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美しき異形達

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第四十四話 薊達の決意その十

「皆違うから」
「血縁は血液型でもわかるから」
「そうしたこともね」
 姉妹でまた菊に言った。
「だからね」
「私達は姉妹ではないわ」
 鈴蘭と黒蘭以外はというのだ。
「外見も違うし」
「幾ら何でもそこまではね」
 ないというのだ、こう話してだった。
 九人で博士の研究室がある棟まで進んでいく、その中で。
 ふとだ、菖蒲は周りを見回しつつ言った。
「広い大学ね」
「はい、本当に」
 桜が菖蒲のその言葉に応えた。
「広い場所ですね」
「ここまで広い大学はそうはないわね」
「日本で最も広い大学と言われていますね」
「動物園や水族館もあるし」
「学部も多いです」
「牧場まであるから」
「相当な広さです」
「というかそんな大学他にないぜ」
 薊も驚嘆の顔で言う。
「絶対にな」
「おそらく海上自衛隊の幹部候補生学校よりも広いわ」
「防大よりもな」
 薊はこの大学の名前を出した。
「広いだろうな」
「薊ちゃん防衛大学行ったことあるの?」
「ああ、あるよ」
 実際にとだ、薊は裕香に答えた。
「二回な」
「そうなの」
「見学させてくれってお願いしたらな」
 それで、というのだ。
「許してくれるからさ」
「意外と簡単にそうなれるのね」
「自衛隊ってそこら辺優しいんだよ」
「見学させてくれって言ったらなの」
「させてくれるんだよ」
 それが自衛隊だというのだ。
「まあそれでもやばい場所はな」
「見学させてくれないわね」
「これ軍事機密じゃね?ってところはさ」
 流石に、というのだ。
「ないぜ」
「そうなのね」
「ああ、そうだよ」
 それで、というのだ。
「あたしあそこには二回行ったんだよ」
「それで見学したのね、中を」
「広かったよ、あそこも」 
 薊はしみじみとして裕香に話した。
「歩き疲れる位にさ」
「そこまでだったのね」
「ボート出す場所もあったし」
「ボート?」
「短艇ってあってさ」
 小さいオールで漕ぐ船がというのだ。
「そこに二十人位で乗って訓練するらしいんだよ」
「あっ、それ江田島でもあるわよ」
 向日葵が言って来た。
「海上自衛隊のね」
「あっ、そうなのか」
「あれは海軍の訓練で」
「それはわかるよ、漕ぐからな」
 即ち海でするものだからだ。 
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