創られたもの
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4部分:第四章
第四章
「そうなったんだよ」
「わかってくれたかな」
「いや、わかれって言う方が無理じゃないか?」
夫の言葉である。
「それは」
「けれどね。実際にパパとママの目の前にいるし」
「それが事実じゃない」
幽霊達は二人にこう返した。
「ねえ。だから」
「それは受け入れないと」
「理屈がわからないわよ」
妻は彼等に対して理屈を出した。
「意志を持ってこうして出て来るなんて」
「だって創ってもらったから」
「愛情を注いでもらってるしね」
「そうそう」
ここで、だった。愛情という言葉が出て来たのであった。そしてこのワードが話に出るとだった。話の流れが変わるのであった。
幽霊達はだ。その愛情を交えて話すのだった。
「創ってもらえた時からそうで」
「それで一人一人創ってもらって」
「愛情を注いでもらったからね」
「だから意志を持てたんだよ」
そうだったというのである。
「それで。僕達もパパとママが大好きだし」
「二人のことを大事に思ってるから」
「つまり僕達もパパやママに愛情を持ってるってことだね」
「そうだよね」
こうした話を交えて。そしてだった。
「愛情を持ってくれている人の前に出るものだしね」
「やっぱりね」
「ううん、そうなのかな」
「言われてみれば」
ここで二人も何とか頷くものを見つけた。
「それで?」
「それで私達も貴方達が見えるのかしら」
「他の人はどうかわからないけれどね」
「多分そうだと思うよ」
また答える彼等だった。
「だからさ、パパ、ママ」
「いいかな」
笑顔で二人に対して言ってきた。
「これからもね」
「宜しくね」
「ううん、こんなことがあるなんて」
「まさかね」
二人はまだ首を傾げさせていた。
そのうえでだ。二人で話すのであった。
「けれど実際にいるしね」
「夢じゃないわよね」
妻はここで言った。
「やっぱり」
「ちょっとつねってみて」
夫は自分の頬を差し出してきた。右の頬をである。
「夢かどうかね」
「ええ、じゃあ私も」
「君も?」
「つねってみて」
妻はだ。左の頬だった。
それを差し出してだ。夫に言ったのだ。
「御願いね」
「ええ、じゃあ」
こうしてお互いにつねり合うとだった。痛かった。
その痛さを感じ合ってだ。二人は言い合った。
「夢じゃない」
「そうよね、夢じゃないわよね」
「うん、間違いないね」
「じゃあ」
そのことを確認し合ってだった。あらためて幽霊達を見てだった。
「夢じゃないことはわかったから」
「これは現実なのね」
「だからさっきから言ってる通りね」
「そうなんだよ」
「僕達は実際にいるから」
「ここにね」
そうだというのであった。彼等はだ。
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