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転生者物語・夜天の主とトラック運転手

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第四話

ここは、貨物列車のターミナル。ここでジンライは貨車から降ろされたコンテナを自分のトレーラーの荷台に積んでもらっていた。
そして、作業中の間にジンライは貨物列車を牽引している電気機関車の前に移動する。

「よお、桃太郎。ちょっと話があるんだが、いいか?」

そして、電気機関車に話しかけた。すると、電気機関車の運転席の窓が上にせり上がり、その下からつぶらな瞳が現れる。
彼はヒカリアンの世界から派遣されてきた転生者『EF210型電気機関車桃太郎』。ヒカリアンとは光のエネルギー生命体が電車などの乗り物と融合した戦士の事だ。

「どうしたんだ、ジンライ。何かあったのか?」

「実はな・・・」

ジンライは桃太郎にはやてについて説明した。

「なるほど。でも、彼女がどの世界から来たのか特定するのは少し難しいかな。」

「どう言う意味だ?」

「まず、リリカルなのはの世界だけでも無数に並行世界があるし、彼女がリリカルなのはの世界出身とは限らないんだ。」

「は?でも、八神はやてってのはリリカルなのはの登場人物なんだろ?」

「ジンライ。思い出してみてよ。ここはハイスクールD×Dの世界なのに、転生者と言う訳でも無いにも関わらず、サイバトロンやデストロンが現れた事を。」

「なるほど。そう言う事か・・・」

桃太郎の言葉を聞いてジンライは理解した。ホークや秀太達は本来ハイスクールD×Dではなくトランスフォーマー超神マスターフォースの登場人物だ。彼らがここに存在するのは並行世界ゆえのイレギュラーである。
つまり、はやてもまたイレギュラーである可能性が否定出来ないのだ。

「とりあえず、上の方には報告しておく。何か分かったら知らせるから、待っていてくれ。」

「ああ。頼んだぜ。」

「それと、一つ忠告だ。今後、八神はやてはきっと戦いに巻き込まれる。」

「何だと!?どう言う意味だ!?」

驚愕し、桃太郎に食いかかるジンライ。そんな彼に桃太郎は冷静に告げる。

「状況からして、彼女が魔法の力を持っているのはほぼ確実だ。そんな彼女が主人公にして今代の赤龍帝である一誠と一緒に居るとなれば、戦いに巻き込まれるのは確実だ。」

「避ける方法は無いのか!?」

「一誠と引き離せば、あるいは・・・」

「そんな事が出来るか!!」

「ああ。だから、覚悟はしておいた方がいい。それじゃあ、もう発車の時間だ。」

桃太郎はそう言うと窓を下に降ろし、警笛を鳴らして出発した。





ホークの家にアリアとロッテがやって来てから数日が経ったある日。はやて、秀太、一誠の三人はアリアとロッテを連れて公園に来ていた。そして、三人は芝の上でじゃれ合う二匹を眺めている。
さらに、その様子を後ろからホークとランダーが眺めていた。

「ほんまかわいいなあ。」

「うん。本当。」

「そーれ。猫じゃらしだぞ。」

はやてと秀太がのんびり眺める中、一誠が猫じゃらしを二匹の前で振った。だが、二匹はじっとそれを見ているだけで全く飛びついてくる様子は無い。

「あれ?おかしいな・・・」

「振り方が下手なんとちゃう?」

「いや。猫じゃらしを振るのに上手も下手も無いと思うぞ。」

微笑ましく遊ぶ三人と二匹。そんな彼らの様子を公園の近くにあるビルの屋上から眺める者が居た。以前、アリアとロッテがホークの家に来た時の様子を覗き見ていた銀髪の少年である。

「さて。じゃあ始めるとするか。最強オリ主による物語の第一話を!!!」

少年はそう言うと、銀色のメダルを二つに割り、公園に向かって投げた。




「皆。そろそろ帰るぞ。」

大分日が暮れてきたので、ホークが三人を呼ぶ。

「「「はーい!」」」

三人はアリアとロッテを抱きかかえると、ホークの下に走る。その時、彼らの目の前に何かが落ちた。

「何これ?」

秀太が落ちてきた物を見下ろす。それは、二つに割れた銀色のメダルだった。それが合計4組ある。

「誰や?こんなん投げ捨てたんは?」

はやてもそれに気付き、拾おうと手を伸ばした。だが次の瞬間、割れたメダルが変化し始める。

「な、何やこれ!?」

はやて達は思わず後ろに飛び退いた。メダルの破片がそれぞれ一つ目のミイラのような怪物へと姿を変えたのだ。

「皆!逃げろ!!」

ホークが叫ぶ。それを聞いた三人は逃げ出した。もちろん、アリアははやてが、ロッテは一誠が抱える。ミイラ達はそれを追いかけようとする。だがその時・・・

「たああああああああ!!!」

「でやあああああああ!!!」

ホークとランダーがミイラ達に殴りかかった。それにより二体が殴り飛ばされて、さらに二体を巻き込んで倒れた。それを見た他の四体はターゲットをはやて達からホーク達へと変更する。

「早く逃げろ!!」

「う、うん!!」

ホークに言われ、その場から逃げ出す子供達。そして、三人の姿が見えなくなったのを確認すると、ホークとランダーはミイラ達に向き直った。

「何者かは知らないが、あの子達に手を出すなら容赦はしない!!」

「その通りだ!!」

そして、二人は腕時計のボタンを押しながら叫ぶ。

「「スーツオン!!」」

すると、二人の姿が光で包まれた。そして、光が収まると彼らの身体にはパワードスーツのような物が装着されていた。

「食らえ!!」

まず、ランダーがミイラのうち一体を殴り飛ばした。ミイラはかなりの距離を吹っ飛んでいったが、地面に叩きつけられた後、直ぐ何事も無かったかのように起き上がる。

「全く効いて無いか。ミイラだけに不死身って訳か?」

「なら、これならどうだ!!」

続いて、ホークがSFチックな外見の銃を取り出し、引き金を引いた。すると、その銃口からは鉛弾ではなくレーザーが発射され、ミイラの身体を撃ち抜く。撃ち抜かれたミイラは元のメダルの破片へと戻った。

「どうやら、レーザーは効くようだな。」

「よし、俺も!!」

それを見たランダーもまたレーザー銃を取り出してミイラを撃ち抜いて行く。そして、ものの数分でミイラ達は全滅した。

「一体何だったんだ、こいつらは?」

足元に散らばるメダルの破片を見下ろしながらランダーが言う。

「私にも分からないが、このメダルを調べれば何か分かるかもしれないな。」

そんな中、ホークはメダルの破片の一つをつまみ上げるのであった。




「何なんだあいつらは!ただの人間じゃなかったのか!?情報屋の奴、いいかげんな事を言いやがって!!」

ミイラ達を送り込んだ犯人である少年は地団駄を踏んでいた。

「まあいい。クズヤミーははやてが逃げた方向にも投げておいた。あいつらより先に俺が助ければ全ては計画通りに・・・」

「そうはさせないぞ!!」

その時、彼の背後から声がした。

「誰だ!」

少年が振り返ると、ビルの裏を通る線路の上をEF210型電気機関車の引く貨物列車が走って来た。

「ヒカリアンチェンジ!!」

すると、機関車の運転台部分が分離し、そこから手足が現れ、窓が上にスライドして目が現れる。さらに、その背中には『日本一』と書かれた旗が掲げられた。

「ライトニング桃太郎!見参!!」

そう。彼は冒頭でジンライと会話していた派遣転生者だ。

「またお前か!いつも俺の邪魔ばっかしやがって!!」

少年は背後の空間から一本の剣を取り出し構える。

「悪巧みをするお前が悪いんだろうが!!」

桃太郎もまた刀を取り出して構えた。

「アンクの仇、ここで討たせてもらうよ!」

「やれるもんならやってみろ!このチンチクリンが!!」




一方、ミイラ軍団もといクズヤミーから逃げたはやて達の前にも大量のクズヤミーが現れた。

「あかん!こっちにもミイラがおる!!」

「しかもさっきより数が多いぞ!!」

直様、逆方向に逃げようとするが、数が多いため直ぐ囲まれてしまった。

「ど、どうしよう・・・」

身を寄せ合う三人。しかし、それでもアリアとロッテだけは守ろうとする。そんな彼らを囲んでミイラ達はジリジリと近付いて来る。その時・・・

「「ニャッ!!」」

アリアとロッテがはやてと一誠の腕から飛び出した。

「アリア!ロッテ!!」

「危ないって!!」

はやてと一誠が叫ぶ。その時、二匹の姿が変化した。アリアははやて達より少し年上の黒髪の少女に、ロッテははやて達より少し年下の白髪の少女となる。少女達は両手から爪を伸ばすと、ミイラ達に斬りかかった。

「皆!今のうちに逃げるニャ!!」

黒髪の少女が叫ぶ。だが、体格差からあっという間に白髪の少女共々ミイラ達に取り押さえられてしまった。

「「「アリア!ロッテ!!」」」

最初ネコ達の姿が変化した時、状況に着いて行けず固まっていたはやて達だったが、少女達が取り押さえられたのを見て直ぐに駆け出した。

「来ちゃダメニャ!」

「早く逃げて!!」

それを見た少女達が叫ぶ。その時、秀太が一誠に言った。

「一誠、頼めるか!?」

「ああ、任せとけ!!来い、赤龍帝の籠手(ブーステッドギア)!!」

すると、なんと一誠の左腕に赤い籠手が出現したのである。

「一誠君!?それって・・・」

「ごめん、はやて。説明してる暇は無いんだ!」

《Boost!!》

驚くはやてに一誠がそう言うと、籠手から音声が流れた。

「秀太!はやて!頼むぞ!!」

そして、一誠はミイラの一体を殴りつけた。その威力は見た目以上であり、ミイラは大きく仰け反る。それにより、他のミイラ達の注意は一誠の方に向いた。

「はやて!ロッテの方を頼む!!僕はアリアを!!」

その瞬間、秀太ははやてと共に隙を突いてアリアをロッテを救出した。だが、ここで問題が起きた。何と、ミイラ達が一誠を集中攻撃し始めたのである。無論、一誠も反撃してはいるが、全く効いている様子は無かった。そして、ついに一誠は地面に倒れてしまう。

「一誠!!」

「あかん!!」

それを見た秀太とはやてが叫んだ。だがその直後、突如飛来したレーザーがミイラ達を貫いたのである。

「な、何や今の!?」

果てたミイラ達が割れたメダルへと変わって行く中、突然飛来したレーザーにはやては困惑していた。

「大丈夫か!」

すると、レーザーの飛来した方向からパワードスーツ姿のホークとランダーが走って来たのである。

「ふ、二人ともどないしたんですかその格好!?一誠君も左腕に何かついとるし!」

「やれやれ。こりゃ、はやてちゃんにも説明しなけりゃな・・・って何だ、その素っ裸のお嬢ちゃん達は?」

困惑するはやてを見た後、ランダーはアリア達が変身した例の少女達の存在に気付いた。

「実はこの子達、アリアとロッテなんです。」

「何だって!?」

「こりゃ、俺らが説明するだけじゃなくて、その子達にも説明してもらわななきゃならないな。」

秀太の説明を聞いて驚くホーク達。ひとまず、彼らは一度ホークの家に戻る事となった。




その頃、桃太郎と悪質転生者との戦いは決着が着こうとしていた。

「これで終わりだ!ライトニングトリニティ!!!」

桃太郎が刀を振るうと同時に、犬、猿、雉の三つの動物の姿をしたオーラが発射された。それはそのまま悪質転生者に直撃する。

「ぐああああああああああああああああああああ!!!」

すると、悪質転生者は徐々に消滅し始めた。

「馬鹿な!?俺は悪魔じゃないこに何で光の力で・・・」

「やっぱり、お前は邪神の転生者だったんだな。」

「邪神、だと・・・?」

「悪質な転生者を生み出す神は二種類居る。一つは暇つぶしや面白半分に転生者を生み出す奴。そしてもう一つは・・・世界をめちゃくちゃにする事を目的に悪質転生者を生み出す邪神だ。そして、その邪神から生み出された転生者の肉体の性質は悪魔に近い。だから、光の力で消滅するのは当たり前さ。」

「何だと・・・くそっ、あと少しで黒歌と小猫、そして異世界から来た本物の八神はやてを手に入れられたと言うのにいいいいいいいいいいい!!!」

「なんだって!?」

悪質転生者の断末魔に桃太郎は驚愕するが、直ぐに奴は消滅してしまった。

「まだ僕らが手に入れてない情報を・・・一体、どう言う事なんだ・・・?」

困惑する桃太郎。そんな彼を黒いスーツを着た男がビルから遠く離れたタワーの上から嘲笑うように見下ろしていた。



続く

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