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リュカ伝の外伝

作者:あちゃ
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男の甲斐性②

(サラボナ)
ビアンカSIDE

「お前かリュカ!? お前なんだろう!?」
突然登場したルドマンさんの大声に皆が驚き固まっていると、
「何がだよ?」
と、少しも驚いてないリュカがユルい口調で問い返す。

そして、それに続くのは
「お前の子供なんだろうって言ってるんだ!」
とルドマンさんからの爆弾発言!

やっぱりなの!? やっぱり、またやらかしちゃってたの!?
そんな思いでフローラさんとアンディーさんに視線を向けるが……妻は兎も角、夫も戸惑った様子は無い。先程はリュカの冗談に狼狽えてたのに……

「もう、いい加減にしてよパパ!!」
するとド派手な格好をした女が、この応接室に入ってきた。
そう、ルドマンさんのもう一人の娘……デボラである。

「やぁデボラ、久しぶり~。暫く見ないうちにオッパイがまた大きくなったね……つーか、オッパイだけじゃないけど」
うん。相変わらずのハデハデ衣装に身を包み(もういい歳なのに)露出度を高め見せびらかしてるが、彼女のお腹は膨らんでいる……今の私と同じ様に。

「そっか、デボラも遂にママになるんだね。パパは誰かなぁ?」
「何を白々しい事を……(怒)」
知人の妊娠に素直に喜ぶリュカ……だがそれを怒りの形相で睨むのは妊婦の父親。

「え……僕がデボラを孕ませたと思ってるの!?」
ごめんリュカ。私も疑っちゃってます。
アナタ前科多すぎなのよ。

「僕じゃねーよ父親は。つーかデボラ本人に聞けよ……誰がパパなのかを!」
「誰でもいいでしょ!」
どうやら本当にリュカは無実な様で、妊娠した張本人(デボラ)に真実を話させようとする……が、彼女は言いたくない様子。

「いいわけねーだろ。僕が疑われてんだよ……」
「……リュカじゃない! それさえ判ればいいでしょ」
「よくない! 全くもってよくないわ!!」

リュカの呆れた口調に対し何時もの様に高飛車な態度でリュカの無実を告げるデボラ。
私としてはリュカがこの手の事で嘘を吐くとは思ってないから、その一言で了解できるけど……お祖父ちゃんになるルドマンさんには納得できる訳ない。

「どうせリュカの事を庇ってるんだろデボラ!?」
「何でそうなんだよ?」
まったくだわ……何でそうなるの?

「お前以外にこんな事をしでかす奴は居ないだろうが!」
そうとは言い切れないでしょう……
リュカの普段の行動は多々問題あるだろうけど、今更嘘を吐く理由が存在しないわ。

「はは~ん、さてはお前……子作りの仕方知らないんだろ」
「な、何を言うか馬鹿者!」
激怒しリュカを責め立てようとするルドマンさんに、ニヤケた表情で突飛な事を言うリュカ。

「だってそうだろ。子供の作り方を知ってりゃ、それをデボラに行ってない僕を疑う事は無いのに……違うと言っても信じない。……って事は」
娘を2人も持つ父親に対し、ムカつく口調で馬鹿にするリュカは……面白い。

「それによく見ろ、お前の娘2人を!」
「ふ、2人が如何したというのだ!?」
フローラさんとデボラが何だって言うのかしら?

「このハゲの成分が1ミクロンでも混入されてたら、こんな美女になるわけないだろ。お前子作り知らないから、奥さんが他所で頑張ったんだよ(笑)」
「ふざけた事ぬかすなぁぁぁぁ!!!」

今のはリュカが悪い。
ルドマンさんを馬鹿にするだけなら兎も角、奥さんまでも巻き込んじゃ拙いわよ。
禿げ上がった頭頂部から湯気が出てるじゃない……

「ふざけた事をぬかしてるのはお前の方だろ。僕もデボラもヤってないって言ってるのに、それを信じようとしない。だから僕もお前の全てを疑ったまでだ。どうだ疑われる気分は?」
「むぅ……うむ……」

ルドマンさんが大人しくなったわ。
リュカの言う正論っぽい事に惑わされてるのかしら?
まぁあの状況じゃ話も出来ないし、これはこれで良いのかしらねぇ……

「で、では……本当にお前じゃないのだなリュカ?」
「オメーしつけーなぁ。ヤってたら“ヤった”って自慢してるよ……真っ先にお前に自慢してるよ」
しそう……本当に自慢をしそうだわ。

「で、では誰なんだ一体?」
「知るかよそんなこと」
「もう。誰でも良いでしょ!」

「良くないわい! ワシの孫の父親だぞ」
そうでしょうねぇ……良くはないわよねぇ。
でもデボラも言いたくないみたいだし……本当にリュカじゃないの?

「なぁルドマン。今重要なのはそんな事(父親)じゃないだろ! 今重要なのは、これから新たな命が誕生するって事だよ。そしてその子を立派に育てなければならないって事だよ」
頑なに父親の事を言いたがらないので、再度リュカの事を疑い視線を向けたが、一瞬何かを納得した様な表情をし、そしてデボラの援護に回り出した。

「良いかいルドマン。もしデボラの事も、これから生まれる子の事も大切じゃないと思ってるのなら、何時までも子の親の事を詮索すればいいさ。でもね、そんな状態で出産するデボラに……そんな環境で生まれる子供に、良い影響があると思ってるのかい? 出産でナーバスになるデボラに『ふしだらな女め!』と常に気配を漂わせ、生まれた子供の多感な時期に『誰の子だ貴様は!?』と感じさせ……それがより良い家庭環境だと言えるのかい?」

「あ、いや……それは……」
リュカの台詞に口籠もるルドマンさん。
しかし何か怪しい……デボラとは肉体関係は無いと言いきったから、その事は信用して良いのだろうけど、何かを隠そうとしている。何だ……?

「し、しかしだなリュカ……責任が如何のとか言う気は無いが、生まれてくる子供に父親は必要だろう。ワシはそれを心配しているんだ」
ふむ……ルドマンさんも言うわねぇ。“生まれる子供の為”って言われれば、リュカだって怯むかもしれないわ。

「なるほどね……確かに生まれる子供に父親は必要だな」
「だろ!? お前もそう思うだろ!」
お……ルドマンさん、勝利を確信したか?

「ではこうしよう。デボラさえ良ければ僕が父親になろう!」
「「「はぁぁぁ!?」」」
私を含めほぼ全員でハモった“はぁぁぁ!?”だった。ハモらなかったのは大笑いしてるポピーだけ……心配だわ、あの()の将来が。

「や、やっぱりお前が父「だから違うと言ってるだろ! 実際は父親じゃ無いが、血の繋がらない父親になってやるって言ってんの!」
やっぱり何か隠してるぅぅぅ!

「ふざけんな馬鹿、何でアンタを父親にしなきゃならないのよ!? 御免被る」
「そうは言うけどデボラ……ルドマンの……君のお父さんの言う事にも一理あると思うな僕は。子供には父親が必要だよ。僕だったら打って付けだと思うね……何故なら既に沢山子供が居るから。母親の違う子供が複数居るからぁ(大笑) あはははは、ちょーウケるー」

ウケないいわよ!
「ウケるか馬鹿!」
「お前なんか父親に出来るか!」

ルドマンさんもデボラも、多分この場に居る皆(ポピーを除く)の気持ちは一致しただろう。
つーか何であの()笑ってられるの?
あれ本当に私の娘?

「じゃぁ如何すんのさ?」
「父親なんて必要ないわよ。世の中の大多数の父親ってのが、養育費や生活費を稼ぐだけの存在よ。つまり金さえ稼いでいれば、私達の側に存在しなくたって問題ないのよ。だったらパパが居れば良いだけじゃない! 養育費も生活費も私のパパで、この子のお祖父ちゃんが稼いでくれれば良いのよ!」

凄い事言ってきたわこの女……
「なるほど……反論できないなぁ」
いや、父親代表として反論しなさいよリュカ!

「そ、そうですわお父様……姉さんの子供です、私も叔母として子育てに協力しますし、ルディーも弟か妹が出来たみたいで嬉しいです」
「そ、そうですよお義父さん。僕達皆で協力し合ってより良い家庭を築きましょう」

何だか話が纏まりつつある。
リュカの話術の所為か?
何か釈然としない物があるが、この雰囲気を壊さない為に何も言わない方が大人なんだろう。

「ルドマンは幸せ者だなぁ……こんなに素晴らしい家族を持ってるんだから」
ルドマンさんとデボラの肩を抱き、優しく諭す様に言葉をかけて二人を密接させるリュカ。
絶対に何かを隠してるのだろうけど、取り敢えずの解決を迎えたので、私は何も言わないで置く……この場ではね。

ビアンカSIDE END



 
 

 
後書き
さてさて~、デボラの子供のパパは誰なんでしょうねぇ? 
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