戦国異伝
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第二百二話 関東入りその六
「北条家は小田原だけで守りませぬ」
「他の城も含めてじゃな」
「それぞれの城を。一つ一つをつなぎ合わせる様にして」
「そうしてじゃな」
「はい、守ります」
「領地全体をじゃな」
「小田原はその要です」
本拠地であるそこはというのだ。
「そしてそこを軸として」
「それぞれ守るのじゃな」
「小田原だけを攻めまして」
これから織田家が囲むその城をだ。
「まだです」
「他にもじゃな」
「はい、他の城も攻め落としてこそです」
「意味が出来るな」
「ですから殿、ここはです」
「うむ、わかっておる」
すぐにだ、氏康は雪斎に答えた。
「小田原を囲みな」
「ある程度の兵で囲み」
「そしてそのうえでな」
「残りで武蔵や上野の城を攻めていき」
そしてとだ、さらに言う雪斎だった。
「そのうえで佐竹や宇都宮、結城、里見といった家が我等が勝っていれば従いますので」
「それでじゃな」
「そうした家も組み入れ」
そのうえで、というのだ。
「支城をあらかた攻め落としてからです」
「本格的にじゃな」
「小田原を囲みましょう」
「長い戦になるやもな」
「今回は長くかかろうとも」
それでもというのだ。
「仕方ありませぬ」
「関東を手中に収める為にはか」
「左様です」
それ故にというのだ。
「ここは」
「そういうことじゃな」
「それでは」
「その言よしとする」
雪斎に直接告げた言葉だ。
「小田原を囲み」
「そのうえで、ですな」
「他の城も攻める」
小田原だけでなく、というのだ。
「そうする」
「そうされますな」
「小田原は囲むが」
ここでだ、信長はこう言ったのだった。
「少し思うところがある」
「と、いいますと」
「美濃の時と同じことをする」
こう言うのだった。
「ここはな」
「美濃攻めと同じことをですか」
「する、そのうえで小田原を囲む」
これが信長の考えだった。
「そうする、よいな」
「左様ですか、ではまずは」
「小田原を囲む」
まずはそうするというのだ。
「あの城に北条の兵が一番多くいるがな」
「その兵達も動けぬ様にしますな」
「城を囲みな、そしてじゃ」
そのうえでとだ、信長は言っていく。
「既に水軍も動かしておる」
「そういえば九鬼殿がおられませぬな」
「二郎は既に動かしておる」
北条との戦が決まったその時にというのだ。
「武田との戦の前にな」
「そして九鬼殿に水軍を動かしてもらい」
「北条を海からも攻める」
「そうされますか」
「これでかなり違う」
海から攻めることも加えるとだ、信長は既にそのことも進めていた。北条との戦においてそこまで考えていたのだ。
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