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美しき異形達

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第四十五話 博士その三

「それに貴女毒蛾の怪人だから」
「最初からわかっていたというのね」
「うん」
 その通りだとだ、向日葵は微笑んで答えた。
「そうよ」
「そうなのね、けれどね」
「怯えていなくても、わかっていても」
「防げないものもあるのよ」
 怪人は向日葵に自信に満ちた声で告げた。
「世の中にはね」
「それが、なのね」
「これよ」
 右手に持っているボールを己の顔の横に掲げる様にして持って来てだ、怪人は向日葵に既に勝ち誇っている顔で告げた。
「この毒のボールなのよ」
「それを受けたら」
「わかるわね」
「死ぬのは私ってことね」
「そうよ、覚悟はいいかしら」
 こう向日葵に言うのだった。
「楽に死ねるから安心してね」
「切り札を出すってことね」
「その通りよ、ではいいわね」
 向日葵を見下ろしている、そして。
 そのうえでだ、怪人はだった。
 そのボールを投げた、ボールは勢いよく向日葵に向かう。だがそのボールに対して。
 向日葵は弓矢を構えるとその弓矢をだ、構えてだった。
 ボールに向かって矢、光のそれを放った。それでまずはボールを貫いて相殺した。
 だがそれを見てだ、怪人は言った。
「そう来たわね、けれど」
「ボールはまだあるのね」
「そう、あるわ」
 こう言ってだ、実際に。
 その手から再び毒のボールを出した、そして今度は。
 そのボールは一つではなく無数に出してだった、次から次にだ。
 向日葵に対して投げた、だがそのボールに対して。
 向日葵は無数の光を放ってそれでボールを全て潰してだ、遂には。
 空にいる怪人にも放った、だが。
 怪人は身体を翻してかわした、左に飛び。
 しかしその左にもだ、向日葵は光を放っていた。その光が怪人を貫いた。
 カミキリ虫の怪人も薊に刃を放っていた、薊はその刃をかわしたが。
 すぐに反転して薊を後ろから攻めてきた、薊はその刃もかわしたが。
 着地してからだ。怪人に対してこう言った。
「ブーメランかよ」
「そうだよ、面白いよね」
「ああ、ブーメランって好きなんだよ」
 薊は笑ってこう怪人に返した。
「反転してくるってのがな」
「それでなんだね」
 怪人はその刃を手に受け取りつつ薊と話していた、そのブーメランを。
 再び薊に投げてだ、また言ったのだった。
「好きなんだね」
「そうさ」
「じゃあね」
「その好きなもので、っていうんだな」
「倒されるってことだね」
「ああ、それはないさ」
 薊は倒されることについてはあっさりと返した。
「あたしが勝つってのは決まってるからさ」
「おやおや、本当に自信家だね」
「自信はあるけれどな。あたしは嘘は言わないさ」
 それも全く、というのだ。
「それがあたしの誇りなんだよ」
「じゃあどうして僕を倒すのかな」
 こう言ってだ、怪人は。
 その手にだ、今度はその刃を。 
 一つではなく幾つも出した、そのうえで。
 その刃達を次から次にとだ、薊に放った。無数のブーメランが薊を襲うのだった。
 しかし薊はここでだ、刃をただかわすのではなく。
 真上に飛んだ、そのうえで。
 怪人と同じ高さまで至りだ、前にいる形になった怪人に対して。
 手に持っていた七節棍を放った、右手に持ったうえで棒に炎を宿らせてだった。
 棒を伸ばさせて突きを放ったのだ、その突きがだ。 
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