剣と魔術の幻想録
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第三話 VS魔狼マルコシアス
マルコシアスは黒い爪をふりおろし剣を攻撃してくる
それを前転回避した剣はそのまま上に飛び上がり、腹から顎にかけてを切り裂いた、だがそれは浅かったようで軽く血が出ただけで傷口は塞がってしまった
「ハッハー!!俺を楽しませてくれよ!!駄狼」
と狂った様な笑みを浮かべた
リュウは内心少し恐怖しつつ相手の力量を図る
リュウ(フム、浅い傷ならすぐ塞がる程度の再生能力はもっているのか、勝てるか分からんが、やっぱり支援だけではつまらんな、様子を見るか)
と考えているうちに、魔狼は牙をむきうなり声をあげた
「GRAAA...ワオォーウ!!」
大気を震わせるような大きな遠吠え
それはまるで笑っているかのようだった
マルコシアスは後ろに軽く飛び退き剣に噛みつこうと牙をむき出しにして口を大きく開き顔を素早く近ずけ噛みついた、剣はそれを屈んで避けると攻撃をしようと立ち上がろうとした、だがそこまで甘くはなかった、既に二撃目が来ていたのだ、すこし反応が遅れた剣はそれをモロに食らってしまう
「...あらららら...」
リュウは剣に外傷がないか洞察を発動する
頭に大きめの裂傷と後頭部に打撲を受けている、裂傷は大方爪がかすりでもしたのだろう、打撲は洞窟の壁面にぶつけたせいだ
剣は頭から血を流しながら立ち上がり呟く
「おもしれぇ...精々たのしませろよ...駄狼ッ!! 」
リュウは驚愕する
「うわぁ、モロにくらってそれかぁ...頑丈だなぁ...まあ見ているだけじゃあ面白くないのでね...少し、やらせてもらおうかな」
地面からいばらのつたが生えマルコシアスの足と胴体に絡み付き肉に食い込んでいくこれだけでは少々の足止めにしかならないし、ダメージもすぐに修復されるだろう、だが絶好のチャンスにはなるはずだ
「魔法か...!2対1って言うのは癪だが、おもしれぇ、やってやろう...」
そういった剣の剣が発光し形状を変えてゆく、刃の部分がまるで鋸の刃のような形になった
「喰らえ···マルコシアス、この魔法剣『雅月』でズタボロに切り裂く...!」
剣は状変化させた『雅月』を上に飛び上がり思いきり振り上げる、スブチブチィという肉を無理矢理引き裂くような音をたて胸を引き裂いた
「グルァアアアアォ!!」
という悲鳴をあげる、そして、マルコシアスの目の色が変わった
マルコシアスは我々を『面白いオモチャ』、から『撃退するべき敵』、と認識を変えたのである
こうなったマルコシアスを繋ぎ止められる物は中々無い
「···ッ!まずい、拘束がっ...!」
リュウは冷や汗を額に流しながら声を圧し殺すように言っ
次の瞬間、マルコシアスは牙を剥き、大きなうなり声をあげる
『グルァアアアアァァァァァァァァァ!!!!!』
最初の遠吠えとも違う先程の悲鳴とも違う、まるで空間ごと震わせるような唸り声
それに共鳴するように壁に生成されている水晶がキィィィンと音をたてたあとにパリンッと砕け散る
リュウは耳を咄嗟に塞いだが剣は反応することができず至近距離で聴いてしまった
瞬間、剣の思考能力が止まる...
「ぬぅ....」
剣は無意識に頭を抑えてしゃがみ込んだ。
マルコシアスは再び鋭い爪を剣に降り下ろした
剣は反応することができず、棒立ちしており、もう少しで当たりそうになっている
するとリュウは剣のいる方向へ掌を向けた
(間に合え…!!)
マルコシアスの爪があと数センチで当たるというところで横に思い切りそれた
衝撃波によって弾かれたのだ
「間に合った・・・ふぅ~セーフセーフ!」
と小さく呟いた、最後だけ少し大きめの声で
マルコシアスは怒り狂うように唸り尾の大蛇の毒牙を魔法をリュウに向けてくる
リュウが身構えた瞬間、剣がリュウの目の前に立ち、襲いかかってきた大蛇をつかみ
そのままマルコシアスごと持ち上げ、自らを軸に回転させた
「オォォォォォォ···!!」
剣は唸り声をあげとんでもない速さでマルコシアスを回転させる
そしてその手を離し遠心力によりとてつもない壁に衝突する
マルコシアスが怯んでいる隙に剣はリュウに話しかけてきた
「リュウ...」
「なんだい?」
「あのガードと肉体強化」
「その魔法を...使えと?」
剣はニヤリと笑い、リュウは「はぁ...」とため息をつきながら剣に魔法をかける
「さぁ、次は失望させないぜ...駄狼ォッッッ!」
大声で叫びながら先程までとは比較になら無いほどの速さで突撃する
マルコシアスは剣にむかって炎吐息をはいた
「足を止める必要はないよ」
そうつぶやいた瞬間、剣の((つるぎ))の周りの光の膜のようなものができ炎を遮断した
『あいつの魔法を打ち消せば』
そう思ったのかマルコシアスは突然ターゲットを剣からリュウに変更し、喉を唸らせ地面を思いきり叩き、岩を飛ばしてきた
リュウは重力魔法を使用し岩を誰も気が付かないほど少しだけ動かし、まるで岩の狙いが外れたようにしか見えない様に回避した
そしてこのターゲットを一瞬でも変更したのが魔狼マルコシアス最大のミスだったのだ
既にマルコシアスの目の前には剣が大剣を急所である首にむかって振りかざしていたのだ
マルコシアスは瞬時に反応するも先に行動している剣の方が速く首を切り裂いていた
首から血液が吹き出し洞窟の内部に血の雨を降らせる
だが魔狼は首を切るだけではすぐには死なない
剣が首を切り落とし地上へ着地する瞬間ほんの少しばかり息があるマルコシアスは最後の反撃をしたマルコシアスは剣の大剣を腕ごと吹き飛ばし、そして息絶えた
「ぐっ!?この...駄狼がぁッッッ!!!」
剣は残った腕でマルコシアスの死体を思いきり殴り抜ける
死体は壁まで吹き飛び爪、牙、そして黒い魔水晶のみを落とし自己消滅していった
剣は腕を拾い上げ、切られた部分押し付けた、リュウは治癒魔法をかけようと思ったが、何故かちぎれていたうでが半分以上癒着していたのだ、数分後にはもう完治しているだろう
並外れた回復力、筋力に少々疑問が出るもそれをグッと飲み込んだ
次は大剣を拾い上げようとしたが、その瞬間に大剣は粉々に砕け散り白い魔水晶を残し来ていった
「任務完了、だな」
と言うリュウの呟きに剣は頷く
リュウはマルコシアスの牙を持ち「これでいいかな...」と呟く
(まあ換金部員としては中の下ぐらいかな、今までのと比べると小さかったから幼体かと思ったんだけど、成体だったか...魔狼の幼毛とか結構もふもふで良いんだけどなぁ...)等とのんきなことを思いつつ部位を袋にしまう
剣はまた2つの魔水晶と爪を持った
すると剣が唐突に質問してきた
「...リュウ、そういやあんた...魔法使いだよな」
「うん?そうだけど?」
笑顔でそう答える
うでがちぎれて記憶が飛んだかな?なぁんて思ってたら
「お前...『空間転移魔法』とかないのか?」
「...」
「...」
リュウは気まずそうにニコニコ笑顔でその場からフッと消えた
「何だったんだ...?あいつ...」
(さっきまでいたチビドラゴンどっか行ったな...まあいいか)
等と剣は考えつつ、戦利品を大剣の形見をもってだらだらと来た道を引き返していく
一方リュウは
「やべぇ!!王都いくんだった...王様におこられるわー」
「キュー、キュー!」
「なんだこのドラゴン...可愛いな、さっきの子ドラゴンか...家で飼おう、この家ペットOKだったっけ」
まず魔物と言うことに気付こう
to be continued
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