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ブラック・ブレットー白き少女

作者:虚無龍
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会議と再会と邂逅と


 あれからしばらくたったある日、蓮太郎は自らが所属する民間警備会社の社長、天童木更と共に防衛省の庁舎に来ていた。

 伊熊将監というプロモーターと、ちょっとしたいさかいがあったものの、それ以外は大きな問題などはなかった。

 そして、会議室のような場所で、なんと東京エリアの統治者たる『聖天子』が中継映像を使って、直接この場に集めた民警達に依頼の内容を話始めた。

『ガストレアから、ケースを一つ回収する』

 という、簡単過ぎる依頼内容と、あり得ないくらいの破格の報酬に対して、木更が聖天子に問い詰めた。

 しかし、そこで蓮太郎が前に遭遇した殺人鬼、蛭子影胤とその娘、蛭子子比奈と名乗る物が現れ、民警がたった今回収を命じられたケースを手入れようとしていることを伝え、この話し合いに唯一参加していなかった民警の社長の首を置いて去っていった。

 そこで聖天子は七星の遺産という、大絶滅を引き起こす危険なものが狙われていると明かしたのだった。

 ここで話し合いは終わると思われたが、木更が気になっていたことを聖天子に聞いたのだった。


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「聖天子様、もう一つだけ聞いてもいいでしょうか?」

 木更は唐突にそう言った。

「はい、なんですか?」

「狐のお面をかぶった白髪の少女のことを何か知りませんか?」

 すると、一瞬だが、聖天子の顔に驚愕の色が見えた。

「…………どこでそれを?」

 先程の時よりもかなり緊張感を増した聖天子が聞く。

「蓮太郎くんが今回の依頼の対象となったガストレアにガストレアにされた男を倒したのはそんな特徴の少女だときいたものですから」

 すると、聖天子は少し考えこんで、ようやく口を開いた。

「…………決して他言しないと誓えるのであれば少しだけ教えて差し上げましょう」

 その言葉は木更だけに言われた事ではなく、この場にいる民警の関係者全てに向けられたことばであった。

 それらの人々は顔を見合わせると頷き合った。

「我々の中でもその様な報告が合ったことがあるものは少なくないはずだ。教えていただけるのでしたら、是非ともお願いしたいのですが」

 先程、蓮太郎といさかいがあったプロモーター、伊熊将監の所属先『三ヶ島ロイヤルガーダー』の社長、三ヶ島影以がそう言うと、

「ああ、あいつか。俺と同じ様な武器使ってやがったから、戦ったが、軽くあしらわれちまったしな」

「はい、しかもまだまだ手加減している様子でした」

 そう、伊熊将監が言うと、相棒のイニシエーターの千寿夏世が同意した。

「くそっ! 忌々しい!」

「やめたまえ将監! 聖天子様の前で!」

 そう言われた将監は、さすがに聖天子の前でこんな事をしたことには反省しているのか、大人しく引き下がった。

「…………全員一致で聞く事に賛成と言うことで良いのですか?」

「「「「「はい」」」」」

 この場のほぼ全員が言うと、聖天子は語り始めた。

「…………彼女の正体は我々でも掴めていません」

「!?」

 蓮太郎が驚愕した顔をするが、この場にいる者の大多数が同じ様な反応をしたのだった。

 何故なら、聖天子とその隣にいる天童菊之丞はまごうことなき、東京エリアの頂点に立つ者達である。

 そんな人物が調べきれないなど、よほどのことである。

「彼女が初めて確認されたのは約六年前。モノリスの外でです」

 このことにもかなりの非常識さがあったが、最早この程度のことで驚く者はいなかった。

「そこは大阪エリアからの亡命キャンプが壊滅した場所でした。当初は、菊之丞さんの調査から生存者ゼロというになりそうだったのですが、後日、衛星からの映像で確認したときにその姿が確認されました」

「ちょっと待ってくれ、亡命キャンプが壊滅したのはそいつの仕業なのか?」

 出過ぎたことだと自覚しつつも、蓮太郎は聖天子に聞いた。

「いいえ、亡命キャンプが壊滅したのはあるガストレアによるものです」

「…………亡命キャンプっつってもそれなりの武装はしていたはずだ。それを単騎で壊滅させるとなれば識別名があるはずだ」

 蓮太郎は勘違いをしていたが、真実を知るものがそれに答えることはなかった。

「それを知るには、あなたのIP序列が足りません。一定以上の人は既に知っているでしょうから、この場てそれについて話すことはありません」

 蓮太郎は歯噛みをしたが、ここで食って掛かってもどうしようもなく、最悪強制退室さられるので、ぐっとこらえた。

「…………では続けます。それから彼女の存在は確認されまんでしたが、三年前から頻繁にこの東京エリアの外周区にて姿が確認されるようになりました」

 すると、伊熊将監のイニシエーターの千寿夏世がなにか心当たりがあるような顔をしていた。

「『呪われた子供達』にとっては、かなり有名な人物です。何しろ食料を無償で与えてくれるのですから。現れては消え、現れては消えを繰り返しているのですが、ガストレアが現れたら時はいくつかの条件を満たしていた場合に高確率てあらわれます」

「その条件とはなんでしょう?」

 今度は木更が聞いた。

「一つ目はいままで倒したことがない姿、もしくはいままで倒した個体に似ていないこと。
 二つ目は人がほとんどいないこと。
 最後に、そのガストレアに首に相当する部位が存在すること。
 これらに該当しない場合でも、外周区の『呪われた子供達』が危機にさらされている場合はほぼ、確実に出現します」

 蓮太郎はつい先日の延珠の言葉を思いだし、ステージⅢのガストレアを倒したのは、危険だったからなのかと納得した。

「しかし、これらに該当している場合でも現れないこともあります。そして、モノリス周辺を警備している人達からの、モノリスの外へ出ていく目撃情報などもあり、他のエリアにも行っている可能性がたかいです」

 単騎で他のエリアまで行く。

 その過酷さは、民警である彼らが一番よくわかっていたものだから、脂汗を流す者もいた。

「そして最後に、
 彼女は必要とあらば手段を選びません」

 この言葉だけでは理解出来ていない者のほうが多かった。

「以前、外周区にて『呪われた子供達』を殺そうとしていた人達がいました。恐らく、ただの気晴らしくらいにしか思っていない様な人達でしょう」

 蓮太郎は心当たりがあるからこそ、ムカついたのだった。

「そして彼女は…………なんの躊躇いもなくその全員を殺害しました」

「!!」

「普通に会話が出来たという報告があることから、人間嫌いということではなく、敵意には敵意を、害意には害意を、友好には友好をといった感じでしょう」

「…………彼女が今回の件に関わってくる可能性は?」

 木更が躊躇いがちに聞くと、

「ないとは言いきれません。どんなものかは把握していませんが、彼女は常に何かしらの目的があるようですから。敵になるか味方になるかは分かりませんが」

 蓮太郎は嫌な予感がしたのだった。


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「へくちっ!」

 場所は変わって外周区。

 時間は夕暮れ。

 アリスはお面を外した状態で、大量の食べ物と愛用のバラニウム製の大剣がのっている大きなリアカーを引いているところでくしゃみをした。

「何処かで私の噂でもしてるのかね」

 噂どころか、民警の社長らが集まって、秘密会議の様なことをしていたのだが、アリスはそのことを知るよしもなかった。

 しばらく歩いて、マンホールの前で止まると、そのマンホールをノックし始めた。

 すると、

「なにー?…………アリスお姉ちゃん!」

「久しぶりだねマリア」


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「久しぶりですね、アリスさん」

「さん付けはやめてくださいよ…………長老」

 マリア会ってから、約一時間後、アリスはようやく長老ーー松崎と会うことができた。

 何故、一時間も立ってしまったかと言うと、マリアが大声を出したせいで、マンホールチルドレンになっていた『呪われた子供達』が全員がアリスが来た事に気付き、群がってきて、なかなか離してくれなかったからだ。

 今は皆、アリスが運んできたご馳走の方に群がっている。

「ははは、こんなに食べ物を持ってきてくれる人をさん付けせずになんと呼ぶんですか?」

「普通に呼び捨てで良いじゃないですか…………」

 アリスは松崎にさん付けで呼ばれることが苦手だった。

「それで、しばらくはこの辺りにいるんですか?」

「まあね」

 松崎はご馳走に群がっている『呪われた子供達』を微笑ましそうに眺めながら話す。

「今日の所はもう行くことにするよ」

「もうですか? もっとゆっくりしていけばいいのに」

「これ以上ここに居たら、また群がられて出ていけなくなっちゃうじゃん…………」

 確かに、と言いながら笑う松崎に挨拶をしてお面をかぶり、アリスは帰ることにしたのだった。

 そして…………


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「こんばんわ、アリス」

 仮面をかぶった一人の男と、小太刀を二本もった一人の少女と出会ったのだった。
 
 

 
後書き
ボツネタ
影胤「こんばんわ、アリス」

 仮面をかぶった一人の男と、小太刀を二本もった一人の少女と出会ったのだった。

アリス「か、仮面キャラが…………被ってるだと?」

影胤&子比奈「へっ?」 
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