天空遊園地
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メリーゴーランドと少女
「ゆめのくにでは、なんでもできる。ゆめのくにでは、なんでもかなう。さぁ、ねがえ、あつまれ、こどもたち」
優しい声の、アナウンスが響く。私はメリーゴーランドへと来ていた
メリーゴーランドの周りには、子供がいっぱい集まっている。私も、その中のひとりだった
ここは、夢なんだろうか、現実なんだろうか、わからない。でも、私の夢が叶った!
神様にお願いごとをしたら、本当に遊園地に来れたんだ!
・・・・でも、お兄ちゃんがいない。お兄ちゃんと一緒に来れたら、もっと楽しいのに
「そこのお嬢ちゃん、おいで、風船をあげよう」
金髪のツインテールの女の人が、私に風船をくれた
「ありがとう、お姉さん」
風船は私の好きな青色をしていた。見上げた空と、同じように綺麗な青・・・・
私は思わず、微笑んだ。すると、お姉さんも微笑んでくれた
「さぁ、おいで、メリーゴーランドで遊ぼう」
「うん!」
私はそのお姉さんの手を握って、メリーゴーランドへと歩いた
そこから私は、楽しくて、何度も何度もメリーゴーランドに乗った。
ゆっくりとくるくる回る、馬たち。馬車に乗ったり、白馬に乗ったり。キラキラ光るメリーゴーランドの輝きが、目から離れない
楽しい、遊園地ってこんなに楽しいんだ
ずっと、このままでいたいな、このままで・・・・
「お嬢ちゃん、名前は?」
さっきのお姉さんに、名前を聞かれた
「青葉空音、10歳です」
「そうか、いい子だね、空音ちゃん。これからはずっとここで遊んでいいんだよ」
その言葉が、こだまして、頭の中に響く。その瞬間、何もわからなくなった
ずっと、ずっとこの場所に居ていいんだ。楽しい、たのしい、ゆめのくに
「さぁ、また乗っておいで、空音ちゃん。ずっとここにいていいよ」
何かに操られるように、死んだ目になった少女は、それから、何度も、何度も、メリーゴーランドに乗り続けた
「空音・・・・間に合ってくれ、空音!!」
俺は、メリーゴーランドへと、全速力で走り続けていた・・・・
それがもう、手遅れとも知らずに・・・・
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