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とある異世界の交差物語(クロスオーバー)

作者:鉄龍王
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第22話 魁と黒の剣士、友と再会する

 
前書き
思った以上に時間がかかってしまいました。それでも何とか話が出来たので送ります。それではどうぞ! 

 


ルグルー回廊へ行く途中にモンスターに遭遇することは予想していた。だからこそ…その戦闘もわかっていたのだが…





「おらおらおらぁっ!!」

「ギャアッ!」

「グエッ!」

「ギャバァッ!」



「「「…………」」」



そんな事はお構いなしと言わんばかりに()()()()()()20近くのモンスターの群れを狩り尽くす鬼のごとき男とそれを少し離れた距離で苦笑しながら見守る3人




「てめぇ等全員…まとめて掛って来やがれぇっ!!」

「「「「ギャアアアアアアアアアアアアアアッ!!」」」」

「「「…………」」」




「え~と…お兄ちゃん?タカトラ君っていつもこうなの?」

「あ、ああ…たまにな。アイツ…SAOの頃はボス攻略の時も必ず風林火山(ギルド)の先頭に立ってな…攻略組の皆からは“切り込み隊長”と言われてたけど、一番名が通ったのは“(さきがけ)先生”だったな」

「魁先生?」

「そう、誰が言い始めたのか知らないけど、“攻略の時は真っ先に先陣を切る。勇猛果敢な見上げた男”…そんなタカトラに敬意を込めて付けられた名前が…」

「その“魁先生”ってこと?」

「そういうこと…まぁ、時々失敗することも多くてアイツが所属していた当時のギルドマスターのクラインに結構怒鳴られた時もあったけどな。ああその時タカトラの奴、勢い過ぎてコケてな、そのままモンスターの群れに…ってうおっ!?」

キリトがSAO時代のタカトラの失敗談をリーファに教えようとしたところでタカトラが倒したモンが飛んできたのだが、ギリギリの所でかわす事に成功したがキリトの顔は青褪めていた。

何故ならそのモンスターはスズメバチの形をしているが、頭だけはキショイおっさんの顔だった。しかも頭部はバーコード状態でタラコくちびる。


おまけにそのモンスターは…


「ん~、歓迎の証にディープなkissは い・か・が?ん~まぁっ… 」

 
と、何故か若本○夫ボイスでほざきながら唇を前に出してキスの姿勢で迫ってきたので当然キリトと隣にいたリーファの反応は…


「「ひぃぃぃぃぃぃぃぃぃっいいいやあああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」」


恐怖の悲鳴を上げるの彼らを責めることは誰にも出来ないはずだ。もしそんなモンスターに襲われたら誰だって恐怖を感じるし、絶対に遭遇したくない

そんなモンスターが自分の目の前にやって来たら誰だって恐怖を感じる。現にキリトの表情は完全に涙目で汗はグッショリとなっていた

「おいタカトラ!なんのつもりだ!?」

「あー悪い悪い。ついうっかり“ワザと”お前のほうに飛ばしちまったー(棒読み)(かっこ ぼうよみ かっことじ)

「謝罪の気持ちが一切篭ってない!?しかも何だよその(棒読み)(かっこ ぼうよみ かっことじ)って!?俺お前に何か恨みを買うことしたか!?」

「SAO時代にボス攻略の時、オレが狙ってたLA(ラストアタック)…お前がそれを何回横取りしたけ~?」

「………すみません………」

「お兄ちゃん!なにタカトラ君にそんな恨みを買うマネなんてしてるの!?おかげでこっちにまで被害受けかけたし、後ちょっとであたしのファーストキスを奪われる所だったんだよ!?」

「わ、わるいスグ…」

「え!?す、すまんリーファ!!オレがもうちょいキリトのみを狙えばこんな事には…」

「おいコラァッ!!お前最初からオレだけを狙っていたのかおい!?」

「あ?何当たり前なことを言ってんだキリト?SAOから風林火山(おれたち)はキリトみたいなリア充共を弄くりまくると誓ったんだぜ…?」

「そんな誓い、さっさとドブに捨ててこい!」

キリトとタカトラの馬鹿騒ぎが続き、リーファとユイが苦笑していると…


「「…!!」」


突然キリトとタカトラは誰もいない方向に目を向け、睨み付けていた

「どうしたの2人とも?」

「パパ?」

「タカトラ…気づいたか?」

「ああ…ちとヤベェかもな……」


「え、何?どういうこと?」

キリトたちの真剣な表情に少し不安になるリーファの質問にタカトラは答えた

「誰かがオレ達を見てる…急いでルグルー回廊に行こう!」

「ああ!」

「う、うん!」

タカトラの言葉にキリトとリーファはすぐに飛び立ち、洞窟へと向かった





キリトたちが目指した洞窟…ルグルー回廊に着くと、中はとても暗くよく見えなかった。リーファが言うには洞窟はスプリガンの得意分野だと言ってたので、キリトに灯りの呪文を頼んだ。

だがキリトはユイが教えてくれるスペルをたどたどしく言い、魔法を使う。ほの白い光の波動が広がり、タカトラたちの体を筒む。すると、視界が急に明るくなった。

「へー…これが暗視能力付加魔法か。スプリガンの魔法も捨てたもんじゃねぇな……」

「その言い方、なんか傷付く……」

「でも使える魔法は暗記しといた方がいいよお兄ちゃん。スプリガンのしょぼい魔法でも、それが生死を分ける状況だってひょっとするとないとも限らないし」

「うわ~、更に傷つく………」

「今更だしドンマイだキリト」

「うるせ!」


それからキリトを先頭に洞窟の中を進みながら たどたどしく、魔法のスペルを言い続ける。

すると突然リーファが立ち止まり、メッセージを開いた。


「どうしたリーファ?」

「今レコンからメッセージが届いたんだけど…」

リーファがレコンからのメッセージを伝えようとした瞬間、ユイが何かに気づいた

「パパ。接近する反応があります!」

「モンスターか?」

「いえ……プレイヤーです。数は……十二人」

「じゅうに……!?」

リーファは目を見開いて驚く

「ちょっとヤな予感がする…隠れてやり過ごそう」

「でも、どこに?」

「そこは私におまかせっ!」

そう言うとリーファはタカトラとキリトの腕を掴んで手近な窪みに引っ張りこんだ。キリトが一番奥。タカトラが一番外側。引っ張り込まれたので向きは中を向いている。リーファはタカトラとキリトの間。向きは外向き。……つまりだ。タカトラとリーファは向かい合っていてしかも隠れているわけだからとても顔が近い……

「喋るときは最低のボリュームでね。あんまり大きい声を出すと魔法が解けちゃうから」

「リーファ……近いんだが……」

「しょうがないじゃない……」

リーファは気にしていないようだがタカトラ本人は

「あと二分ほどで視界に入ります」


しかし姿を現したのはプレイヤーではなく…

「何だあれ……?モンスターかな?赤い、ちっちゃいコウモリが……」

「っ!?やばい!!」

「お、おいリーファ!?」

突然リーファが焦りの表情でスペルの詠唱を開始した

「ど、どうしたんだリーファ!?」

キリトの問いかけを無視したリーファの魔法が完成。掲げた手から無数の針が発射され、赤いコウモリに直撃した。コウモリはHPが無くなったらしく、赤い炎に包まれて消えた

「街まで走るよ、タカトラ君、お兄ちゃんっ!!」

「また隠れるのはダメなのか?」

走りながらキリトはそう提案するがリーファに却下される

「さっき潰したのは高位魔法のトレーシング・サーチャーだよ。トレーサーを潰したのは敵にももうばれてる。この辺に来たら山ほどサーチャーを出すだろうから、とても隠れきれない。それに……さっきのは火属性の使い魔なの。ってことは、今接近しているパーティーは……」

「っ!サラマンダーか!!」

「だから行こう!」

そう言って3人はさらにスピードを上げて走った








しばらくして、ようやく地底湖に囲まれた中立の鉱山都市へ繋がる橋に到着した一同。



「どうやら逃げ切れそうだな!」

「油断して落っこちないでよ。この地底湖には大型モンスターがいるから」

「だそうだぜキリト?」

「なんで俺が落ちる前提!?」

3人の余裕がある談笑を交えながら橋の中央にさしかかったとき、背後から二つの光が頭上を通過した。それは目の前の地面に着弾し……巨大な岩壁となって道を塞いだ

「やばっ……」

「な……」

「にぃ…!」

俺は翅を使って急制動をかける。キリトは勢いそのままに壁に剣を突き入れるがあっさり弾かれる


「……ムダだよ」

「もっと早く言ってくれ……」

「言ってもそのまま行っただろうが…」

「お前だって行きそうになったくせに!」


2人の喧嘩が続きそうなのでリーファが目の前の岸壁の説明を始めた


「これは土魔法の障壁だから物理攻撃じゃ破れないわ。攻撃魔法をいっぱい撃ち込めば破壊できるけど……」

「その余裕はなさそうだな……」

3人の後方から赤いプレイヤー…サラマンダーの部隊が接近してきた

「飛んで回り込む……は無理。湖に飛び込むのはアリ?」

「ナシ。さっきも言ったけど、ここには超高レベルの水竜型モンスターが棲んでるらしいわ。ウンディーネの援護なしに水中戦するのは自殺行為よ」

「じゃあ戦うしかないわけか」

そう言ってキリトは自身の剣を構える

「それしかない……んだけど、ちょっとヤバいかもよ……サラマンダーがこんな高位の土魔法を使えるってことは、よっぽど手練のメイジが混ざってるんだわ」

「キリト…左 頼めるか?」

「もちろん」

「じゃあ、リーファ。後方支援を頼むぜ」

「え?」

「ここは場所が狭い…思いっきりとはいかないが、2人でならなんとかなる。だからリーファにはオレ達の回復を頼む」

「わ、わかった…」

リーファが後方に下がったことを確認したキリトとタカトラは目を合わせ、互いに頷いた瞬間…猛スピードで走り抜け、サラマンダーの部隊に突っ込み、戦闘が始まった

サラマンダーはキリトとタカトラに攻撃をしようとせず、三人が横並びになり、防御の姿勢を構えた。

キリトたちの一撃にサラマンダーはHPが一割減るが、後ろにいる、メイジ部隊がすぐに回復魔法で回復させた。そして、さらにその後ろに居るメイジが火炎魔法でキリトたちを攻撃する。

「ぐあっ!」

「がっ!」

爆発に巻き込まれたキリトとタカトラは吹き飛ばされ、HPがイエローにまで減った


リーファの回復魔法でHPを完全回復させる。HPが回復すると、キリトは再び走り出し、今度は下から斬り上げ、タカトラは逆に上から斬り下ろすように斬る。

それにより、サラマンダーの防衛部隊はHPが半分減るがすぐに回復させられ、またキリトたちに攻撃魔法が襲い掛かる。

タカトラはうまく避けたがキリトは斬り上げた時、ジャンプしたので今は空中に居る。

そのため、キリトは防御もできずに攻撃をモロに食らう

我慢の限界だったのか、リーファはキリトたちにある提案を出した

「もういいよ、お兄ちゃん!またスイルベーンからやり直して何時間か飛べば済むことじゃない!奪られたアイテムだってまた買えばいいよ、ここはもう諦めようよ……!」

だがキリトもタカトラも、その提案は受け入れられなかった

「「…いやだ!」」

キリトが大声を上げた

「俺が生きてる間は、パーティーメンバーを死なせやしない。絶対にだ!」

続いて今度はタカトラが声を上げた

「オレも同じだ…仲間を助けるのに、もう迷ったりしない!オレは…魁先生だぜ!!」







「よく言ったね、キリト」


「なるほど…沖田君と藤堂君が気に入るわけですね」








頭上を二つの影が飛びこえた。

そして、目の前にそれぞれ刀を持ち、眼鏡をかけたウンディーネ、茶髪で猫耳のケットシーがいた。

キリトとリーファは誰か分からなかったが、タカトラはすぐに察した


「まさか…ソウジに山南さん!?」


タカトラの質問に2人は肯定するように頷き、キリトたちの横に立ち、眼鏡をかけたウンディーネがある作戦を伝えた

「まずは藤堂君…いえ、タカトラ君がサラマンダーの前衛を崩し、私とソウジ君が斬り捨てます。その隙をついてキリト君、君がサラマンダー部隊の中央まで入り込んで彼らを攪乱してください」

「やれるよね?」

「アンタたちは………いや、援護感謝する」

キリトがそう告げると、4人は構えを取り、最初にタカトラが走りだし、敵の前衛部隊を力任せに切り崩した

そして、分断させると、左右からソウジと山南と呼ばれたウンディーネが襲いかかった。あっと言う間に前衛部隊は混乱し、乱戦に入った。中々決着(かた)をつけられず、業を煮やしたリーダー格のサラマンダーは次の指示を出した

「くそっ!爆裂魔法だ!アイツらを吹き飛ばせ!」

「し、しかし、それでは前衛部隊も!?」

「そんなの知るか!いいからやれ!」

リーダー格のサラマンダーの指示にメイジ部隊が一斉に魔法と唱え始める。



その瞬間を待っていたかのようにタカトラ達が声を上げた


「「「今だっ!キリトっ!!!」」」


「うぉぉぉおおおおおおおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉっっ!!!」


獣のような雄叫びを上げたキリトが今度は走るのではなくジャンプで2m以上も高く跳び上がり、サラマンダー部隊の中央部分に着地した。普通ならそれは自殺行為だが、そこから先はキリトの独壇場だった。いくら武器の扱いに長けて、魔法を得意とするサラマンダーといえども、残っているのは後方支援が基本のメイジ部隊。接近戦最強クラスのキリトには敵う道理がなかった。そしてサラマンダーの前衛部隊を全滅させたタカトラ達も参戦して部隊はほぼ壊滅。リーダー格のサラマンダーは目の前の4人から逃げようと湖に飛び込むが、アッサリと水竜型モンスターの餌食になった。

キリトたちも重戦士部隊を倒し終わっていた。

残るはメイジ一人だけ

リーファは剣を抜き、切っ先を向ける。

「さあ、誰の命令とかあれこれ吐いてもらうわよ!!」

「こ、殺すなら殺しやがれ!」

「この……」

「いや~、危なかったな」

と、ここで緊張感が漂う空気を壊した男はキリトだった

「よう、ナイスファイト!良い作戦だったな。彼らの援護がなかったらやられてたぜ」

「は?」

「ちょ、ちょっと、キリト君?」

「お、おいキリト?」

今さっきまで敵対していたサラマンダーのメイジとリーファ、タカトラは呆気に取られてしまった。あえてソウジと山南は黙って彼らの様子を見守っていた



「まぁ、見てな。それで、ものは相談なんだけど、これ、今の戦闘で俺がゲットしたアイテムとユルドなんだけど、俺たちの質問に答えてくれたらコレ全部上げようかな~なんて…」

「え?」

「あ、彼らとも話済みなんだけと、彼らも質問に答えたら彼らがゲットしたアイテムとユルドもくれるってさ。無論そこのケットシーとウンディーネ、サラマンダーも」

「…………まじ?」

「まじまじ」

そこで、メイジのサラマンダーとキリトさんはにやっと笑った。


「パパ…」

「お兄ちゃん…」

「お前って奴ぁ…」

娘と妹と戦友からの痛い責めの視線を受けながらキリトは交渉を続けた。その間キリトは背中から大量の冷や汗を流していたが本人はそれをあえて無視して交渉した




そして交渉の結果、いくつか分かったことがある。

なんでもキリトたちを狙ってきたのはサラマンダーの上の人からの命令だったらしい。作戦の邪魔になる危険要素だから攻撃を仕掛けてきたらしい。
そして今日、大人数の部隊が北に向かって飛んで行ったとのことだ。世界樹攻略なのかと思ったが、どうやら別の理由があるらしい。

約束通り情報は貰ったので、サラマンダーの人には先ほどの戦闘でゲットしたアイテムとユルドを渡して、帰した

「それにしても、さっきは援護サンキュー。アンタたちが来てくれて助かった」

「いいよ。かつての仲間の為だからね」

「仲間?」

「ちょっと忘れたのキリト?僕だよ、ソウジだよ」

「ええええええっ!?」

「?」

事情をまだ知らないリーファは首をかしげ、すでに察していたタカトラは黙ってその様子を見ていた

そしてタカトラは眼鏡をかけたウンディーネ…山南に話しかけた

「で…アンタは山南さんだよな?」

「ええ、君からの応援要請として急いでアミュスフィアとALOのソフトを購入したからここまで来るのに結構苦労しましたよ…」

そう言いながらため息を吐き、眼鏡をかけ直す山南さん…とここで

「ああ、ちなみに私のアバターネームは“ヤマナミ”です。皆さん、どうかよろしくお願いします」

「「「よ、よろしく(お願いします)…」」」

初対面のキリトとリーファ、ユイは少し戸惑いながらも挨拶を交わした

話を聞くと、ソウジとヤマナミはタカトラからのメッセージを受けてALOにダイブしたらしい。そしてソウジはエギルに連絡を入れ、SAO生還者(サバイバー)で協力してくれる仲間を集め、ALOに入ったとのことだ。


そして…


「さて…それじゃあ、街に入ろうか。あそこにSAO時代(むかし)の仲間が待ってるよ」

「お、おう…」

ソウジの案内で街に入るキリトたち。囚われの身となったアスナを救うためにSAOの仲間たちが徐々に集結している。


戦いの時が近いとキリトは心の中でそう感じていた…




 
 

 
後書き
はい!ここでソウジと山南こと“ヤマナミ”さんを登場させました。次はあの将軍との闘いです。次回もお楽しみに!! 
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