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A型メランコリー

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第五章

「そうしようぜ」
「そっちね」
「最初はな」
 こうしてだった、私達は二人で最初はスパ、泡が出る熱いお湯に入ってだった。
 プールはその後だった、そしてお昼も。
 私は彼にだ、自分から言った。
「今日はいつもとは違って」
「いつも何処かで食べるよな」
 それが私達のデートだった、お店に入るのもデートのうちだった。
 けれどだ、今回はだった。
「違うんだな」
「そうしたのよ」
「じゃあ今日のお昼は」
「お弁当作って来たから」
 私はにこりと笑って彼に言った。
「そうしたから」
「おいおい、そう来たかよ」
「はい、これね」
 こう言って出したお弁当はというと。
 サンドイッチにチキンナゲット、ポテトサラダにスライスしたフルーツ、そうしたものだった。プチトマトもある。
 それにだ、飲みものはというと。
「野菜ジュースは買って来たものよ」
「お握りじゃないんだな」
「和食にはしなかったの」
「そっちがオーソドックスだからか」
「いつもとは変えたの」
 日本人は御飯だけれどだ。
「こうしたのよ」
「そうしたんだな」
「そう、じゃあいいわね」
「ああ、これ食べてな」
「そうしてね」
 そのうえでだった。
「少し休んで」
「また遊ぶか」
「そうしましょう」
 私達は休憩室で水着のまま話をした、そうしてだった。
 二人でそのサンドイッチを食べた、作ったのはハムに野菜に卵だった。それにハンバーグに買ったカツを挟んだものだ。
 そのサンドイッチを一口食べてだ、彼は驚いて私に言って来た。
「おい、これって」
「まずいとか?」
「美味しいよ、かなりな」
「驚いたみたいね」
「御前料理得意なんだな」
「ええ、実はね」
 私はドヤ顔の笑顔で彼に答えた。
「そうなのよ」
「これは隠し球だったな」
「ボールを隠すのは得意よ」
 これは私がテニス部だからだ、テニスをしているとボールはアンダースコートの中に入れて隠すことがあるからだ。
「それは知ってるでしょ」
「それはボールだからだろ」
「けれど隠し球は隠し球よ」
 だからと答える私だった。
「それでこれもね」
「それか」
「そう、隠し球よ」
 こう彼に答えた、私も食べながら。
「そういうことよ」
「そうか」
「確かにね」
 私も一口食べてみて言う。
「美味しいわ」
「自分で食べても思うよな」
「ええ、自分で作ったからだけじゃなくて」
 その感情も入っていることは確かだ、けれどそれ以上に舌は素直で。
「確かに美味しいわ」
「そうだよ、御前料理上手だよ」
「意外かしら」
「嬉しい意外だよ」
 私に満面の笑顔で言ってくれた。
「これからも頼むな」
「デートの時は」
「本音を言うとな」
「学校でもっていうのね」
「ああ、そうしてくれるか?」 
 こう言って来た。
「そうしてくれるか?」
「頑張ってみるわね」
 早起きしてだ。 
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