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ドリトル先生と二本尻尾の猫

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第三幕その七

「いや、それがまた美味しくて」
「どちらのお茶でしょうか」
「京都の宇治です」
「おお、宇治の」
「噂には聞いていましたが」
 宇治のお茶のことをです、先生はそれを日本に来てから聞いたのです。
「美味しいです」
「あそこのお茶はまた別格です」
「日本のお茶の中でも」
「下りものとさえ言われる位で」
「上方からのですね」
「そうなのです、その宇治のお抹茶を贈られるとは」
 このことからです、教授さんは先生を見てからこうしたことを言いました。
「そうですか、どうやら日笠さんは」
「あの方が何か」
「いえ、まあ先生も独身ですし」
「だからですか」
「お考えになってはどうでしょうか」
「何か最近よく言われますが」
「合うと思いますよ」
 教授さんは微笑んでまた言いました。
「先生と日笠さんは」
「ですが僕は」
「ご結婚のことは考えておられますね」
「一応は」
「では」
「それでは」
「いえ、それが」
 先生ははにかんでなのでした、こう教授さんに返しました。
「僕はどうにも」
「女性については」
「これまで交際したことがありません」
「そうなのですか」
「苦手でして」
 女性との交際はというのです。
「別に同性愛でもないですが」
「それでもですか」
「女性との交際は」
「ううむ、先生は恋愛学は」
 学問のことならかなりの先生もです、そちらの学問はといいますと。
「どうやらまだまだ」
「論文を書いていません」
「いえ、書かれて下さい」
 笑ってこう返す教授さんでした。
「是非」
「恋愛学の論文を」
「そして学問は論文も大事ですが」
「実学ですね」
「そうです、それも重要なので」
 だからこそというのです。
「そちらの学問にも励まれることを願います」
「難しいですね、スポーツ以上に」
「スポーツ以上にですか」
「僕は馬は乗られますがスポーツは苦手です」 
 その全般がです、先生は身体を動かすことはとかく苦手です。お散歩と乗馬はしますがそれでもなのです。
「どうしても」
「そして恋愛はですか」
「そのスポーツ以上にです」 
 苦手とだというのです。
「ですから」
「いやいや、苦手でもです」
 それでもだというのです。
「是非共です」
「そちらも学んで」
「ご結婚されて下さい」
「ううん、難しいですね」
「難しくともです」 
 それでもというのです。
「しません」
「そうなのですね」
「はい、ですから」
 絶対にと言ってです、そのうえで。 
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