オズのベッツイ
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第五幕その九
「残念だが」
「あの、一ついいですか?」
神宝が右手を挙げて皇帝に尋ねました。
「皇帝陛下」
「うむ、何だね」
「どうして皇帝陛下がそのことをご存知なんですか?」
「余がアン女王が今ウーガブーの国にいないことをだね」
「はい、皇帝陛下はこの国から離れませんよね」
「城壁の外から出たことはない」
皇帝は微笑んで神宝に答えました。
「これまで」
「じゃあどうしてそのことをご存知なんですか?」
「それは昨日彼女がこの国に来たからだよ」
「ハーグの都にですか」
「そう、だから知っているのだよ」
それ故にというのです。
「余は」
「そうだったんですか」
「何でも聞きたいことがあるとかで」
「聞きたいこと?」
「クマセンターに行くそうだ」
「あそkにですか」
「そう、だから彼女は今ウーガブーの国にはいない」
皇帝は玉座から微笑んで答えました。
「クマセンターに向かっているよ」
「クマセンターというと」
ジョージはクマセンターと聞いてこう言いました。
「ここから南西ですね」
「少し行ったところよ」
ベッツイがジョージに答えます。
「この国からね」
「そうですよね」
「まさかあそこにも行くことになるとは思わなかったわ」
ベッツイにしても予想外のことでした。
「今回の旅で」
「そうですよね」
「ええ、けれど旅は予定通りにはいかないことも多いわ」
ここでこう言ったベッツイでした。
「特にオズの国の旅ではね」
「それじゃあですね」
カルロスがベッツイに応えます。
「これから」
「クマセンターに行くわよ」
その国にというのです。
「そしてアン女王に会うわ」
「あの人とですね」
「さもないと黄金の林檎が手に入らないわ」
その林檎から作るジャムがです。
「だからね」
「わかりました、じゃあ今度は」
カルロスも他の皆も頷いてでした、皆はクマセンターに行くことにしました。そのお話が整ったところで、です。
皇帝は一行にです、笑顔でこう言いました。
「さて、お昼が過ぎて」
「はい」
「三時になった」
こう思わせぶりに言うのでした。
「そう、三時だから」
「おやつですね」
ナターシャは微笑んでその皇帝に応えました。
「その時間ですね」
「そう、これから余はおやつを食べるつもりだが」
「そのおやつをですね」
「諸君等もどうか」
こう皆に言うのでした。
「これから」
「ご相伴に預かってもいいんですか?」
「おやつも一人で食べると少し味気ない」
しかし、とです。皇帝は言葉をさらに続けました。
「だが多くで食べると」
「それがですね」
「そう、その味気なさが解決される」
だからだというのです。
「皆で食べよう」
「これから」
「余は普段は国民の誰かを呼び巨人の召使い達も席に座らせているが」
「そして一緒に召し上がっておられるんですね」
「しかしお客人がいればお客人を優先するのが礼儀」
国の人達よりもというのです。
「だからだ、どうだろうか」
「ええ、それじゃあね」
ベッツイがです、一行を代表して皆に答えました。
「宜しくお願いするわ」
「では早速だ」
皇帝は玉座から立ち上がってでした、そのうえで。
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