とある異世界の交差物語(クロスオーバー)
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第20話 魁、妖精を語る
前書き
今回はALOのお話です。昨日の夕方から今さっき作り上げました。SAOは出来るだけ原作沿いでしたが今回のALOは少し内容を変えています。それでも良い方はどうぞ見ていってください
あのSAO事件が終結して二ヶ月が過ぎた。目覚めて直ぐ、俺の目の前にいたのは…
『平助……?』
『し、し…の……?』
オレの幼馴染で小さい頃、守ってやれなかった“朝田 詩乃”だった。詩乃はオレと目が合った瞬間、溢れた涙を零しながら抱きついた。
『平助っ!平助っ!!』
『し、詩乃…くるしい……!』
詩乃の体をタップしながら力を弱めてほしいと頼むが詩乃の力は弱まるどころか更に強くなった
『だって…だって……毎日のように(ヒック)、SAOで(ヒック)、入院してた(ヒック)、人が(ヒック)、亡くなってる(ヒック)、話を(ヒック)、聞いて(ヒック)、次は(ヒック)、平助、なんじゃ(ヒック)、ないかって(ヒック)、…毎日が(ヒック)、怖かった…』
そう言いながら詩乃はオレに強く抱きついた。そっか…詩乃は詩乃で苦しんでいたんだな。オレがいつ死ぬかわからない恐怖と戦って…そう思った俺は抱きついている詩乃を優しく抱きしめて、彼女の頭を撫でた
『ん…』
『ごめんな、詩乃…怖い目にあわせて……オレはこうして生きてるから、今は安心してくれ』
『うっ……ぐすっ……平助…平助…!!』
そうやってオレと詩乃の2人っきりの時間を過ごすと廊下から親父のバカでかい声が響いた
---バァアアアアン!!---!
『平助っ!!目が覚めたのか!?』
『あなた!!今、詩乃ちゃんも来てるんだから静かにして!!ごめんなさい詩乃ちゃん!平助が目を覚ましたって連絡を聞いたからウチの人が仕事をほったらかして今飛んで来たんだけ…ど…』
そう言ったお袋の視界に写ったのはオレと詩乃が抱き合ってる所だった
『『お、親父にお袋っ!!??』』
『あら~詩乃ちゃんったら、いくら親公認だからってまだ昼なのにダ・イ・タ・ン☆』(ニコニコ)
―――カシャッ―――
『ちょっ!おばさんっ!!そう言いながら写メ取るのやめてください!!』
『なんだ平助、お前やっぱり詩乃ちゃんの事…』(ニヤニヤ)
『ばっ!何言ってんだよ親父っ!!』
『イヤいいんだ!最後まで言わなくていい!!これぐらいの度量がなきゃ、男が廃るってもんだぞ平助!!』(グッ!)
『そのサムズアップはやめろ!!何だよその笑顔!?だいたい前から疑問に思ってたけど、親父絶対江戸っ子だろ!?全然東北の人間じゃないだろ!?』
『お!やっと気づいたか平助!俺も母ちゃんとは東京で知り合ってな?そっからは互いに惹かれあってその後は…』
『ああ、もういい…そっから先はなんか聞いた覚えがあるから聞きたくない……』
そうやってオレと詩乃、親父とお袋を交えてバカをやって現状を親父に教えてもらった。2年前オレがリンクスタートした場所はオレの実家……仙台市だったが、ちゃんとした設備が整った東京の病院に移されたそうだ。親父はちょうど仕事先が東京方面に移動と言う話しが出ていたので家族で引越しすることにしたという……
詩乃は詩乃で親父たちより先に東京の学校に転校し、現在は親父たちが暮らしてるマンションの近くのアパートで暮らしているらしい。親父たちからオレの事を聞いた後は毎日学校へ行った後に必ず見舞いに来ていたと…
『そっか…ありがとな、詩乃……』
『そ、そんな…私はただアンが心配だったから…』
『それでもアリガトな!詩乃!!』
『う…うん……』
そんな展開があったあと…オレは二ヶ月の間、失った体力を取り戻すためにリハビリを続ける事更に一ヶ月……SAOの頃の仲間…エギルからある画像データを送られた。そこに写っていたのは…
巨大な鳥篭に入っているアスナにそっくりなアバターだった
それから3日後…オレはエギルこと、アンドリュー・ギルバート・ミルズが開いてる店…“ダイシーカフェ”にやって来た。ちなみに詩乃は一緒じゃない。コレばっかりは自分で解決しなきゃいけなかった。そう思い、オレは店に入った
「いらっしゃいって……タカトラ!?」
「よ!久しぶりだなエギル!ってここは初めましてか、タカトラ改めて“藤堂 平助”だ」
「そうだな…エギル改めて“アンドリュー・ギルバート・ミルズ”だ」
「それでエギル、3日前に送ってくれたあの写真って…」
「まぁ待て、これから他の奴もここに来る」
「他の奴って…」
―――カランッ―――
「いらっしゃい!」
そうやってるうちに店に入って来たのはオレがよく知ってるヤツだった
「タカトラ?」
「キリト!?」
オレとキリトの互いの挨拶が終わった所で本題に入った。そして信じられない事実を知った
SAOから解放されたプレイヤーのうち、アスナを含む300人近くが未だに目覚めていないという。そして近いうち、アスナはアスナの父親の部下の男が結婚するらしい…
しかもキリトの話じゃ、うまく化けの皮を被っているらしい…そんな話とエギルから聞いた“ALO”…“アルブヘイム・オンライン”と呼ばれるゲームの世界に世界樹と呼ばれる巨大な樹が存在し、そのてっぺん近くを撮った写真に偶然映ったのがあの写真らしい…
そうこうしてオレ達はALOへ行くことを決め、店を出た。エギルからは「行くのか?」と聞かれ、キリトは不敵な笑みを浮かべながら「死んでいいゲームなんて温すぎるぜ!」と答えた。
エギルは何を言っても無駄だと思ったのか溜め息を漏らしてこう言った
「アスナを助け出せよ。そうしなきゃ、俺たちのあの事件はおわらねえ」
「ああ!」
「もちろんだ!」
そう言ったオレ達はそれぞれ店を出た。だけどキリトと別れた後、オレはある場所へ行き、ある人に協力を求めた。そして協力の約束をしてもらった俺は自分の家に帰り、ナーブギアを被った。今度こそ、仲間を助けるために!!
「リンクスタート!」
オレはALO…アルブヘイム・オンラインの世界へ飛び立ち、まずは種族を選んだ。キリトは黒を好んでいたんで恐らくスプリガンかインプのどちらかの可能性がある。オレはアイツと被るのは何かつまらないと思ったのでイロイロ悩んだ結果、SAOから風林火山のイメージカラーだった“赤”のサラマンダーに決めた。
キャラ名もSAOと同じ“タカトラ”にし、改めてALOにダイブした。
目が覚めた場所はサラマンダー領のはずだった。だけどオレの目に映ったのは…
100m以上も高い空の上だった
「なんでだぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」
「あで!」
何とか木の枝に引っかかり、無事…とは言えないが何とか着地に成功した
近くに川が流れていたので水面に映る自分の顔を見て驚きを隠せなかった。髪色や防具はサラマンダーのイメージカラーの“赤”というのは別にかまわなかった。オレが驚いているのは顔の形は同じで髪型は腰まで届くポニーテール…あの幕末の頃の自分の姿にソックリだった。
念のための確認としてメニューを開いてログアウトボタンの確認を取った。ちゃんとあることに少し安心した。他に自分のステータスを確認を取ったら信じられないモノが写っていた
HPとMPは初期設定だからそこは仕方ない。だけどオレが驚いているのは《刀》、《曲刀》、《反応回避》、《戦術》。その他諸々の見覚えのあるスキルを見てオレは思い出した。SAO時代の自分のスキルであることに
いろいろ気になる名前があったがそれより今はキリトと合流するために周囲を見回すと戦闘音が聞こえたのでそこに向かって走った…
・・・あ、飛べばいいじゃん・・・
戦闘音が聞こえた現場についた頃にはもう戦闘が終了し、オレはというと
「ぜい…ぜい…ぜい…」
枝や木の根っこに邪魔されながらも全力疾走した結果……余計な体力を使い果たし、息切れを起こしていた。そうしていると、黒い妖精…スプリガンが俺に近づこうとするがその前に緑の格好をした金髪の妖精…シルフが俺に警戒しながら刀を抜いた
「サラマンダー!!」
さすがにこれはマズイと思ったオレは敵じゃないと弁明するが中々信じてもらえずどうすればと内心焦ったがここでスプリガンがオレに話しかけた
「お前、もしかしてタカトラ?」
「え?てことはお前…キリト?」
「パパ、この人は誰ですか?」
「ああユイ…この人はな…」
キリトが胸ポケットから出てきた小さな女の子にオレがキリトの友達だとシルフの女の子と一緒に説明していたがオレには聞き逃せない単語が何度も頭の中で響いていた
「パパァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアァァァァァァァァァァァァァッッ!!!???」
「なるほどな……」
とりあえず簡単に言うとあの黒髪の少女…ユイちゃんはSAOでキリトとアスナが偶然保護したAIでそのまま2人の娘となったらしい。そのキリトとユイちゃんの仲の良さは本当の親子みたいだ。いつかオレも詩乃と…って!なにを考えてるんだ俺は!?
「も~お兄ちゃんも早く言ってくれたらタカトラ君と戦闘にならずに済んだのに…」
「わ、悪かったよスグ…じゃない、リーファ」
そう言ったのは金髪のシルフ…リーファだった。それにしても正直危なかった…もしキリトの説得が無かったらそのまま問答無用に戦闘開始になっていた。
ってちょっと待て…ユイちゃんのパパ発言は結構インパクトがデカかったのに次はお兄ちゃん?
アレか?兄妹とかそういう設定を貫いてるのか?
「キリト…お前妹キャラが欲しくて女の子に『お兄ちゃん』って呼ばせてるのか?」
「オイ待て!!何だその汚いものを見るような眼は!?違うから!コイツとは本当の兄妹だから!!」
「安心しろキリト…お前がどんな変態だろうとボッチと呼ばれようとオレはお前の友達のつもりだぜ?」
「だからウソじゃないって!つーかタカトラ!!お前、今ボッチと書いてビーターって言わなかったか!?」
「気のせいだぜ?コミュ障!」
「ハッキリ言った!今コミュ障ってハッキリ言ったか!?お前ってそんなキャラだったか!?」
「言っただろ?気のせいだって(笑)」
「ウソつけええぇぇぇぇぇっ!!!」
キリトの怒りの咆哮はシルフの森全体に響いた。
甘いなキリト…オレは小学生の頃から山南さんに口で勝つ方法を密かに教わっていたんだ。
そして山南さんからはこう言ってた。
『口で戦う時に怒鳴っては負けになってしまうので、まずは相手の冷静さを奪うのが基本です。そして相手を怒りの方向にどう向けるかで勝敗が決まります』
まさにその通りだったぜ山南さん…
それから数十分間、キリト弄りを堪能した
「なんだよ。そうならそうと早く言ってくれたら良かったのに…」
「その前にお前はオレに対する謝罪を言うべきだと思うんだが?」
「まぁ、そんなことはほっといて…」
「おい!?」
「キリト…これからお前はどうするつもりだ?」
「え?そりゃ、あの写真の情報を集めるために近くの町に行くつもりだけど…」
コイツは相変わらずアレだな…
「お前な……そういう事じゃなくて、エギルに頼んでSAOの仲間に協力出来ないか確認したのかって聞いてんだよ」
「な!?」
オレの言葉に何も言えないキリトを見てだいたいの察しがついた。やっぱりコイツは皆に迷惑を掛けられないとか思ってたんだろうな……
「そんな事出来るわけないだろ!!下手に騒げばアスナの命が危ないかもしれないのに、俺のわがままに皆を巻き込むわけには…」
「フンッ!」
―――ゴツンッ!!―――
「イダッ!?」
「お兄ちゃん!?」
「パパ!!」
ヒースクリフとの最後の戦いの時みたいなことを言うキリトに拳骨をお見舞いしてキリトの胸倉を掴んだ
「迷惑なわけねぇだろうが!!友達の力になりたいって思っちゃ悪いのか!?お前の心配しちゃいけねぇのか!?アスナを助けたいって思ったらダメなのか!?」
「それは…」
「もっとオレ達を頼れよキリト!仲間だろうが!!」
「!!」
力が抜けたのか尻もちを着くキリト。するとポツリポツリと呟いた
「悪い…タカトラ。俺…」
「わかりゃぁ、いいんだよ。バカキリト!少なくとも今ここにオレとリーファ…ユイちゃんはお前の力になってくれるぜ?だろ?」
「うん!そうだよお兄ちゃん!!」
「私もパパの力になります!」
「リーファ…ユイ……ありがとう…」
そう言ったキリトの頬に滴が一筋流れたのが見えたがそこは触れないでおくことにした
おまけ
「それじゃぁ、アスナさんを助けるための作戦会議を一回スイルベーンで決めよ!」
「よし!それじゃ行くか!」
「おう!」
そうしてオレ達はリーファの案内の元、シルフ領まで行くことになった
しかし……
「オレ達…なんか浮かんでないか?つーかオレが一番シルフ達に睨まれてないか?」
「そりゃそうだよ…お兄ちゃんもそうだけど、タカトラ君はサラマンダーだからシルフの皆からは“サラマンダーが単身でシルフ領に入って来た”って警戒されてるよ?」
「え!?まじかよっ!!??」
最後の詰めが甘いタカトラだった
後書き
本当はALOを1話で纏めたかったのですが、話がどうしても長くなりそうなのでここで切ります。
次回は今度こそ来週の日曜に出したいと願ってます。
そしてリーファはキリト=和人と気づかせたのは兄妹喧嘩を回避させるために最初から気付いた方向にさせました。その経緯は次回出します。
それまでどうかお待ちください
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