妖精の義兄妹の絆
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エドラス編
消えゆく街
その日、ある男は一人マグノリアの街を歩き回っていた。どうやら何かを探しているらしい。
にゃー
男は一匹のネコを抱えてまじまじと見る。
「違う!!!」
この男はお目当てのネコを探しているようだ。
にゃ?
「こいつも!!」
にゃーん
「こいつも!!!!」
朝から探し回っているが一向に見つからない。
ふら ふら
男は体を左右に揺らしながら路地裏を歩いている。
そして、男の体力が底をついた。
ズテーン
「ぐほっ。」
思わず地面に倒れてしまった男はしばらく動けず、小刻みに震えていた。
「火竜や新入りのガキ共にネコがいて…なぜ同じ滅竜魔導士のオレにはネコがいねぇ?」
もうお気づきかと思われるが一応自己紹介をしておこう。
男の名はガジル・レッドフォックス。妖精の尻尾の魔導士で、タクヤたちと同じ滅竜魔導士である。
先日タクヤたちが入ってきた時に自分以外の滅竜魔導士にネコがいる事に気づいてしまった。
納得できなかったガジルは対抗心からかその日からネコを探し回っているのだ。
意識が朦朧としている時、目の前にひとつの影を見つけた。
「!」
ニャーン
光の加減でシルエットしか分からなかったが、
それはガジルが血眼になって探し回っていたものにそっくりだった。
「お…おお…。」
ガジルは今日一番の笑みを浮かべていた。
その頃、妖精の尻尾のギルドでは…。
「777年7月7日?」
「オレたちに滅竜魔法を教えたドラゴンは同じ日にいなくなってるんだ。」
「そういえば前にナツがガジルの竜も同じ日に姿を消したって言ってたかも。」
一つのテーブルではルーシィとタクヤ、ウェンディ、シャルル、エマが席について話していた。
「どういう事なの?」
「遠足の日だったのかしら。」
ルーシィは悪気もなく言い切った。
「ルーシィさんもたまに変な事言いますよね。」
「ドラゴンってどんなお弁当食べるんでしょうか?」
「お前も乗るんじゃねぇ。」
「火竜イグニール、水竜マリーネ、鉄竜メタリカーナ、天竜グランディーネ。
みんな…今どこにいるんだろう。」
四頭のドラゴンが同じ年の同じ日に消えた事は確実に偶然ではないだろう。何かしらの理由があるはずだ。
タクヤとウェンディは心の中でそう思った。
ぐがー ぐごー
そんな話をしているタクヤたちをよそにナツは柱にもたれかかって寝ていた。しかも立ったままで。
ナツの近くにはハッピーが自分が釣ってきた魚をリボンできれいにラッピングしていた。
きゅっ くりん てれーん
肉球でよくこれだけ器用な事ができるなと感心してしまう。
「シャルル〜!!」
「!」
ハッピーはラッピングし終わった魚を持ってシャルルの元にやってきた。
「これ…オイラがとった魚なんだ。シャルルにあげようと思って。」
「わぁ!大きい魚ですね。」
「いらないわよ。私…魚嫌いなの。」
プイ
シャルルはそれだけ言ってハッピーに顔を背けた。
「そっか…じゃあ何が好き?オイラ今度…、」
「うるさい!」
突然大きな声でハッピーを怒鳴った。
「私につきまとわないで。」
「まぁまぁそう言わずに…、」
「アンタもついてこないで。」
「あう…。」
「フン。」
シャルルはそう言い残してその場を去ろうとする。
「ちょっとシャルル!!」
「どこ行くんだよ。」
ウェンディとタクヤの呼びかけにも応えずすたすたと歩いていった。
「何もあんな言い方しなくても…。ねぇハッピー。」
「シャルル!!ちょっとひどいんじゃないの!?」
それでもシャルルは振り向かず歩き続けた。その目に浮かんだ涙を見せないために。
(「何が“幸せ”よ…。何も知らないくせに…。」)
「待ってシャルル〜。」
たったったっ
ハッピーはシャルルを追って外に向かった。
「なんかシャルルってハッピーに対して妙に冷たくない?」
「私にもですよ〜。もう長い付き合いなのに…。」
「どうしたんだろ…。」
そして、シャルルを追っていたハッピーがようやく追いついた。
とっとっとっとっ
「シャルル〜。」
「何よ。つきまとわないでって言ったでしょ。」
シャルルは相変わらず愛想のない態度でハッピーに言った。
「オイラ…何か悪い事したかなぁ。」
「そーゆーのじゃないの。」
ハッピーがしおらしくしているのを見てシャルルはため息をついた。
ちょうどその時エマもシャルルを追ってやってきた。
「ハァハァ…シャルル…。どうしたって言うんですか?」
エマもシャルルとは長い付き合いだが一向に心を開いてはくれなかった。
その事も多少あったのか少し強い口調でシャルルに言った。
「…あなたたちにナツとタクヤは守れない。」
「「え?」」
「私はウェンディを守る。何があっても絶対にウェンディを守る。」
シャルルの一言には強い決意を感じたハッピーとエマだったがその真意が分からなかった。
「オ…オイラだってナツを守れるよ!!!!ナツはオイラを仲間って言ってくれるんだ!!!!」
「わ、私もです!!!!」
「守れないわ。
自分が何者か知らない猫には。」
ゴロ ゴロロ ゴロロ
空は次第に青空が雷雲に覆われていった。
(「自分が…何者か…。」)
(「一体…どういう…。」)
ハッピーとエマが去っていくシャルルを眺めながら思っていると何故か引っかき傷だらけのガジルが現れた。
「そのキズどうしたの?」
「うっせェ!!!!」
ザザザ ザザ ザー ザー
マグノリアの街一帯は激しい雨に見舞われていた。
そんな中ウェンディはシャルルを見つけた。
「シャルルーやっと見つけたっ!!!」
「ウェンディ。あんた、傘もささずにカゼひくわよ。」
「シャルルもでしょ!」
ウェンディは頬を膨らませてシャルルの目線に合わせる。
「シャルル…。私たちギルドに入ったばかりなんだからもっとみんなと仲良くしなきゃダメだと思うの。」
「必要ないわよ。アンタがいれば私はいいの。」
「もぉっ!!またそーゆー事ばかりっ。
それにハッピーはともかくエマとはもう長い付き合いなんだからもっと仲良くしなきゃ!!
エマも可愛そうだよ。」
「そんなの必要ないわよ。」
「はぁ…またそんな事…。」
ザァァァァ
すると雨が激しくなり向こうの道から誰かが歩いてきた。
「!」
「誰?」
ザザザザ
「ウェンディ。」
覆面を被った男がウェンディの名を口に出した。
「え…?その声…。」
「!!!」
「まさか、君がこのギルドに来るとは…。」
ばさっ
そう言いながら男は覆面を脱ぎ、その素顔をウェンディとシャルルにさらした。
「……!!!!ジェラール!!!?」
その男は先日のニルヴァーナの一件で評議院に連行されたジェラールだった。
「ど、どういう事!?あんた、確か捕まって…。」
「それは私とは別の人物だ。」
「そんな!!!」
「どう見たってアンタジェラールじゃないっ!!!」
「私は妖精の尻尾のミストガン。
7年前はこの世界の事はよく知らず、君にはジェラールと名乗ってしまった。」
ミストガンと名乗ったその男はウェンディとシャルルに説明した。
「え?」
(「この世界!?」)
「ま…まさか…。」
コクッ
ウェンディは気づけば両眼に涙を浮かべていた。
「あ…ああ…あなたが7年前の…あの時のジェラール…。」
ザザザザ
「ずっと…ずっと会いたかったんだよ。」
ウェンディは体を震わせ涙を流しながら言った。
「会いに行けなくてすまなかった。」
ミストガンはウェンディに謝罪した。
「ひっ…ひっぐ。」
「だが…今は再会を喜ぶ時間は無い…。」
「え?」
ウェンディたちはミストガンの言っている意味がわからなかった。
「今すぐこの街を離れるんだ。」
ふら
「!!?」
がくっ ばしゃ
すると突然ミストガンは膝から崩れた。
「ジェラール!!!!」
ミストガンをよく見てみるとかなり衰弱しているのがわかる。
「私の任務は失敗した…。大きくなりすぎた“アニマ”はもはや私一人の力では抑えられない。
間もなくこの街“マグノリア”は消滅する。」
突然のミストガンの発言にウェンディはついていけていなかった。
いきなり街が消滅すると言われてもピンとこない。
「ど…どういう事?ぜんぜん意味わかんない…。」
「終わるんだ。消滅はすでに確定している。」
ザザザザ
「せめて…君だけでも……。」
「妖精の尻尾は!!?ギルドのみんなはどうなるの!!?」
その頃、ギルドでは…。
「雨…やまないなぁー。」
「ね。」
「プーン。」
窓から空を見ていたルーシィはそう言った。雨が降っていては仕事に行く気にもなれない。つまり暇なのだ。
「ジュビアのせいじゃないと思う。」
「誰もそんな事言ってねーよ。」
ジュビアは昔のトラウマからかルーシィに言った。
「くかー。」
「いつまで寝てんだナツ。」
さっきからずっと寝ているナツにエルフマンがつっこんだ。
「顔にらくがきしちまおーぜ。」
「そういえばタクヤは?」
「エマたちを探して来るってさ。」
「おっ。いたいた。」
タクヤは雨が降る街を傘をさしながら歩きエマとハッピーを見つけた。
「タクヤ…。」
「ほら、傘ささねーと風邪ひいちまうぞ。」
そう言ってタクヤはエマとハッピーを自分の傘の中へ入れた。
「ありがとうございます。」
「ありがとう。」
「お前たちだけか?ウェンディとシャルルは?」
タクヤはウェンディとシャルルの居場所をエマとハッピーに聞いた。
「…わかんない。」
「どうしたんだよ。元気ねぇぞ。」
「オイラたち…シャルルに嫌われてるのかなぁ…。」
ハッピーとエマは肩を落として元気をなくしていた。
「大丈夫だよ。嫌ってるとかそーゆー事じゃないんだよ。
アイツ昔から一人で全部抱え込もうとするからさ。」
タクヤはエマとハッピーの頭を撫でながら言った。
「もっとオレたちに頼ってくれてもいいのにな。」
「全員…死ぬという事だ。」
ミストガンは分かりやすく、それでいて残酷な結末をウェンディたちに告げた。
ザザザザ
すると、
バシャ バシャ
ウェンディが突然妖精の尻尾に走り出した。
「ウェンディ!!!」
「みんなに知らせなきゃ!!」
バシャ バシャ
「行ってはいけない!!!君だけでも街を出るんだ!!」
「私だけなんてありえない。
私はもう妖精の尻尾の一員なんだから!!!」
そう言い残してウェンディは妖精の尻尾に向かった。
ゴロゴロ ゴロゴロ
「雨の日は彼氏とデートにかぎるね。」
「カナ…。お客さんに出す分の彼氏“お酒”は残しておいてね。」
カナがカウンターで樽ごと酒を飲んでいるのを見てミラジェーンはそれとなく注意した。
「あれ?こんな日にどっか行くのかい?ミラ。」
カナは出かける支度をしていたミラジェーンに聞いた。
「うん。ちょっと教会まで。」
その近くではエルフマンがジェットとドロイに説教していた。
「漢ならもっと強くなれ!!!そんなんじゃレビィは守れんぞ!!!」
「お、おう。」
「わかってるよ。」
「エルフマン。行くわよ。」
説教の途中でミラジェーンがエルフマンを呼び出す。
「姉ちゃんからも言ってやってくれ。こいつら、この前仕事でヘマしやがってよォ。
先にのびちまってけっきょくレビィ一人で仕事を片づけたんだとよ。」
「うう…耳が痛え。」
「情けねぇ…。」
ドロイとジェットは耳を塞ぎながら自分の情けさをしみじみ感じていた。
「ジェットもドロイもがんばってると思うわよ。」
「ミラちゃ〜ん♡」
「それなりに。」
「ひでぇ!!!!」
一度上げられそこを一気に落とされた二人はさらに落ち込んでしまった。
その様子を見ていたルーシィはふと疑問に思った。
「こんな日にわざわざ教会に何だろう?」
「あ!そっか。」
「もうすぐリサーナの命日だったね。」
「リサーナ?」
ルーシィは聞き覚えのない名前にレビィとかなに訪ねた。
「ミラとエルフマンの妹なのよ。仕事中の事故で2年前にね。
命日が近づくとあの二人教会に通い出すんだ。」
ルーシィはそれを聞いて思い出していた。
妖精の尻尾のみんなはそれぞれ何かを抱えている。
ルーシィがギルドに入ったばかりの頃にミラジェーンから聞いた事だ。
ミラジェーンもその一人だ。あんなに明るく振舞っているのにそんな悲しい事があったとは思えなかった。
「そういえば、アンタ…リサーナにちょっと似てるわね。」
「そーなの?」
「ナツと仲いいとことか。」
ルーシィはそれを聞いて未だに寝ているナツに目を向けた。
ぐがぁー ぐがー ごがぁー ごがぁぁ
「ふーん。ナツが昔女の子とね~。」
一方こちらでは…。
「おまえさ、ベタベタしすぎなんだよ。」
「ガーン。」
ここではグレイとジュビアがカラメードフランクなる物を食べていた。
「もっと上手に食えねぇのかよ。」
「ジュビア…は、初めて食べるものだから…。」
ジュビアのテーブルの周りにはカラメードフランクからこぼれたクリームでいっぱいだった。
その様子を密かに見ていたビスカとアルザックは、
(「「いちゃいちゃしやがって。」」)
「カラメードフランクはこう食うんだ、こう!」
がぶっ
グレイは口を大きくあけてカラメードフランクを口いっぱいに頬張った。
「でけぇ口開けてだな。」
「こうれふか。」
はぐ
ジュビアもグレイの食べ方を見て口いっぱいにカラメードフランクを頬張った。
「もともと上品に食うモンじゃねぇんだ。」
「でも、服は脱がない方がいいと思う。」
いつの間にかグレイの格好はパンツ一枚と化していた。
(「どうやったらあんな積極的に…。」)
(「僕もいつかビスカと…。」)
そんな事を考えている時に二人は目が合ってしまいすぐさま視線をそらした。
「あ、雨やまないわね。」
「そ…そうだね。」
「おまえたちは相変わらず仲がいいな。」
二人の後ろから声をかけたのはエルザだった。
「いや…そんな…。」
「エルザさん。」
「今を大切にするんだぞ。後悔しないためにな。」
それだけを言い残してエルザはその場を後にした。二人の心拍数が急激に増えたのだった。
「おい、エルザちっとぉ。」
「はいマスター。」
「例の100年クエストなんじゃがな。いろいろ検討したんじゃが…やっぱり他にまわそうと思う。
異論はないか。」
「妥当だと思います。」
エルザとマカロフから離れた場所ではルーシィがテーブルにうなだれていた。
「ヒマだね。」
「こんな雨だと仕事する気もおきないしね。」
「なんか面白い事起きないかなー。」
ザザザザ
「はっはっ。はっはっ。」
そんな中ギルドのみんなに危険を知らせるためウェンディはギルドに向かって走っていた。
ばしゃん
「きゃっ。」
急ぐばかりに足がもつれその場にこけてしまった。
「うう…。」
早く立ち上がろうとした時、
「?」
水たまりに空が映っており、雲が異様な流れで渦巻いていた。
ゴゴゴゴゴ
次第に空には渦ができ。さらに徐々に大きくなっていく。
ゴゴゴゴゴ
「アニマが。」
ミストガンは空にできた渦を見て呟いた。
「おい!!なんだよあれ!!」
「あいやー!!」
「空に穴が…!!」
そして、ウェンディがようやくギルドの門までやってきた。
「みんなー。大変なの!!!!空が…、」
ゴォォォォォ
「!!?」
ウェンディの目の前でギルドが異常な歪み方をし始めた。
ギルドだけではない。周りの民家なども同じようになっていく。
「何これ!!みんな!!」
バチィ
「きゃ。」
ウェンディの行く手を遮るかのように魔力が弾けている。
マグノリアの街は空にできた渦に引き寄せられていった。
オオオオオオ ゴォォォォォ
そして…
ヒュオォォォォ
「うそ?」
ウェンディの目の前に広がっているのは何もない平野だった。
辺りには白いシャボン玉のようなものが無数に舞っている。
「ギルドが…消えた…。街も…全部…。」
ウェンディは辺りを見渡すがどこも同じ景色が広がっているだけだった。
「そ…そんな…。一体…何が起きたの!!?誰かいないの!!?」
ウェンディは大声で叫んだがもちろん誰かが応えてくれるわけではない。
ウェンディ以外の人がいないからだ。それでもウェンディは呼び続けた。
「誰か…。」
次第にウェンディは声を出す事をやめた。現実を受け止めたのだ。
「あれ?なんで私だけここにいるの?街もギルドも全部消えちゃったのに…なんで私だけ…!!」
もぞ
微かに音がした方に目をやった。
ボコッ
地面が音を立てながら盛り上がっている。
「ひっ。」
ボゴゴ… もこ… ボッ ボフ
「な…何だぁ!!?」
地面から現れたのはナツだった。
「ナツさん!!!」
「ウェンディ…あれ?ここどこだ?」
(「私以外にも残ってた…。」)
安心したからか自然と涙が滲んできた。
「何も…憶えてないんですか?」
「寝てたからな。」
「ここ…ギルド…ですよ。」
ヒュウゥゥゥ
「は?」
ナツの頭には?が浮かんでいた。ナツじゃなくてもにわかに信じ難い事ではあるが。
「突然空に穴が開いて…ギルドも街も…みんな吸い込まれちゃったんです。」
「?」
ナツの頭にまた一つ?が増えた。
「本当です!!!残ったのは私たちだけみたいなんですよ!!!」
ウェンディは必死にナツに今の状況を伝えようとした。
「ウェンディ…。どっかに頭ぶつけた?エライこっちゃ。」
「ちがーう。…もしかして!滅竜魔導士だけが残された!!?」
「そうよ。」
ぱたぱた
そこに現れたのはシャルルだった。
「!!」
「シャルル!!よかった!!無事だったんだね。」
「まぁね。滅竜魔導士が持つ特殊な魔力が幸いしたようね。よかったわ。あなたたちだけでも無事で。」
シャルルはそう解釈してウェンディたちを納得させる。
「シャルル…。」
「そりゃ聞き捨てならねぇなぁ。他のみんなはどうでも…………………って、
本当に消えちまったのか!!?」
やっと理解したナツはみんなを呼びかけた。
「消えたわ。正確にはアニマに吸い込まれ消滅した。」
「アニマ…。」
ウェンディはそのワードに聞き覚えがあった。7年前、ジェラールが言っていたワードだ。
「さっきの空の穴よ。あれは向こう側の世界“エドラス”ヘの門。」
「おまえ、さっきから何言ってんだよ!!!みんなはどこだよ!!?」
「ナツさん。」
ナツはイラついてシャルルに怒鳴り、それをウェンディが止める。
「ねぇシャルル。何か知ってるの?そういえば、何でシャルルは無事だったの?」
シャルルはその問いにすぐには答えられなかった。
「ナ~ツ~何これ~!!!街が〜!!!」
「いきなりすごい衝撃がしたと思ったらこんな事に…!!!」
「おぉ!おまえたち無事だったか!!」
そうこうしている内にハッピー、エマ、タクヤがやって来た。彼らも難をのがれたらしい。
「ハッピー。」
「お兄ちゃん!!エマ!!」
ウェンディはタクヤを見るやいなや元気な姿を見て安心した。
「私は向こう側の世界“エドラス”から来たの。」
「「え!?」」
「そこのオスネコとメスネコもね。」
「「!!!」」
「ど…どういう事だ…?」
しばらくそこに沈黙が訪れた。シャルルは暗い顔をしながら言った。
「この街が消えたのは、私たちのせいって事よ。」
後書き
どーも!!ついにエドラス編がスタートしました。これからもよろしくお願いしまーす
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