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歌集「春雪花」

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5



 早春の

  夜に降り積もるは

    名残雪

 想いし刹那の

      写し鏡よ



 その日の夜、淡雪が少し降ってました。地面を濡らす程度でしたが、止む様子はない…。まるで次から次へと想いが湧いている様で、自分の心の写し鏡みたいだと思ったんです。



 君想い

  嘆きし日々の

   空しさを

 翼在りければ

    飛びて行くなれ



 上の歌と同じ時に詠んだもの。
 詠んだ時、自分が如何に我が儘な生き物か再確認し、涙が零れてしまったのを覚えています。
 たとえ飛んでいったとしても…彼には邪魔なだけの存在ではありませんか…。会いたいのは自分だけであり、彼にとって私は然したる価値はないもの。
 ただ…虚しい。


 
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