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戦国異伝

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第二百五話 支城攻略その八

「北条の城、領地はなくなりな」
「そして、ですな」
「最後は小田原と僅かになりますな」
「そうなればじゃ」
 それこそ、というのだ。
「首だけとなる」
「人は首だけでは生きられぬ」
「だからですな」
「うむ、やがてはじゃ」
 首だけしかないのならというのだ。
「終わりじゃ」
「幾ら小田原が無事でも」
「それでもですな」
「小田原だけではやっていけぬ」
 そのことがよくわかっているから言うのだ。
「だからじゃ」
「北条の城を陥としていき」
「北条を追い詰めていき」
「そして、ですな」
「最後は」
「勝つ」
 織田家が、というのだ。
「ではよいな」
「はい、それでは」
「次の城へ」
 二人も応えてだ、そうしてだった。
 北条家の城は次々と織田家に将兵ごと降っていった。そうして織田家は関東にその勢力も伸ばそうとしていた。
 その織田家を見てだ、遂にだった。
「そうか、佐竹がか」
「はい、結城家もです」
「そして宇都宮家も」
「里見家もです」
「次々と」
 信長にだ、幸村と兼続が報を届けていた。
「当家に降りです」
「その家臣の末席にと仰っています」
「どの家もじゃな」
「はい」
「左様です」
 二人は信長にこうも答えた。
「佐竹殿も里見殿もです」
「他の方々も」
「まだ降ると仰っていない方もおられますが」
「それでも」
「そうか、ではな」 
 それではとだ、信長はまずは頷いてだった。
 そのうえでだ、彼は二人にこう言った。
「降ることを許すとじゃ」
「どの方にもですか」
「お伝えしますか」
「そうする、これから降る家もな」
 まだ降っていないその家達もというのだ。
「喜んで迎える」
「織田家の中に」
「そうされますか」
「そして北条の家臣達もだ」
 彼等にしてもというのだ。
「降ればな」
「それで、ですか」
「織田家に加え」
「そして、ですか」
「織田家の勢力を」
「関東も完全に抑える」
 まさにこれが信長の考えだった。
「このままな。しかし」
「しかし?」
「しかしとは」
「佐竹家は降ると言ってきてじゃ」
 ここで信長はこれまでの笑みを消して二人に言って来た。
「伊達はどうじゃ」
「いえ、まだ何も」
「何も言ってきておりませぬ」
 二人は信長の今の問いにすぐに答えた。 
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