遊戯王ARCーⅤ 〜波瀾万丈、HERO使い少女の転生記〜
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ジュニアユース選手権 !
十二話 ージュニアユースへの道ー
前書き
前話から丸っと2ヶ月。遅くなって申し訳ございません。
今回から、タイトル見てわかる通り《ジュニアユース選手権》編です!
ある日の放課後、いつも通りに真澄と帰路を共にしていた時、突然思い出したかのように口を開いた。
「そういえば、優希はジュニアユース選手権に出るわよね?」
「は?」
「へ?」
思わず顔を見合わせる二人。
「えっ、ちょっと、待って……。あなたまさか忘れてたっ!?」
「忘れてた……ていうか、(その存在自体知らない!!)
……って、あ!ちょっと私の!」
突然、真澄が優希のデュエルディスクをひったくり、優希のデュエリスト情報に目を通しーーー
神崎 優希:公式戦1勝0敗0引き分け
ーーー絶句する。そしてパクパクと空気を求める魚のように口を開閉したのち、大きく息を吸う。
「なん、なん、なんで公式戦を一回しか闘ってないのよ!!」
ドーンッと真澄の絶叫が舞網市全体へと響き渡り、ありとあらゆるガラス製品を砕きさった。
ーーー実際はもっとも間近にいた私の耳がキーンとなっただけだが。
「まぁ、落ち着いてよますみん。」
「落ち着けるかっ!?てか、ますみん言うなっ!なんであんたは、そんな平然としてられるのよ!」
どーどーと宥めてみるがむしろ逆効果。元から気の強そうな真澄が睨むと本気で怖い。
「いや、ほら私って公式の舞台であんまり決闘したくないから」
嘘だ。今になってその存在を知ったなんて言えない。
「じゃあ、この一戦はなんなのよ!」
「あっ、それはこの前ますみんと決闘した奴だよ。ほら、ますみんがワンターンスリィフュージョンをして。次のターンに私が逆にワンターンフォーエクストラモンスター決めて勝ったやつ。」
「あー、アレね。確かにスゴかっ……た。じゃないでしょ!」
火に油を注いだつもりは毛頭ないのだがますみんの怒りがますますヒートアップ。なんか手に終えられなくなってきたぞ。
「いや、ほらさ。友人との決闘が記念すべき一勝目じゃん?」
「そんな不名誉な記念日は要らない、むしろ、腹が立つわ!」
そこまで言うと、親指の爪を噛み締め、ブツブツと呟き始める。内容が私を公の舞台でぶっ倒す、とだけあって物騒だ。
「ところでさ、そのナントカ選手権の出場資格ってなんだっけ?」
「はぁ……あんたそんな事も忘れたの?痴呆なんじゃない?」
「うぐっ……すいません。」
一々言葉に棘のあるますみん。いや、それが素なのか。よくダイレクトアタックをもらってノックダウンしているのを見かける。主に北斗とか……。
ついでに真澄曰く、ジュニアユース選手権の出場資格は50戦以上をし、かつ30勝以上すればいいらしい。
つまり、勝率6割あればオーケー。そして、締め切りまでおよそ10日ほど。
「えっ……?無理ゲーじゃないですか?それ……。」
10日で残り49戦し、なおかつその半分以上を勝たなければならないとか。1日に何回デュエルすればいいんだよ!
「あ、負けなしの6連勝でも参加資格を満たせるわよ?」
「先にそれを言ってよ!?」
真澄の方を向いて見ると、してやったりと表情が語っていた。
別に残り5戦を10日のうちに済ませるなら割と簡単だ。5戦全て勝たなければならないが、エクシーズや、シンクロを使ってこないなら難易度はグッと下がる。
ただ、一つ問題が……
「相手どうやって見つけよう……。」
デュエルに勝てたとしても、相手がいなきゃお話にならない。
「それくらい、塾の教師に頼みなさいよ。あの暑苦しい、"しゅうぞう"って言ったわよね?あの人に頼めばいいんじゃない?ついでに保険で私の知り合いに決闘してくれるか頼んでおくわ。」
こういう時こそ他力本願か。ただなぜか真澄が妙に優しい。まさか……!?
「デレ、ウグェ!?」
「違うわよ!」
私が最後まで言い終わる前に『ジェムナイトマスター・ダイヤ』級のダイレクトアタックが炸裂、奇妙な呻き声を上げて地に伏す。
「う、うぐ……酷い。」
「ゆ、優希が変な事言うからよ。それに今度こそあんたに黒星つけてやるんだから!その時まで首洗って待ってなさいよ!」
地面に倒れ伏す私を置いてさっさと行ってしまう真澄さん。褐色色の肌がほんのり赤かったような……。夕日のせいかな?
◆◇◆
ところ変わって遊勝塾。
さっきの件を話してみるが、実に微妙な顔をされる。
「優希が参加出場資格を満たしてなかったのは盲点だったな〜。一人でも多くうちの塾から出して、有名にしたかったのにな〜。」
実に利己的な発言をする塾長ェ……。つまりあれか、私は出れない、と?
「あと5戦……どーにかならないんですかね?」
「うーん、この時期になると参加資格を満たしている奴らばかりだからな。デュエルの申し込みを受けてくれないんだよ。」
なるほど、あれか。万が一負けて出場資格を失わないためか。一理あるが、ここは遊戯王だろ?『おい、デュエルしろよ』と言ったらデュエルが発生する世界だろ?
「いや、ちょっと待てよ!」
何か名案が浮かんだようでポンッと手のひらを打つ塾長。
「ニコ・スマイリーさんに頼めばいいか。」
ニコ・スマイリーとはなんぞや、と思っていると「はいはい〜」と声が、奥から黒と黄色のストライプというなんとも派手な衣装に身を包んだおっさ……男性が出てくる。
「かくかくしかじか、というわけで優希にもデュエルの相手を斡旋してもらえますか?」
「えぇ、プロデュエリストを目指す若者の夢を応援するのが私の役目ですので。不肖このニコ・スマイリーが謹んで残り5戦の相手を用意いたしましょう!」
両手を取り、ニッコリと満面の笑みを浮かべるスマイリー。だが、なんとも胡散臭い。本当に大丈夫かよ、こいつ。
などと、思ってるのもつかの間、スマイリー氏の携帯端末へ電話がかかってくる。
「はいはい、こちらニコ・スマイリーです。ーーーー……あ、そうですか。それでは、ーーーぜひ、明日……。はい、よろしくお願いします。では。
あ、優希さん。決闘の相手が決まりましたよ?」
「はやいな、おい!?」
まだ会って数分も経っていないのに、対戦相手が決まるスピードコース。幾ら何でもおかし……はっ!まさか、ドン・サウザンド貴様か!
「おっ、優希も舞網選手権でるのか?」
「え!優希おねーちゃんも出るの!やったー!」
「ェ……姉ちゃん、出んの!?」
どこから話を聞きつけたのか、奥から遊矢が子供達と共にゾロゾロと出てくる。まるで親鴨と小鴨のようだ。
「まぁね。けど、出場資格クリアしてないから。まだ決まったわけじゃないよ。てか、徹……あんたのリアクションは変じゃないかな?」
「あ……ほら、対戦相手の人が可哀想だな〜、と思っただけだよ。」
徹にサッと視線を逸らされる。正直なのはいいことだが、結構傷つくぞ……。
「へ〜、じゃ俺と同じだな。あっ、けどその服だと、動き易そうだけど、地ーーぐふぅ⁉︎」
「ふんっ!」
何かを言おうとした刹那、ドンッと衝突音がし、ぐったりとうつ伏せで倒れる遊矢。一瞬の出来事で同じ空間に居た年少組たちは目をぱちくりと瞬きし、「わけがわからない」といった表情をする。
ーーー・ーーー・ーーー
side徹
隣で部屋でニコ・スマイリーさんと姉ちゃんが何やら話しており、微かに聞こえてくる会話の内容から、察するに公式戦の相手を探しているらしい。
そして、相手が決まったと聞いた時、思わず本音が出てしまった。
内心で「やっちまった!」と後悔しているのも束の間、ニッコリと笑みを浮かべて「どうゆう意味だ?」、と尋ねてくる。ただその時の目は笑っていないため末恐ろしい。
こういう時は、下手に嘘をつかず、正直に言った方がお咎めは軽くなるはずだ、と思い
「ほら、対戦相手の人がかわいそうだな〜、と思っただけだよ。」
そういうとがっくりと肩を落として項垂れてしまう。若干の罪悪感こそあれど、反省はしない。
それもそうだろう、儀式召喚に融合召喚だけではなく、LDSが独占しているはずのシンクロ召喚やエクシーズ召喚まで使い熟す相手に並みのデュエリストが勝てるわけがない。
融合や、シンクロ召喚などの特殊な召喚方法どれか一つ使いこなせて、ようやく同じ土俵に立てるかどうかなのだ。そして、そんな相手には大抵デュエルで使われる事のない『奈落の落とし穴』や『強制脱出装置』などで召喚したそばから除去される。まぁ、強いのは確かなんだけど、相手の精神はズタボロだよ。
それこそ、LDSの融合召喚コースの主席で、『ジェムナイト』使いの真澄さんでさえ敵わないほどだ。
うちの塾に乗り込んできた日とは、別の日に公式のデュエルをし、ジュニアユースレベルではほとんど見られないようなハイレベルなデュエルだったのだが、それ故に姉の強さを思い知った。
先行は真澄さんで初めから、ジェムナイト専用の融合『ジェムナイト・フュージョン』を発動させ、手札の『ジェムナイト・ラピス』と『ジェムナイト・オブシディア』を融合し、『ジェムナイトレディ・ラピスラズリ』を融合召喚する。
そして、『ジェムナイト・オブシディア』の効果で墓地の通常モンスターの『ジェムナイト・ラピス』を蘇生させる。
さらに安全ヘルメットを被ったウサギ、『レスキュー・ラビット』を召喚し、即座にリリースして効果を発動。デッキから同名通常モンスター二体を特殊召喚する。これによって『ジェムナイト・サフィア』を特殊召喚。
この時点で真澄さんの場には、四体のモンスターが並ぶ。
そして、『ジェムナイトレディ・ラピスラズリ』の効果を発動。デッキかエクストラデッキから『ジェムナイト』モンスターを墓地に送る事で場に存在する特殊召喚されたモンスターの数×500ポイントのダメージを与える。
真澄さんはエクストラデッキから二体目の『ジェムナイトレディ・ラピスラズリ』を墓地に送り、効果を発動。2000ポイントもの大ダメージを与え、姉ちゃんのライフをきっかり半分にする。
だが、ただでやられないのが我が姉。
効果ダメージを受けた時に手札の『ガード・ペンギン』の効果を発動。
『ガード・ペンギン』は効果ダメージを受けた時、手札から特殊召喚でき、さらに受けたダメージ分のライフを回復できる手札誘発のモンスターだ。これで、ライフは初めの4000へとリセットさらにさりげなく相手のターンでも展開する。
真澄さんもそれだけでは退かず、墓地の『ジェムナイト・オブシディア』を除外し、『ジェムナイト・フュージョン』を手札に加え、『馬の骨の対価』を発動し、『ジェムナイト・サフィア』をコストに二枚ドローし、手札を三枚まで回復させる。
そして、二度目の融合。今度は、手札の『ジェムナイト・オブシディア』と『ジェムナイト・ラズリー』、場の『ジェムナイト・ラピス』の三体を融合し、真澄さんの切り札、『ジェムナイトマスター・ダイヤ』を融合召喚。さらに『ジェムナイト・オブシディア』の効果で墓地の『ジェムナイト・サフィア』を特殊召喚し、『ジェムナイト・ラズリー』の効果で『ジェムナイト・ラピス』を手札に加える。
手札は『ジェムナイト・ラピス』一枚だけだが、真澄さんの場には『ジェムナイトレディ・ラピスラズリ』、『ジェムナイトマスター・ダイヤ』、『ジェムナイト・サフィア』の三体が存在する。
そして、『ジェムナイトマスター・ダイヤ』の効果を発動。墓地の『ジェムナイトレディ・ラピスラズリ』を除外する事で、その効果を得ると効果を発動し、デッキから『ジェムナイト・ラズリー』を墓地に送り、姉ちゃんに2000ポイントのダメージを与える。
もし、姉ちゃんが『ガード・ペンギン』を持っていなかったらここでゲームエンド。自分が相手してたら、何もできずに先行ワンターンキルされていただろう。
やはり、手札誘発は重要だ。
姉ちゃんのライフを再び半分にした真澄さんは『ジェムナイトマスター・ダイヤ』の効果を発動させるために墓地に送った『ジェムナイト・ラズリー』の効果で今度は『ジェムナイト・サフィア』を手札に加える。
真澄さんのターンはまだ終わらず、墓地の二体目の『ジェムナイト・オブシディア』を除外すると再び『ジェムナイト・フュージョン」を手札に加え、発動する。
今度は手札と場の『ジェムナイト・サフィア』を融合し、『ジェムナイト・アクアマリナ』を融合召喚。まさかのワンターンスリィフュージョンを決め、ワッと会場を沸かせると、ようやく真澄さんのターンが終わる。
このターンにかかった時間が1分だけとか、すごい。
姉ちゃんのターンが回って来るが、このターンで仕留めなければ負けとなる。
もし、『ジェムナイトレディ・ラピスラズリ』と『ジェムナイトマスター・ダイヤ』の両方を除去したとしても、真澄さんの手札にはバーン効果を持っている『ジェムナイトレディ・ラピスラズリ』の融合素材『ジェムナイト・ラピス』がいる。もし、『ジェムナイト』モンスターを引けばまたバーン効果による大ダメージを喰らい、今度こそゲームセットだ。
それなのに、姉ちゃんはこの状況を楽しむかのように笑っていた。
後で聞いたが、真のデュエリストは逆境に立たされてこそ、真の力を発揮できるらしい。そうして、歴代のデュエリストは運命をさえ操るようになったとか……。決して「当然!正位置ィ!」とかではない、デステニー・ドローの方だ。いや、それができる方もどうかしてると思うが、突っ込んだら負けな気がするのでスルー。
姉ちゃんが初めに発動したのは、魔法カード『融合』。
場の『カード・ペンギン』と手札の『E・HERO シャドー・ミスト』を融合し、『E・HERO アブソルートZero』を融合召喚。
滅多に観られないはずの特殊な召喚方法が本日4回目、ヤバいヤバいと周りが盛り上がっている中、折角融合召喚した『E・HERO アブソルートZero』を墓地に送り、『マスク・チェンジ』を発動。『M・HERO アシッド』を《変身召喚》!
どこぞのベルトつけて変身するヒーロー特撮のような召喚方法は意外と客受けが良く、隣のフトシ君も「痺れるぜ〜」とか言っていた。だが、現実は残酷だ。
『M・HERO アシッド』の召喚と共に姉ちゃん操る『HERO』デッキの最強コンボが発動される。E・HERO アブソルートZero』は場から離れた時、相手モンスター全てを破壊する。そして、『M・HERO アシッド』は特殊召喚成功時に相手の魔法・罠カード全て破壊し、さらに相手モンスターの攻撃力を300ポイントダウンさせる効果。おまけに、融合素材にされ墓地へと送られた『E・HERO シャドー・ミスト』の効果でデッキから『HERO』モンスターをサーチできる。これで『E・HERO エアーマン』をサーチする。
つまり、『サンダー・ボルト』と『ハーピィの羽箒』、そして『E・エマージェンシーコール』を同時に発動するようなものだ。
このコンボで圧倒的有利な布陣を引いていた真澄さんの場は綺麗さっぱり何もなくなる。だが、真澄さんも負けてはいない。
破壊された『ジェムナイト・アクアマリナ』の効果を発動させ、姉ちゃんの『M・HERO アシッド』をバウンスし、互いの場をリセットする。
『ジェムナイト・アクアマリナ』の効果はカード一枚をバウンス、と先の二体のHEROに比べて地味だけど、強制効果なのでタイミングを逃さず、確実に一枚のカードを除去できる。おそらく姉ちゃんのこのコンボを見越して1ターン目で『ジェムナイト・アクアマリナ』を召喚しておいたのだろう。流石はLDSの融合召喚コース主席だな、と感心する。
姉ちゃんのターンはやはりまだ終わらず、『E・HERO エアーマン』を召喚すると、効果でデッキから『E・HERO バブルマン』をサーチ。そして、『緊急テレポート』を発動し、デッキから『チューナー』モンスターでもある『サイコ・コマンダー』を特殊召喚する。
そして、姉ちゃんはレベル3のチューナー『サイコ・コマンダー』とレベル4の『E・HERO エアーマン』をチューニング。レベル7のシンクロモンスター『月華竜 ブラックローズ』をシンクロ召喚する。
融合召喚に続いてシンクロ召喚。会場は今まで観たことのないくらいに盛り上がる。
隣でフトシ君が「痺れる〜」と言いながらうねうねと蠢いていたのはいつも通りなので無視。
そして姉ちゃんは『E・HERO』専用の融合魔法、『ミラクル・フュージョン』を発動。墓地の『E・HERO エアーマン』と『E・HERO シャドー・ミスト』を除外し、融合。『E・HERO エスクリダオ』を融合召喚する。
この時点で姉ちゃんの場のモンスターの総攻撃力は4000を超えている。対する真澄さんの場には守るカードはおらず、手札も『ジェムナイト・ラピス』だけ。
これはやばいと感じたのか、急ぎ付近にあるアクションカードを確保しに行こうとするが、姉ちゃんの召喚した『月華竜 ブラックローズ』の起こす風圧により、アクションカードははるか遠くへと飛ばされ、さらには真澄さんの行く手を阻むように『E・HERO エスクリダオ』が立ち塞がる。
決闘開始2ターン目で詰み状態になった真澄さんは潔く姉ちゃんのモンスターの攻撃を受けたのだった。
LDSのトップを大逆転後行ワンターンキルをするという相当濃い内容の決闘を演出した姉ちゃんに対し、知らずのうちに闘わせてはだめだと思っていたらしい。
さっきのポロッと出てしまった本音もこれが原因だと思う。
「へ〜、そのじゃあ俺と同じだな。」
そんな事を考えていると、遊矢さんが姉ちゃんをつま先から、頭のてっぺんまでと、見ており、
「あっ、けどその服装だと、動きやすそうだけど、地……ぐふっ!?」
「ふんっ!」
おもむろにに口を開いた刹那、ドンッという衝突音と共に壁の側に突っ伏していた。
側にするタツヤ君やアユちゃんは何が起こったの?と互いに顔を見合わせ、首を傾げている。だが、僕は何が起こったのか見ていた。いや、見てしまった……。
遊矢さんが最後の一言を紡ごうとした刹那、姉ちゃんの顔から表情が消えると同時に軽く跳躍し、遊矢さんに接近。、そして、零距離からの飛び膝蹴りが鳩尾に炸裂。そして、そのまま壁側へとぶっ飛ばし、激しく叩きつけられた後に重量に従い、床へと激突。この間、コンマ一秒ほどである。色々とおかしい……。
周りが状況把握ができていない中、姉ちゃんは三回のダメージ計算を経て、瀕死状態の遊矢さんにトドメを刺そうとつかつかと歩み、無表情のままで歩み寄る。
何かを察した柚子さんが「止めて、優希!遊矢のライフはもう0よ!」と言わんばかりに姉ちゃんを止めようするが、姉ちゃんは「どいて、そいつ殺せない。」と言ってのける。
まるで事前に打ち合わせしたかのような息ぴったりな二人に思わず頭を抱える。
姉ちゃんと柚子さんが離せ、離さないと言い合いをしている間に遊矢さんはようやくダメージが抜け、回復したらしくもぞもぞと動き始める。
そして、状況を把握しようとしたのか、うつ伏せの状態のまま顔を上げる。だが、顔を一瞬だけ赤くすると、すぐに目を横へと反らす。そして、姉ちゃんたちの方を確認すると、ニコーリと笑った天使のような悪魔が二人居た。
あ、やっちゃったな……
直感的に遊矢さんが何をしたのか察すると、心の中で南無と唱える。
直後、舞網市全域に響くような絶叫が響いた。
今日も遊勝塾はカオスだ。胃薬買おうかな……
後書き
今回から、あとがきコーナーの実装です!それでは、ドーゾー。
徹「いや、どうぞって言われても……何をするのさ。」
優希「まぁ、遊戯王のあとがきって言ったら、アレしかなくない?」
徹「えぇ、アレ〜……。言うの恥ずかしいんだけど……」
優希「つべこべ言わない!ほら、せ〜の!」
「「な〜にっかな、な〜にかな?今週の最強カードは?」」
真澄「『ジェムナイトレディ・ラピスラズリ』よ!」
徹「と、思わせて……」
優希「『ガード・ペンギン』ですっ!」
真澄「くっ、なんでよ!最大で5000もの効果ダメージを与えられるし、『ジェムナイトマスター・ダイヤ』とあわせればワンタ
ーンキルだって!」
徹「まぁ、それも『ガード・ペンギン』に防がれてましたけどねー。」
真澄「うぐっ……」
優希「それに1ターンに一度だけ、しかも特殊召喚モンスターだから、蘇生できないし……。しかも、ラピスラズリを主軸に置いたデッキを組むと新たに『ジェムナイト・ラピス』を入れないといけないから、構成が変わってくるんだよね。」
真澄「うぐぐ……。いいわよ!別にこんなとこで紹介されなくっても!」
徹「あ〜、拗ねて行っちゃったよ……。てか、姉ちゃん、こうなるように絶対狙ったよね?」
優希「さぁ?知らん。管轄外だ。まぁ、置いといて、改めて最強カードは『ガード・ペンギン』!徹、効果説明!」
徹「丸投げっ?!え、え〜と、自分が効果ダメージを受けた時に手札から特殊召喚できて、受けたダメージ分ライフを回復するんだよね?」
優希「うん、正解。手札誘発カードだから、防がれにくい点と自分の効果で発生したダメージにも対応できる点に注目だね。ただあくまで回復で、ダメージを0にするわけじゃないから効果ダメージでライフが0になったら、負けになっちゃうから注意ね。」
徹「ね、姉ちゃんが真面目に司会やってる?!」
優希「弟の中での私の評価って……。いや、やっぱいいや。聞いたら、あかん気がする。」
徹「まぁ、こんな姉はほっといて。実用的なコンボとしては、墓地に存在する『先鋭のゼピュロス』の効果で自身を特殊召喚して、デメリットで発生する効果ダメージをトリガーにして、ライフを回復しつつ『ガード・ペンギン』を出すって感じかな?」
優希「そだね。ゼピュロスもペンギンも同じレベル4の鳥獣族だから、『零鳥獣 シルフィーネ』とか『RR ライズ・ファルコン』とかも出せるね。なんにせよ、凡庸エクシーズの中で使えるのが最も多いのがランク4だからね。なんでも出せるよ。」
徹「なるほど。それにステータスは低いけど、鳥獣族だから『ゴットバードアタック』とか、『スワーロズ・ネスト』とか色んなサポートも受けられるね。」
優希「そゆこと。あらかたいい尽くしたかな?では、次回もよろしく!」
「「さよならバイバイ」」
デスガイド「私の出番は?!ゆうきさぁぁぁぁん!!」
……忘れてた(orz)
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