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美しき異形達

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第四十二話 近付く真実その十三

「急ぐ必要もないから」
「そうだしな」
「そう、行こうね」
「そうしような」
 こうしたことも話しながらだった、三人は二台のバイクに乗ったまま街に向かって行く。そして街に向かうのだが。
 不意にだ、薊も桜もだった。
 お互いに顔を見合わせてだ、こう話した。
「ちょっとな」
「はい、ここはですね」
「街に行く前に」
「少し行きましょう?」
「?まさか」
 裕香もだ、二人の様子が変わったことから察して言う。
「怪人が」
「ああ、気配がな」
「はっきりとありました」
 二人も実際にこう裕香に言う。
「だからな」
「ここはです」
「街に行く前に」
「一勝負となります」
「何かこうした時になると」
 裕香はヘルメットの奥でその顔を曇らせて言った。
「いつも出て来ない?怪人って」
「そこが気になることはな」
「前々からよね」
「そこもわかるといいな」
「そうよね」
「まあ今はな」
 薊はヘルメットの奥で目を鋭くさせて言うのだった。
「そうしたことを言ってもな」
「仕方ないわよね」
「だからな」
「まずは戦うことです」
 桜も言う。
「場所を変えて」
「ここから人気のない道に行くか」
「六甲山の方に行きましょう」
 桜がこう提案してきた。
「ここは」
「そうしてだな」
「はい、そこで」
 その六甲山の街道でというのだ。
「戦いましょう」
「そうしような」
 二人で話してだ、すぐにだった。
 二人は裕香を乗せたまま街から六甲の方に向かった、そしてすぐに六甲の道まで来た。そこに入ってだった。
 桜は薊にだ、穏やかではあるが注意する口調でこう言った。
「この六甲の道はです」
「上下が凄いうえに曲がりくねってるな」
「はい、ですから」
「ちょっとしくじるとな」
 その運転をだ。
「それでな」
「大事故につながります」
「そうした道だからな」
 それで、というのだ。
「注意しないとな」
「運転にも」
「けれどな」
 難所だ、しかしだった。薊も桜ももう一つの利点もわかっていた。そしてその利点は他ならぬ薊自身が言った。
「人気がないからな」
「それが一番大きいですね」
「ああ、丁渡いいよ」
 そのことだけでもというのだ。
「誰にも見られないことが何よりだよ」
「そうですね、もっともそのことは」
「いつもだけれどな」
「連中絶対に他に人がいる状況じゃ出ないからな」
「そのことは有り難いですね」
「ああ、全くだよ」
 そうだというのだ。
「これから戦えるよ」
「心おきなく」
「じゃあやるか」
 薊は自身のバイクを走らせつつこうも言った。
「これからな」
「はい、そろそろですね」
「来るな」
「私達のところに」
 まさにと話す二人だった、そして。
 その二人のところにだ、後ろからだった。
 二台のバイクが来た、今も薊の後ろにしがみついている裕香が後ろを振り向いてそのうえで薊に対して言った。 
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