美しき異形達

「力をね」
「土の力か」
「そうよ、土の力っていってもね」
　それでもというのだ。
「様々な使い方があるから」
「だからか」
「この石達を使わせてもらうわ」
　こう言ってだ、早速だった。
　石達を怪人に向けて飛ばして攻撃する、怪人はその石達を両手と尾で弾き返す、石達もそうなったがここで。
　菊は自身も接近して忍者刀を使い攻撃を仕掛けた、石の後はそれだった。
　菊は怪人の腹に正面から蹴りを入れた、だが。
　怪人はそれをまともに受けても動じない、菊はその怪人を見て目の動きを止めた。
「効いてないとは思えないけれど」
「それなりには効いてるぜ」
　怪人は余裕の声で菊に返した。
「あくまでそれなりにだけれどな」
「鰐の皮は厚いわ」
　それこそ鎧の様にだ、その厚い皮で身体を守っているのだ。
「けれどね」
「腹は、だよな」
「弱いわ」
　それがわかっているからこその腹への蹴りだったのだ。だがその蹴りを受けてもだ、怪人は余裕を見せている。それで菊も言ったのだ。
「そうだと思ったけれどね」
「だからそれなりには効いてるさ」
「それなりというのね」
「俺の動きを止める程じゃないんだよ」
「その程度のダメージでしかないのね」
「そういうことだよ」
　こう余裕の声で言うのだった。
「残念ながらな」
「そういうことなのね」
「あんたの攻撃が幾ら強くてもな」　
　それでもというのだ。
「俺に強いダメージを与えられる程じゃない、そして」
「あんたの体力も」
「そうさ、俺は相当にタフだぜ」
　怪人はこのことも言った。
「だからあんたが与えるダメージ位じゃな」
「倒せないっていうのね」
「そうさ、だからな」
「あんたが勝つっていうのね」
「それはもう決まってるさ」
「言うものね、けれど私もね」
　菊は怪人の尾の一撃、自身の左に来たそれを咄嗟に左手から石の壁を出して防いだ。そのうえでの言葉だ。
「勝つつもりだから」
「俺を倒すっていうんだな」
「そうよ、倒せない敵はないわ」
「実力差ってあるけれどな」
「そうね、強い相手が勝って」
　そしてだ。
「弱い相手が負けるものよ」
「だからあんたが負けるんだよ」
「その論理だとね」
　どちらが勝つか、このことも言う菊だった。
「あたしが勝つわね」
「言うものだな、あんた」
　鰐は手足も使い攻撃する、それはムエタイの動きだったがそれをだ。
　菊は受けていた、そしてその中で怪人も言うのだ。
「面白い娘だよ」
「よく言われるわ、けれどね」
「それでもか」
「今は冗談を言ってないわよ」
　こう不敵な笑みで言葉を出してみせた。
「全くね」
「じゃあ俺をどうして倒すんだ？」
「それはその時になってわかるわ」
「そうか、じゃあな」
　怪人の目が光った、そして。
　その巨大な口をこれてもかと開いてだった、そのうえで。
　菊を飲み込まんとしてきた、それを見てだった。
　菊はその口の中にだ、左手を向けて掌を開き。
　そこからこれまでよりも大きな石の玉を放った、それも無数に続けて。　
　それで怪人の口の中を撃ちだ、さらに。
　その口の中に向けてだ、今度は。
　右手の忍者刀を金剛石、ダイアモンドにしてだ、そのダイアの刃で。
　怪人の口を下から上に向けて突き刺した、それでだった。