ベストフレンド・モアイ
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
その出会いは、突然だった
その出会いは、突然だった
春、出会いの季節。なんて言ったのは誰だろう
今まで、春にやってきた転校生で、ロクな奴はいなかった
中学校3年生に上がった今年も、きっと、いい出会いなどないのだろう
あーあ、なんでもいいから、面白い転校生でもやってこないかなぁ
キーンコーンカーンコーン
チャイムが鳴る。朝の会が始まる。今年も、いつもと変わらないメンバー、平凡、何一つ変わりのない3年生だ
「はい、今日は転校生が来ています」
うちのクラスの担任、角田先生。髪の長い女の先生。特技は、機械いじり、そして爆発させる
しかし転校生かぁ・・・・どんなやつなんだろ。かわいいやつだったらいいんだけどな
「モアイくん、入っていいよ」
その先生の言葉に、俺は冷や汗が出た
も・・・・モアイ?!いや、俺の聞き間違いだよな、模合くんの間違いだよな?!
ガラッ!
教室を開けて、そいつが入ってくる
その出会いは、突然だった
「もっ・・・・モアイィィィィィィィィィィィ!!」
俺は叫んだ。いや、叫ぶ以外ないぜ、ありえないだろ
顔は完全に、イースター島のモアイ。体は全身、石で出来ている。おそらく特注であろう大きな制服に身を包んだ、2メートル近くはある、ほぼ巨人だった
だって、教室に入ってくるときも、ドアが小さいから、ちょっと身をかがめて入ってきてるし
「石田君、そんなに驚かない。モアイくんに失礼よ!」
先生はそう言うが、驚かないほうがおかしいぜ
だってクラスのみんな、笑ったり、固まったり、ねて・・・・って、気絶してるやついるじゃねぇかあああああ!!
うぉいうぉい!どうして、モアイがこんなところにいるんだよ!
「はーい、みんな、静かに」
誰も口開けねぇよ!
「今回、1週間限り、この学校にいることになった、イースター島から来た、モアイくんです」
「せんせー、モアイくんの狙いは、この学校の侵略ですかー」
このクラスで一番の、肝が強い男、佐上が手を挙げた
佐上は、こんなことじゃ驚かない。あいつは、目の前にカエルがいようが、死体が転がってようが、爆発が起ころうが、驚かない
おばけ屋敷に入れると、お化けを全員フルボッコにして出てくるほどだ。恐ろしいやつだ
佐上の将来の夢は、地球侵略、らしい。2年の頃、好きな四文字を習字で書こう、という授業に
俺は「威風堂々」なんて、カッコ付けで書いたが、あいつは堂々と「地球侵略」と書くほどだから、よっぽどだ
そんな、侵略大好き男は、侵略してくる外部のやつを徹底的にたたきつぶす、そんな姿勢を取っていた
「いえ、僕は決して、学校侵略は考えていません。今、世界のことを知ろうと、イースター島からたくさんのモアイが世界に旅立っています。僕はその、日本を任されたに過ぎないんですよ」
モアイが喋った。低くて、優しい声。これが・・・・イケボってやつか・・・・・!
「それって侵略じゃん」
佐上は負けじと、言い返した。するとモアイは言った
「侵略者で強いのは、どっちなんでしょうね」
俺は、佐上は、クラスの全員は悟った
モアイには、勝てるわけないと・・・・!
こうして、若干威圧されながらも、俺のクラスとモアイの交流は始まった
ページ上へ戻る