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ドリトル先生と学園の動物達

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第十二幕その六

「いつもその中にいるよ」
「兄さんは神様に愛されているのよ」
「愛されているからなんだ」
「そう、幸せなのよ」
「じゃああの子も」
「兄さんみたいに幸せになれるとは限らないでしょ」
 サラはこのことはクールに言うのでした。
「だから心配なのよ」
「僕みたいに学者になれば幸せになれるよ」
「内面を見てくれる人にも会えるかしら」
「そうなるよ、きっと」
「そうだといいけれどね」
 サラはしみじみとした口調で述べました。
「本当にね」
「それで下の子はどうなのかな」
「あの娘は私似なのよ」
 サラにというのです。
「髪の毛の色も目の色も。顔立ちもね」
「母娘だけにそっくりなんだ」
「そうなの、あの娘は私に似てるからね」
 それでとです、サラはにこにことしてこう言いました。
「きっといい結婚が出来るわ」
「僕は出来なくてサラは出来るんだ」
「だから兄さん今の独身じゃない」
「ははは、確かにね」
「全く、けれどこの機会はまさに千載一遇だから」
 日笠さんが出て来てくれたことはというのです。
「絶対に手に入れるのよ」
「チャンスは逃すなだね」
「その通りよ、いいわね」
「それじゃあね」
 先生はサラのその言葉に応えてでした、お茶を飲んでから言いました。
「そちらも頑張るよ」
「そういうことでお願いね」
 サラも先生に言うのでした、そうしたお話をしてお茶を飲んで、です。
 サラは先生のお家を後にしてイギリスに戻りました、本当に頑張るのよと先生にハッパをかけたうえで、でした。
 サラが来た土曜日と次の日曜日が終わってでした、月曜になって。
 学校に来た先生にです、日笠さんが先生の研究室まで来て言って来ました。
「あの、ジャイフルさんのことは終わりましたが」
「それでもですね」
「問題は動物達にものをあげることでして」
「そのこと自体をですね」
「解決しようということになりました」
 動物園と水族館でそう決まったというのです。
「これからは」
「そうですね、それを厳しくしないと」
「同じことの繰り返しです」
「ではどうするかですね」
「これまでも禁止はされていました」
 動物達も食べものを与えることはです。
「ですが係員の人が見て注意することはなく」
「見たら注意してもですね」
「それでも私達が園内、館内を見回ることもありませんでした」
「しかしこれからはですね」
「見回りもして、手が空いている人で」
 そしてというのです。
「看板をあちこちに立てようと思っています」
「注意書きのですか」
「はい、動物達に食べものを与えないで下さいと」
「そういえばこれまで入口には注意書きが書いていましたが」
「中にはなかったですね」
「それをです、動物達のコーナーごとにです」
 看板として、というのです。
「書いて立てておこうと」
「そうお考えですか」
「如何でしょうか」
 日笠さんはここまでお話して先生にあらためて尋ねました。
「これで」
「いいですね、ただ」
「ここで問題となることはですね」
「ジャイフルさんはインド人でしたし」
「この学園は世界中から人が来ているから」
「日本語だけでなく」
 日本にありますがそれでもというのです。 
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