マニトー
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
8部分:第八章
第八章
「そんな連中で来たか」
「俺達が怖がってるって思ってるんだな」
「意識しているとしていないに関わらずそうなのじゃよ」
こう話す老婆だった。
「そういうことになる」
「へっ、ならだ」
「ここで恐怖を克服するってことか、またな」
「できるかのう」
老婆はこのことを問うた。
「それは」
「ああ、やってみるさ」
「やらないと事件が解決しないからな」
こう言ってだった。二人はまた拳銃を取り出した。
そのうえでクー=クラックス=クランの姿になっている彼らを見てだ。そしてだ。
また銃を放つ。それで再び一人倒す。
それを口火にして群がって来る彼等を次々に銃だけでなく拳や蹴りで薙ぎ倒していく。気付けば一瞬のうちに全員のしてしまった。
それで終わりだった。二人はここでまた携帯の向こうの老婆に話すのだった。
「おい、終わったぜ」
「これでな。全員倒したからな」
「ふむ。早いのう」
それを聞いた老婆は静かに述べた。
「もうなのか」
「こうした荒っぽいことは俺達の専門でな」
「軽いものなんだよ」
二人でそれぞれ言うのだった。
「だからな。こういうのはな」
「簡単にやれるさ」
「わかった。それではじゃ」
「それでは?」
「一体何なんだ?」
「マニトーは逃げるぞ」
二人への忠告だった。
「いいな、逃げるぞ」
「逃げる!?」
「また逃げるってのかよ」
「そうだ、逃げる」
二人に対しての指摘だった。
「間違いなくな」
「また蛇かよ」
「それでか」
「いや、そうとは限らん」
老婆が言うとだった。今倉庫の上の方にある小さな窓からだ。一匹の何か蝙蝠に似たまた漆黒のものが逃げようとしていたのだ。
その窓にはもうガラスもない。それは無残に割れてそこから小さな光が差し込んでいる。そこから逃げようとしているのだった。
「くっ!!」
「逃がすか!」
二人はすぐにその影に拳銃を向けて発砲する。しかしそれは間に合わなかった。
影はふらふらとであったがそれでも二人の拳銃をかいくぐりだ。そのうえで遂に窓から出てしまった。
そうしてそこから姿を消す。またしても逃げられてしまったのだ。
「もう無理か」
「逃げられたか」
「うむ、これではじゃ」
老婆もだった。諦めた声だった。
「どうしようもない」
「犯人逃がしたら何にもなりゃしねえじゃねえか」
「おい、婆さん」
二人は忌々しげに老婆に声をかける。
「今からいいか?」
「飛行機でも何でもいいから追っていいか」
「無茶を言うでない」
老婆はそれにはすぐに言い返した。
「幾ら何でもじゃ」
「忌々しい話だな」
「全くだな」
「しかしこの街にはもう二度と来ることはない」
老婆はそれは保証するのだった。
ページ上へ戻る