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ドリトル先生と二本尻尾の猫

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第一幕その二

「彼等と同じ様にね」
「日本の猫もですか」
「うん、二本になるんだ」
 その尻尾がというのです。
「それが日本のそうした猫なんだ」
「猫の妖怪でした」
「猫又といってね、この猫又が」
 先生のお話は続きます。
「長い尻尾を持っているから二つに分かれると思われていて」
「それで、ですか」
「そう、尻尾が長い猫はその尻尾を切られていたんだ」
「そうだったんですか」
「猫達には災難だけれどね」
「そうですよね、尻尾が長いと切られるなんて」
 トミーも猫達の立場に立って考えてみて答えます。
「酷いですね」
「奥州みたいに魔女の使い魔と言われて殺されたりはしなかったけれど」
 それでも尻尾を切られていたのです、そうした理由で。
「そういう目に遭っていてね」
「日本の猫の尻尾は短かったんですね」
「そうだよ」
「成程。ただ」
「うん、尻尾が二本あるとだね」
「それは魔女の使い魔の猫そっくりですね」
 トミーは猫又の尻尾のお話を聞いてでした、すぐにこうした猫達のことを思い出しました。
「そうですね」
「うん、魔女の猫も尻尾が増えるからね」
「変身する度に」
「そこは同じだね」
「けれど猫又はですね」
「うん、長く生きて妖力を手に入れてね」
 そして、というのです。
「その妖力の証みたいに尻尾が増えたんだ」
「それじゃあ狐と同じで」
「長生きすればする程」
「妖力が高くなって」
 また言ったトミーでした。
「その都度」
「尻尾が増えていくのでは、っていうんだね」
「そうなりますか?」
「そうした話もあるね、千年生きた猫又はね」
 それこそ、というのです。
「尻尾が九本になるっていう話もあるね」
「九尾の狐みたいに」
「そうなるっていう話があるよ」
「日本人の考えでは尻尾が増えると」
「そう、妖力が強いっていう考えがあるから」
 先生は日本の妖怪のことにもかなり詳しくなっています。それだけ日本のことを深く広く勉強しているからです。
「猫もそうだよ」
「九尾の猫ですか」
「凄い猫だね」
「二本だけでも凄いですけれど」
「それが九本になるとね」
「凄いですよね」
「まあとにかく。日本の猫はね」
 その猫達はというのです。
「長く生きると妖力を持つと言われているよ」
「それじゃあ街の猫も」
「動物園の猫もね」
「そんな猫がいるでしょうか」
「そうかも知れないね」
 微笑んで、です。こう返した先生でした。
「ひょっとしたらだけれど」
「先生は日本に来られてから狐や狸と」
「うん、色々とね」
「頼みごとを受けて解決されていますね」
「イギリスにいた時はなかったよ」
 そうしたことがです。
「長生きした動物達と会ったりとかはね」
「本当に日本に来てからですね」
「そうだね、面白いね」
「イギリスにいた時はキャラバンとかサーカスとか開いたりして」
「月にも行ったね」
「そうしたことをしていましたけれど」
 日本に来てからはです。 
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