IS 〈インフィニット・ストラトス〉×トリコ 食を探求する夏の毒!
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発見!龍たちの楽園!!
「何だもう行っちまうのか?」
「もうちょっと話したかったな、束さんとしては」
食事を終えた龍人を加え、ファルザーの傍に集まる3人を見送る為に出てきた明久と束。これよりアカシアが残したといわれる伝説の食材の捕獲に向かう為にとある海域へと向かおうとしていた。
「悪いな、早く実食したくてなぁ」
「やれやれまだ食う気かよ、龍兄の底なし加減には驚きだわ。三虎と良い勝負だろ」
「否定出来ないね」
そのような事を言いながらも3人はファルザーの背に飛び乗った。ファルザーは3人が背に乗ったのを確認すると高らかに咆え、翼を広げて飛び立った。
「じゃ~な~また会おうぜ~!!」
「絶対だよ~!!今度は束さんが手料理ご馳走するから~!!」
「何時でも来いよぉおお!!!!」
会長と副会長が力一杯の叫びを上げている中、千冬がダッシュでやってきて自分も大きな声を上げる。
「いちかぁああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!今日、あえて本当に良かった!!!私の弟で居てくれて、本当にありがとぉおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!!」
その声は確りと一夏に届いていたが、小さくファルザーと呟くとそのまま飛び去っていってしまう。反応を返してくれなかった弟だが、それでも千冬は嬉しかった。もう二度と会えない事を覚悟していた弟に会えた、その弟が元気にやっている。それが知れただけで満足だった。
「今でも愛しているぞ一夏、家族として、お前の姉として……」
「ねえ一夏、本当に良かったの何も言わなくて」
「……俺の姉は優奈だけだ」
「強がっちゃって」
唯真っ直ぐ前を見る一夏の頬を突く優奈。本当は一夏だって叫びたかった、自分の姉でいてくれて有難う、自分も貴方の事が好きだったと。だが言うわけにはいかない、言ってしまえばまた弱い自分に戻ってしまう気がした。自分には妻も子供もいる、強くいなければ。
「ったく、弱くたって守れりゃそれで良いんだよ」
「……ファルザー、帰りに一度、IGONEOに身体を寄せてくれ。寄せるだけで良い」
「キル」
顔を隠しながらファルザーに頼む姿に兄と姉は素直じゃないんだからと言葉を漏らす。それの照れ隠しをするようにファルザーが速度を上げる。
「んっ見えたぜ」
龍人が指差す先にあるのは荒れ狂う嵐の暗雲、時折顔を見せる光は全て稲妻。乱気流の海と言っても過言ではない巨大な積乱雲、海を酷く荒らすその様は正にミキサーと言えるだろう。
「あれが、目的地の前にある障害か?」
「ああ。ドラゴントライアングル、あの先にアカシアが残した食材が待ってる」
"ドラゴントライアングル"。太平洋の千葉県野島埼、小笠原諸島、グアムを結んだ三角形海域を、チャールズ・バーリッツなどのアメリカの超常現象研究家はバミューダトライアングルになぞらえ名付けられた実在する海域であり、魔の海域とも呼ばれている。
「ファルザー、行けるか?」
「キィルルル」
「聞くまでも無かったな。突っ込め!!」
頼もしげな声を漏らすファルザーも思わず笑みを零す一夏はそのまま突っ込むように指示する。優奈は一応一夏に抱きつき一夏は抱きしめ返す。龍人はグルメ界のサイクロンを経験済みなのでうろたえず、持ってきてたスキットルの酒を飲んでいる。そんな三人を乗せたファルザーは、積乱雲へと突っ込んだ。
激しく渦巻く大気、積乱雲の中は完全なミキサー状態。だが3人と1匹は全く動じる事無く、リラックスした状態だった。グルメ界の気候と比べてしまえば所詮暴風とそよ風。ファルザーも一夏たちも身体がゆれる事はするがそれ以上の事は全く起きていない。この世界の気象など、グルメ界に入界出来る彼らからしてたらその程度しかないのだ。
「んっ、光が見えたぜ。稲妻以外のな、一気に突っ切れ!!」
「キルルルルッ!!!」
一夏の声に答えるように、翼を強く羽ばたかせ流星のような速度になり積乱雲を両断するかのように突破する。そして、その奥へと広がっていたのはッ!!!
「んだ、こりゃああああ!!!??」
そこにあったのは、例えるならば王の如き佇まい。圧倒的な存在感と威圧感、島から放たれている命の鼓動とオーラ。溢れ帰る自然の命たち。その島の上空には多数の爬虫獣類、ドラゴンやワイバーンと言うべき生き物たちが空を支配し、大地を疾走し、大海を我が物顔で泳いでいる。そのドラゴン達は、グルメ世界では絶滅しDNAは残っているもののクローン化出来てないおらず、資料しか残っていない絶滅種ばかり。
「此処が……アカシアが残した食材がある島」
「そう。全ての龍が生まれ出でて帰る祖なる島、龍の楽園だ」
「龍たちの楽園………」
一夏は、その光景に目を奪われていた。グルメ世界でも見る事が出来ない龍たちの活き活きとしている姿に。この美しく、残酷で、綺麗な島に伝説の食材がある。一体それはどんなものなのだろうか。一夏は期待に胸を高鳴らせ、ファルザーに降下するように指示を出す。
―――――ドラゴンアイランド 中心部―――――
"………客、か……この匂い、そうかアカシアの弟子の弟子か……"
闇に身体を預けながら目を覚ました"それ"は一夏たちに気づいた。そして口角を上げ、嬉しそうな声を出した。
"楽しみだな……どんな人間なのか"
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