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転生とらぶる

作者:青竹
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マブラヴ
ゲート 自衛隊彼の地にて、斯く戦えり
  0953話

 ピニャの住んでいる建物に突然現れた男。その男は髪を短く切り揃えており、身体に関してもそれなりに鍛えられているのが分かる。
 だが、その顔と雰囲気が全てを台無しにしていた。即ち、無条件で自分が他人の上に立っており、他人が自分の命令を聞いて当然だと思い込んでいるような性格が出ている顔つき。
 一言で言えば、傲慢。
 そんな人物が姿を現すなり、いきなりピニャに向かって怒鳴りつけたのだが……
 そもそも、現在ピニャはこの屋敷にはいない。俺が持ってきた書類を持って、他の貴族を尋ねている筈だ。
 ……さて、この男をどうするかだが。
 そんな風に考えていると、向こうも部屋を見回してピニャがいないのに気が付いたのだろう。どこか拍子抜けしたような表情を浮かべる。
 そこまでは良かった。だが、部屋を見回すという事は即ち俺達の顔を見回すという事でもあり。
 その中には、マクロス世界において歌と自らの容姿で人々を魅了していたシェリルの姿があった。
 そして、傲慢な性格をしている男がシェリルに目を付けるのは当然だろう。
 シェリルの方へと無造作に歩き出す男。
 当然そうなれば、シェリルの隣にいる俺にも向かって近づいてくるのだが、男はそんなのは全く気にした様子もなく口を開く。

「ほう、お前いい女だな。俺のものになれ」

 自分の言葉が絶対だと、断られるとは思ってもいないその一言。
 ピニャと似ている顔つきを見れば、この男がどんな人物なのかは大体想像がつく。
 ピニャの兄弟は数多くいるが、その中で目の前にいる男の性格や容姿が当て嵌まるのはただ1人。

「ゾルザル・エル・カエサル」

 ポツリと呟かれた俺の言葉に、目の前の男、ゾルザルがニヤリとした笑みを浮かべる。

「そうだ。どうやら自らの身の程を弁えているようだな。そうであるのなら、その女を俺に引き渡してとっとと去れ」

 確かにこの場にいるのが普通の男であれば、ゾルザルの言葉に従わざるを得ないのだろう。帝国の中で第一王位継承者ともなれば、それだけの権力があるのだから。
 だが……ゾルザルにとって唯一にして最大の誤算は、ここにいる俺達が帝国の住人であると勘違いした事だった。
 ゾルザルの態度を見てアウルが苛立たしげにしているし、ムウや高畑、スティングも不愉快そうに眉を顰めている。
 そして何より、シェリルが嫌悪感しかない目でゾルザルに軽蔑の視線を向けていた。
 こいつらが……特にシェリルとアウルが暴発する前に事を収めるとするか。

「さて、シェリル。この国の皇子が誘っているが……どうする?」
「はぁ? 冗談も程々にして頂戴。大体この程度の男があたしに釣り合うと思ってるの? それこそ、ゴブリンの牝でも相手にしているのがちょうどいい程度の男でしょ。いえ、この男を見る限りだと、ゴブリンの牝でも上等すぎるわ」

 俺が予想していたよりも、遙かに辛辣なシェリルの言葉。
 その言葉に、俺だけではなくアウルを含めた他のメンバーや、更にはこの屋敷のメイド、執事といった者達までもが必死に笑いを堪えていた。

「……」

 そして、ゴブリンの牝ですらもお前の相手としては勿体ないと人前で堂々と告げられたゾルザルはといえば、一瞬惚けたような表情を浮かべたものの、次の瞬間には顔を真っ赤に染める。
 まぁ、これまで自分の思い通りにならなかった事はないんだろうし、ここまで盛大に虚仮にされては当然だろう。
 もっとも、だからといってこちらがどうこうするつもりはないが。

「き、貴様……この俺を誰だか知っていてそんな口を利いているのか!」

 怒鳴り声ではなく、地の底から響いてくるような声。
 怒りの沸点を超えすぎたその声は、帝国にいる者なら絶対に聞きたくない声だろう。
 次期皇位継承者の恨みを買いたいと思う者がそもそもいない筈だ。
 だが……
 腰の鞘に収まっている剣の柄に手を伸ばした時点で、俺は座っていた席から立ち上がり、1歩を歩み出したゾルザルの前に立ち塞がる。
 ……正直に言わせて貰えば、シェリルにしてもある程度は自分の身を守る事が出来る程度の実力はある。それに比べてこのゾルザルという男は、多少鍛えてはいるようだがシャドウミラーの基準では弱者と言ってもいい。
 それこそ実働班の中では最弱でもあるスティングやアウルにも劣る程の。
 ただ、国のトップに立つ者が実際に強くなくても構わないというのは事実なんだよな。寧ろ俺のように、国のトップが最強ってのが色々とおかしいんだろう。

「言っておくが、その剣を抜いたらこちらとしても容赦はしないぞ。それでもいいのなら、その剣を抜いて見せろ」

 シェリルを背に隠すようにしながらゾルザルに視線を向け、そう宣言する。
 物事を穏やかに済ませるために告げた内容だったのだが、寧ろゾルザルは挑発と受け止めたらしい。
 シェリルの前に立ち塞がった俺を睨み付け、長剣に手を伸ばし……

「兄上! 何をやっているのですか!」

 俺が行動を起こそうとしたタイミングに差し込むような形で、そんな声が響き渡る。
 そちらに視線を向けると、そこにいたのはピニャ。余程急いで走ってきたのか、息を切らせている。
 にしても、皇女らしい裾の長いドレスを着ているというのに、ここまで走ってきたのか。それも、裾に躓いて転んだりせずに。
 その辺は寧ろ称賛すべきか? そんな風に場違いな事を考えていると、ピニャが部屋の中に入ってきて俺とゾルザルの間に立ち塞がる。
 この構図は何も知らない奴が見れば、ピニャがゾルザルから俺を庇っているように見えるんだろう。……実際は全く逆なんだが。

「ピニャ、お前が馬鹿な事を考えているという話を聞いてやって来たが……今はそれはどうでもいい。それよりもこいつ等だ。帝国の皇子たるこの俺に向かってふざけた真似をしてくれたのだ。ただで済ませる訳にはいかん」
「……兄上、それは妾の客に対して手を出すという事でしょうか?」

 そう告げつつも、ピニャの表情に浮かぶのは微かな安堵。
 ……安堵?
 疑問に思いつつも、すぐに何に安堵しているのかを理解する。
 確かに今の言葉を聞く限りでは、ゾルザルはピニャが停戦交渉をしようとしているのに気が付き、それを止めようとしてわざわざピニャの離宮まで来たのだろう。だが、何故かその場にいた俺達を停戦交渉を行うべき相手であると認識していないのだ。
 だからこその安堵。この時点でゾルザルが俺達の正体を知れば、間違いなく悲惨な結果に――もちろんゾルザルにとってだが――なっていたのだろうから。
 だがこの件に関してはゾルザルを責める事は出来ない。
 普通であれば、帝国内で一時的な停戦交渉をするという意見を統一してから初めて相手に対して打診するのだから。
 しかし、今回の場合は相次ぐ従属国の反乱に、それを鎮圧しようとして向かわせた軍隊もまた敗走の連続。
 その結果帝国軍の戦力が足りなくなり、俺達シャドウミラーが動いた時に即応できるようにしてある部隊までをも動かす必要が出てきた。
 つまり、帝国は悠長に時間を掛けていられる余裕はないのだ。
 その結果がピニャの独断専行ともいえる行動なのだろう。
 もっとも、一時的とはいっても停戦交渉だ。皇帝の許可なりなんなりは内々にでも貰っているんだろうが。
 ……まさか、その辺も全く伺いを立てていない完全な独断専行って事はないよな?
 ともあれ、そんな事情である以上はゾルザルが俺達をシャドウミラーを含めた異世界間連合軍のメンバーではないと判断するのは、ある意味でしょうがない出来事だった。

「この俺を侮辱したのだぞ? 例えこの者達がどこぞの国の貴族であろうとも、あるいはお前の客人であろうとも、やるべき事は変わらん」
「ピニャ、どけ。この男には己の分というものを教育してやる必要があるだろう」

 俺を守るように――正確には俺からゾルザルを守るように――立っていたピニャをどかすようにして、1歩前に出る。
 それを見てゾルザルも腰の鞘から剣を抜く。

「言っておくが、剣を抜いた以上はお前自身が斬られる覚悟があるんだろうな?」
「ふん、この俺を斬るだと? そんな真似をしてみろ、帝国そのものを敵に回す事になるぞ?」

 向こうとしては、そう言えば俺が反論出来ないと判断したのだろう。
 確かに帝国の皇子である以上、それは正しい。だが、それはあくまでもこの門世界の人間であればこそだ。
 故に……

「それがどうした? 帝国がどれ程強大だとこの場で口にしても、今のお前に何か関係があるのか? 俺の前に立っている、お前自身に」

 そう呟き、ピニャを置いて1歩を踏み出す。

「なっ、き、貴様! 帝国を敵に回すというのか!」
「だからそれがどうした? そもそも、お前がご自慢の帝国は従属国に反乱されまくって、しかもそれに敗走を続けている程度の国だぞ? そんな程度の低い国を敵に回して怯えろというのは笑い話にしかならないな」
「貴様……貴様ぁっ!」

 怒りの声と共に振るわれる刃。
 そもそも、ただでさえこいつ自身の剣の腕は決して高い訳ではない。精々がこの国の騎士のラインにいるかどうかといったところだろう。
 そんな人物の頭に血を昇らせて振るった剣が、俺をどうにか出来る筈もない。 
 そもそも、混沌精霊の俺に対して物理攻撃が意味を持つ筈もないのだが。
 半身を引く事で振り落とされた剣を回避し、振るわれた剣はそのままの勢いで地面へと叩きつけられる。
 余程に頭に血が昇っていたのだろう。床に叩きつけられた剣は石畳の破片を周囲に散らばった。
 だが、その一撃の衝撃がゾルザルの手に痺れを与え、動きが止まり……
 バギィン、という金属音が周囲に響き渡る。
 何をしたのかといえば、特に難しい事ではない。床に叩きつけられた剣の刀身を踏み……そのまま折っただけだ。
 その衝撃に耐えられず、剣から手を離すゾルザル。
 刀身の中程で真っ二つに折れた剣は、そのまま床を転がる。
 剣を握っていた手を押さえつつ、信じられないといった表情でこちらを見てくるゾルザルに対し、笑みを浮かべて再び1歩前に出る。

「さて、頼りの武器はなくなったが……それでどうするんだ?」

 今の出来事が何でもなかったかのように尋ねる。
 事実、俺にしてみればこの程度の攻撃は児戯にも等しいのだから。
 ゾルザルにしても、自分が全く相手にされていない……それこそ、路傍の石の如き存在と俺に見なされているのを感じ取っているのか、瞳に憎々しげな色が浮かぶ。
 それでも手を出してこないのは、目の前であっさりと自分の剣を折られるのを見たからか、はたまた俺との実力差を理解したからか。……どう考えても前者だろう。
 ゾルザルに相手の力量を測れる程の観察力があるとも思えない。

「……覚えてろよ、貴様」

 帝国の第1皇子としてのプライドを、文字通り先程の剣の如く折られたのだろう。地の底から響くかのような小声でそう宣言する。
 帝国に住む者であれば怯えるだろうその言葉も、俺にしてみれば相手にする価値すらもない。
 あるいはこれがシャドウミラーとは何の関係もない世界だったりすれば、話は別だったかもしれないが……何しろここは帝都。ホワイトスターを襲撃した者達の根城だ。
 故に、俺は妥協も譲歩も一切しない。

「ほう? 俺に何かするつもりか? ならばここで後顧の憂いは絶っておいた方がいいのかもしれないな。……どう思う?」
「くっ! ……ピニャ! 取りあえず今日のところはこれで済ませてやる! だが帝国が他国に膝を屈するような真似をするのは絶対に許さんぞ!」

 そう言い捨て、こちらの返事を聞く必要もないと去って行く。
 いや、寧ろ返事を聞くのを恐れたのか?
 ともあれ、騒動の原因だったゾルザルがいなくなり、周囲はどこかほっとした雰囲気に包まれる。
 もっとも、その雰囲気を発しているのは殆どがメイドや執事といった、ピニャの使用人達だが。
 シャドウミラーの面々や高畑に限っては、俺の実力を知っているだけに寧ろゾルザルに対して何もせずに追い出したのを不満そうにしている。……特にアウルが。
 気持ちは分かるが、一応、仮にも帝国の皇子なのだ。ここで実際に怪我をさせたりすれば、こちらの目的でもある停戦交渉に関して面倒事が起きるだろうに。
 当然あのまま引き下がらなければ、話は別だっただろうが。
 そんな俺達とは別に、違う意味で安堵の息を吐いているのはここの主でもあるピニャ。
 ゾルザル本人を庇っていたのが不意にならなくて安堵しているといったところだろう。
 深く溜息を吐いた後、こちらに向かって頭を下げてくる。

「兄上が失礼をした。だが、もうこのような事は起こさせないので、ゆっくりと楽しんでいって欲しい」

 頭を下げるピニャに、ゾルザルに目を付けられたシェリル自身が特に気にしていないという事もあり、結局その場はそのまま流されたのだった。
 もっとも、レオンは口元に計算通りだと言いたげな笑みが浮かんでいたのだが。 
 

 
後書き
アクセル・アルマー
LV:42
PP:290
格闘:301
射撃:321
技量:311
防御:311
回避:341
命中:361
SP:1402
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    ???
    ???

撃墜数:1167 
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