ドリトル先生と二本尻尾の猫
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第二幕その九
「そのうち国籍もね」
「日本になのね」
「そうしようかなって考えてるよ」
「そこまで日本がお好きなのね」
「日本もイギリスも大好きだよ」
これは先生の偽らざるお考えです、先生はどちらの国も大好きでそれこそ心から愛しています。
「食べものはこちらの方がだけれど」
「あら、イギリスの食べものは好きじゃないのね」
「味はね、どうしてもね」
そこはとです、先生はどうしても苦笑いになりました。
「何ていうか」
「日本の方がよね」
「美味しいね」
「いや、私も先代のご主人と一緒にイギリスに行ったけれど」
お静さんは苦笑いになってイギリス料理のこともお話します。
「あれはね」
「口に合わなかったかな」
「正直最初の一口でね」
「駄目だったんだ」
「フィッシュアンドチップスだって」
イギリスの代表的なお料理の一つであるこれもというのです。
「駄目だったわ」
「そうだったんだね」
「それは先生もなのね」
「うん、ティーセットもね」
先生が三時にはいつも食べているこちらもです、先生はこの三時のティーセットをお口にしないとどうしても駄目なのです。
「日本で食べる方がね」
「いいのね」
「最初食べて驚いたよ」
日本のティーセットをというのです。
「こんなに美味しいのかってね」
「というかティーセットはイギリスが本場でしょ」
「本場でもそれでもだよ」
「美味しいのは」
「うん、日本の方だよ」
「そう言うのね」
「それに日本は他のお料理も美味しいから」
そのことも含めてというのです。
「料理は日本だね」
「我が国の方が美味しいのね」
「僕はそう思うよ」
「それは何よりね、じゃあまた」
「うん、またね」
「顔を出させてもらうわ」
「何時でもね」
「じゃあお客さんが来ない様だったら」
お静さんは微笑んでこんなことも言いました、
「招こうかしら」
「その妖力で」
「とはいっても怖いものじゃないわよ」
このことはしっかりと言うお静さんでした、そして。
右の手をです、お顔の横に置いて猫の前足の形にしてです、招く様にして。
動かしてです、こう言いました。
「こうしてね」
「あっ、招き猫だね」
「そうよ、私jはこのお店の招き猫でもあるのよ」
このことも言うのでした。
「だからね」
「お客さんに来て欲しい時は」
「こうしてお招きするのよ」
「便利だね、その力は」
「それで私が化け猫になってからは」
それこそというのです。
「もうね」
「それこそだね」
「そう、お店が繁盛してるのよ」
「文字通りの招き猫なんだ」
「そういうことよ、私はこのお店の招き猫よ」
自分からも言うのでした。
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