美しき異形達
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第四十二話 近付く真実その四
「不思議なことだったので」
「あれだね、いつも」
「はい、戦いになり出ろと思えば」
その武器がである、それぞれの。
「手に出て来ています」
「今でもです」
黒蘭はこう言うとだった、不意に。
その手にクラブを出してみせた、そうしてから智和に言うのだった。そのクラブを手に持って遊ぶ様にして動かしながら。
「こうして」
「そうだね、その出し方は」
「それは」
「君達が念じたものがね」
「それがですか」
「出て来た、そうした感じかな」
「あれっ、それじゃああれかい?」
薊も言う、その手に七節棍を出したうえで。
「あたし達それぞれのか」
「うん、武器をね」
「念じて出してるのか」
「このことはかなり大きな謎だね」
「だよな、何かいつも思えば出せるからな」
「それは絶対に普通の力じゃないよ」
間違っても、というのだ。
「魔術か錬金術の様な」
「架空のものですか」
「いや、架空じゃないよ」
智和は魔術や錬金術を架空と言う裕香の言葉はすぐに否定した。
「それはね」
「魔術や錬金術は」
「うん、架空じゃない」
「現実のものですか」
「多くの人はそう思っていないけれど」
それでもだというのだ。
「実はね」
「それじゃあ」
「そう、あるんだ」
その魔術や錬金術といっただ、よく創作の世界に出て来る分野もというのだ。
「科学と同じだよ」
「科学とですか」
「非常に発達した科学は魔術と変わらない」
ここでだ、智和はこの言葉を出したのだった。
「そして魔術も錬金術も現代の科学の源流の一つだよ」
「魔術や錬金術がですか」
「それへの研究がね」
まさにというのだ。
「科学を進歩させていったんだ」
「そうだったのですか」
「うん、そしてどちらもだけれど」
魔術も科学もというのだ。
「歴史上に実際にね」
「身に着けていた人がですか」
「いたよ」
「それはまさか」
歴史上に実在したと聞いてだ、裕香はこの人物の名前を連想して言葉とした。
「ファウスト博士でしょうか」
「彼もそうでね、他にも何人かいて」
ここでだ、鋭い顔になってだった。智和はこの人物の名前を出した。
「特に。サン=ジェルマン伯爵だね」
「確かその人は」
菖蒲がだ、智和が今出したその人物について言った。
「あの伝説の」
「知っているんだね、君は」
「本で読んだことがあります」
そこで知ったというのだ。
「錬金術を極め不老不死になったという」
「そして様々な時代に出たというね」
「その謎の人物ですね」
「死んだという説が公式だけれど」
それでもというのだ。
「それはあまり信じられていないみたいだね」
「そうですか」
「その人がね」
「錬金術を知っていましたね」
「何十年、いや何百年も歳を取らず何も食べずそしてタイムマシンさえ持っていた」
智和は淡々としているが確かな口調で話した。
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