を避けてるのが丸分かりだねぇ〜。間違ってないけど』

「正直、他人の心なんて分からんから。自分自身ですら持て余すのが普通だし」

『まあねぇ。まっ、そこら辺はお互い適当に折り合いをつけて生きる物だから。とりあえず、ありがと♡』

「こっちにも思惑が在ったからな。この件に関しては幾らでも協力するさ。それじゃあ、また動きがあったら」

『こっちはこっちで話を進めておくから上手い事誘導してね、ばいば〜い☆』

「汚いにゃ〜、さすが魔王とプロフェッサー汚い」

「世の中そんなもんだ。誰も損をしていないwin-winな関係だ」

「プロフェッサーにも得があるのかにゃ?」

「無論だ。この計画が順調に進めばオレの名は歴史に刻まれてもおかしくはない。一人の男としての憧れを叶えられるかもしれん!!」

「にゃ〜、本当に三人の中で普通な思考持ってるんだ」

「まあ欲望には忠実だな。外道にまで落ちて名を残そうとは思わんが、この程度で名が残せるなら進んで残そうとは思うな」

久遠の質問に答えながら再び研究に戻る。
 
 

 
後書き
けど次に何時更新するかはさっぱり不明です。
あとは、雷帝の方も更新してネタ倉庫の方も幾つか上げるから夏休みまでにはなんとかって感じですね。 
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