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チート戦艦の非常識な鎮守府生活

作者:諷詩
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2.てーとく!浜に巨大な戦艦がっ!?

ーーーーーーーーーーーーーーー提督sideーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
僕は寺塚修平。
横須賀鎮守府総司令官の寺塚氏を祖父に持つ。
その為か僕はウェーク島などの最前線では無く、パラオという比較的安全な島に島流しされた。
やっぱりあの老害...じゃ無くて上層部のふざけた命令をひと蹴りにしたからかなぁ...
兎も角、設備だけはきちんと整備された鎮守府に着任したんだ。まぁ、所属艦娘は電のみだけどね。工廠はあるけど何分資材が圧倒的に足りなかったし、万が一を考えて一切建造はしていないんだ。
「司令官さん。今日の書類はこれで最後なのです」
「ん。ありがとう。電」
「わ、わたしは当たり前の事をしただけなのですっ!」
「それでもだよ。今の所は君しか艦娘は居ないからね。頼りにしているよ」
「はわわわわ....」
この日は最後の書類に印を押し、終えたんだ。

「し、司令官さん!大変なのです!」
その日は珍しく天気が悪く、少し曇っていたんだ。
何時も通り書類に印を押し続けていたんだけれど、巡回帰りの電が慌てた様子で駆け込んできたんだ。
「?電お帰り。如何したのかな?」
「そ、それが物凄く大きな戦艦さんが別の島に突き刺さっているのです!!」
「.......え?」
「だから、マラカル島に途轍もなく大きな戦艦さん刺さっているのです!」
「刺さってる?」
「なのです!」
つまり、座礁していると言う事かな?
電は船体、つまり実際に二次大戦中に実際に使われていた船体が118mある。
あの長門が224mくらいだから、それよりも大きいとなると大和型かな?
とりあえず、僕は桟橋に係留されている電に乗り、その現場に急いでもらったんだ。
ロ号艦本式缶がうねり、30ノットで電が抜錨した。
マラカル島方向を見ると、見た事が無い程の巨大な黒煙が上がり、雲と思っていた空は全てあの黒煙だと思ったんだ。どう見ても大和型が全焼しているようにしか見えないんだけど...

「ここ、なのです!」
「........................................ぇ?」
僕は唖然としてしまったよ。
島に完全に乗り上げていて、見上げても先が見えない艦首。最も低い船体も海面から30mはありそうで、
甲板からは下から見てもわかるくらいにごうごうと燃え盛り、大和型の様な艦橋が少し覗いていた
超巨大な戦艦。大和型がちっぽけに見えたよ。多分4000mは超えているんじゃないかな?幅も途轍もなく広く、大和が二隻いても足りないくらい大きく、この電が点に見えるくらいの巨大な船体が異色の存在感を出していた。
15度は傾いていて、あちこちに魚雷によるおおきな穴が覗き、周りにも鉄塊、主砲のだと思う砲弾が突き刺さり、様々な残骸が浮かんでいた。
この船は...何?海軍の新造艦?要塞?にしては人気が無い。うーん...
昨日の晩に座礁したんだろうけど、炎上し続けていて、妖精が頑張っているみたいだけど収まっていない。左側にひときは大きな穴があき、複雑な装甲が剥き出しになっているし、至る所に弾痕、
凹み、抉られた後、爆発した跡が生々しく残っていて、正直直視出来ないんだ。
あまりにも惨すぎて。外見は多分大和型に似ていて、側面には大量のバルカン砲?
そんなの効かないのに...

はっきり言って、大破だね。一体どの所属か分からないけど、助けなきゃね。
「電。一応武装を起動しておいてね」
「なのです」
ははは、しっかりと既に主砲である14cm砲を最大射角で艦橋に向けていたんだ。
僕達はあの穴から船内に侵入した。武装なんて持っていないんだし、堂々と歩く。
一応電の船体が主砲を向けているとはいえ、豆鉄砲だろうからね。

さて、この船内だけれど、
一切炎も回っておらず、正常そのものなんだ。
複雑な通路を警戒しながら進んでいくけど、妖精も一人も居ない。
しかも外見が古い癖にイージス艦みたいに近来感に溢れているんだよね。
時代があまり合っていないんだ。
でもキチンと動くエレベータが三基あった。その内の一基に乗り込み、第一艦橋と書かれた階のボタンを押すと自動で上昇してゆく。いやーよかったよ。まさかあの高さまで階段を登るのかなと覚悟をしたからね...

音も無くハッチが開き、地獄が一面に広がった。
窓のガラスというガラスは全て割れ、機械だったと思う物は原型を留めていないし、少し黒煙も入り込み、床は瓦礫で覆われている。
足を踏み入れる。ジャリ、というガラスの擦れる音が寂しく響き、共に気配を感じ取る。
そちらを見やると舵をとるための機械を盾にひょっこりの顔を出し、こっちを睨みつけている妖精が一人。困ったな...
「君達の艦娘はいるかな?僕はパラオ鎮守府の提督だよ。攻撃の意思はないから出てきて欲しいな」
すると、いろんな所から様々な服を着た妖精が出てくる。うわぁ、すごい数...
電も驚いているよ。
「司令官さん、妖精さんによるとこの先に居るそうなのです」
「そう.....行こうか」
ゆっくりと歩いていく。
幾つもの瓦礫、天井板だった物が重なり、地震の後みたいなんだけど、それを利用し、巧みに隠され、機械の後ろに倒れている少女。金剛型のように巫女服何なんだけど、こう、きちんとした正統派の巫女服だったんだろうけど、艦娘というのは船体とダメージがリンクしているから大分傷付き、至る所に火傷の痕や、出血があり、サラサラだったと思う長い黒髪が血に沈み、僅かに、本当に僅かに胸を上下されているんだ。かなり危ない。
この船体は現在進行形で炎上しているし、最悪轟沈判定が出るかもしれない。
僕はすぐに彼女に近づくと大日本帝国海軍の白い軍服の上着を羽織らせ、背負いあげる。
ぐったりとしているけど、しっかりの温もりが伝わってくる。あと結構な柔らかさも。僕だって健全男子だ!
「妖精さん。悪いけどこの船の維持を頼めるかな?」
そう言うと整列し、ピシッと一斉に敬礼すると、散開。
「電、すぐに戻るよ。この子には悪いけど医務室に寝かさなきゃ行けない。船体はこのままだね」
「はいなのですっ!」
僕達は急いで来た道を引き返していく。
妖精が既に動き回っており、あの火災は大分鎮火。資材も自前で何処からか取り出し、応急手当しているね。本当にこの戦艦は何なんだろうね?この子もだ。
見た所日本人の顔立ちはしていないし、深海棲艦と見間違えてしまう程の白い肌を持つ。

ーーーーーーーーーーーーーーーーアメストリアsideーーーーーーーーーーーーーーーーーー
意識が回復し、ぼんやりとだが視界が戻ってくる。
何だったんだ...一方的に巨大な砲弾を撃ち込まれ、気絶してしまった。
大和も真っ青な火力で反撃し、機関最大で離脱しようとしてもレーダーギリギリの距離から正確に撃ち込んできて敗走した。俺は圧倒的に練度が足りない。提督としての経験も無ければ、艦娘としての経験など無に等しい。
「知らない、天井......?」
取り敢えず回収。白い天井が目に入り、起き上がると清潔な室内で医務室という感じだろうか?
服はあのボロボロの巫女服では無く、院内服、といった感じの服に着替えされられていた。
あ......あの船体はどうなったんだ?
周りを見回しても何も無く、ベットしか置かれていない。
警戒しながらドアを開けようとすると、突然ドアが開き
俺に激突する。いったぁ......
「きゃあ!?」
何故か俺から出る悲鳴は女の子っぽい言葉に修正されている。
それよりもだ。おでこを抑え蹲っていると、
「大丈夫かい!?ごめんね。開けたら君に衝突したみたいだ」
見上げると優しそうな表情を浮かべるイケメンが居た。大日本帝国海軍の白い...あ、俺の血がついた軍服を着たイケメンが居た。手を差し伸べてくる。取り敢えず、

リア充爆発しろ!または俺の150cm砲で爆散しろっ!!サービスで2500基のミサイルもつけてやる!

ふぅ。すっきりしたぜ。
兎に角言いたかった。
俺と奴の視線が重なる。ふむ。戦い慣れてないな。貫禄がない。
''彼女''の本能で解析してしまう。兎に角見極めよう。
「こちらこそすみません。勝手に動こうとしてしまいました。」
ん?後ろには...

YES!!ロリーーーーーーーーーーーーーーータッ!!!!!!!!

電が居た。ここの秘書艦だろうか?
やはりリアルで見ると可愛い。ん?なんで俺は知っている...?
まぁ、いいや。彼女は何処か頼り無さそうだが、それが良い。俺は少し無表情になりがちな戦艦アメストリアだ。今回は助かった。鼻の下がのびきっていただろう。
しかし俺ことアメストリアの身体も170cmくらいの身長でかなりの超絶美少女に入ると自負している。まず、奴の手を取り、起き上がる。
「それで、君は何者なんだい?どこの所属かな?出来る範囲で再送するけど。」
「私はアメストリア型戦艦一番艦アメストリアです。圧倒的火力による死の蹂躙を。
提督、で良いですか?」
「......あ、うん。僕は此処、パラオ鎮守府の提督、中佐だよ。あと、敬語じゃなくていいよ」
なんか自然と言葉が出てきた。死の蹂躙をって.....やはりコンセプトがかなり影響しているな...
「む...そうか。ならば、素でいかせてもらう」
「アメストリア......?日本艦じゃ無い?」
「あぁ。実は私もよく分からない。目覚めたころには深海棲艦に攻撃されていた。」
「そっか...なら、所属は無いよね?」
「無い。そして私の船体は何処にある?」
「えっと、今マラカル島に座礁しているよ」
「座礁したか......すまない。無駄にそちらが動く事になってしまった。」
「いや、君は大破していたんだよ?もう少しで轟沈判定を受けるかもしれ無かったんだ」
「すまない.......」
本当に申し訳ないです。いやぁ、まさか負けるとは思ってなかったからさ...
「どうするのかな?」
「私からは特に要求は無い。船体も大破し、砲も使い物にならない。だから、資源目的で解体してもらって構わない。良い鋼材が入るだろう。無ければそこら辺の深い海で自沈する」
「そ、それは.....」
「むしろ何故だ?私の船体は巨大だ。全長4645m、全幅530mの巨体だ。ここにあってもただの的になるし、これ以上迷惑は掛けられない。」
「辞めなさい。絶対に、自ら命を絶とうとするな。死んだら何にもならない。絶対に辞めるんだ」
「り、了解した...すまない」
何故か、俺が自沈するとの意志を示すと、断固として拒否してきた。
何かトラウマでもあるのか、反面教師か...
「ごめんね。艦娘がただの物、兵器として見られるのが嫌なんだ。だから止めてね?」
「あぁ...すまない」
事実、俺は少し特殊だしな。
「しかし私は既に大破だ。こんな鉄屑がいても邪魔だぞ?」
「あー......それがね、既に中破レベルまで直っているみたいだよ?」
「何?」
何故に?どうやって?あの妖精さん達(チート)が頑張ったか?
大破炎上のなかフルスロットルで全力航行したんだぞ?大破着底か船体が真っ二つに割れても可笑しく無かったぞ?艦橋だって最も高い位置でも890mある。横転着底しても可笑しくないぞ?まぁ、横幅も530mあるから浸水しなければ横転はしないだろう。
「君には、大量の...100000位の鋼材が備蓄されていたんだ。そしたら君の妖精さん達がせっせと即席で直し始めてね。何とか動くだけなら大丈夫らしいよ?」
「.........」

何 や っ て る ん で す か 妖 精 さ ん 。

大破(轟沈寸前)で、船体の耐久がギリギリだったのを一日以下で中破まで修理?
あの巨体だ。下手をすれば万単位で資材が吹き飛ぶだろう。主に弾薬が。
100000も鋼材を積んでいた?だからか?少し重く感じていたが...
取り敢えず実践。あの巫女服に変えてみる。
よし。全快では無いが、精々裾が破れ、焦げて、袴が少し短くなった程度だ。
問題ない。
「分かった。そちらには返し切れない恩がある。資材だけが吹き飛ぶ欠陥戦艦だが、よろしく頼む」
「うん。よろしくねアメストリア」
そう言ってニコニコと爽やかな笑みを浮かべながら手を出してくる。
少し''彼女''は戸惑っていたが、俺はその手を取り、握手した。
こうして俺、最凶の戦艦アメストリアがパラオ鎮守府に着任した。


さてさて、時は少し経ち、二時間後。
私...俺はやっと鎮守府の主棟から出て、海岸を歩いている。軍用のゴツゴツとしたブーツのため大丈夫だ。この世界の艦これは艦娘が身につけるタイプの艤装では無く、ガチの船体を艦娘が妖精さんと操り、攻撃をするというタイプで、深海棲艦もあの気持ち悪いフォルムだが、ちゃんと真っ黒な船体に乗り攻撃してくる。このシステムが俺が最初に攻撃出来なかった理由だ。
マラカル島の方を見るとあの巨大な艦橋の先端が見える。
あのゴツゴツとしていて、堂々たる歴戦の戦艦という雰囲気を纏った超超巨大戦艦。
取り敢えず提督からステータス書けって言われたからその紙の筆ペンを持ちながら歩いている。
俺の妖精さんはいない。各々の部下をまとめ、せっせと修理しているのだろう。
ステータスだが、妖精さんに以前恐る恐る聞き、卒倒したのでよく覚えている。

アメストリア 大和
耐久 9450 93
火力 19750 98
装甲 8950 88
雷装 2450 0
回避 270 27
対空 15250 50
搭載 2800 28
対潜 2250 0
速力 高速 低速
索敵10000 15
射程 超極長 超長
運 7800 12
↑ただし運については疑問有り。

と言う風になっている。分かりやすいとおもって最強(笑)の戦艦大和のステータスを隣に書いた。
なんかスラスラの達筆な文字が書けるんだよな。まるで慣れているかのように。
で、二、三桁くらい違うが、良いだろう。チートで何が悪い。
しかしこれ程の、装甲9450を誇るアメストリアでも大破し、逃げた。色々と異常だ。
俺はこれからどうすれば良いのだろうか?取り敢えずはこのパラオ鎮守府所属になるんだろうが、
私の存在自体がイレギュラーで圧倒的火力を持っている。バレたら...ゾッとする。
身体を隅々まで弄り倒され、武装は研究目的で取り上げられ、エンジンも量産する為回収され、
資材目的で解体され、私は殺されるだろう。
とまあ、今は心配しなくていいだろう。現状を見るにあの提督は優秀だが、それ故に島流しされたのだろう。はぁ...下らない。いっそミサイルを......

さあさあ只今絶賛修理中の船体の前にいる。
やはり、俺も艦娘だということを実感させられる。
身体能力が船体のスペックに合わせられており、怪力、俊足、大火力を持っている。
さて、アメストリアだが、足場が隅々まで組まれ、傾きを完全に修正された状態で佇んでいる。
これだけでもかなりの威圧感がある。
船体の穴や弾痕は消え、綺麗に修理されており、上部建造物も修理が始まっている。
主砲はピッカピカだし、副砲は直ってるし...
''艦娘さんっ!お久しぶりです!''
艦長の妖精がトテトテと走ってくる。心配を掛けてしまったか...
もちろん屈み、妖精さんを受け止めて、抱き上げる。恐らく船体を維持するために頑張ってくれたんだろう。当然の対価は支払う。優しく撫でてあげ、思い切り可愛がる。
''えへへ〜艦娘さんにほめられた〜''
「本当に感謝している。本当に...な。」
妖精さんによると航行出来るのは明日かららしく、150cm四連装砲はピッカピカ。
副砲、46cm三連装砲も新たに作って補充。30mm機関砲は526/1000を交換。既に修理完了。
20、12cm連装砲は二十基程が吹き飛んでいたが作り直している途中。
船体は65%が修理完了。艦橋はこっぴどくやられており、38%修理完了。
装甲は貼っていない。てかそこまで回らない。まぁ、確かに2500mm装甲とかに鋼材を回している余裕は無いだろう。大体の物理攻撃は防ぐが、同型艦の徹甲弾には勝てない。貫かれる。
兎に角第一艦橋に転移し、指揮を執る。やはり最大の問題は進水だろう。完全に座礁している
因みにこの船体、10000000tを超えているため、大和をいくら持ってきても無駄だ。
「妖精さん。船体と島の間に全ての爆薬と砲弾を敷き詰めてくれないか?機関銃弾はいいから」
機関銃弾を爆破すると四方八方に銃撃する事になるため、こっちが危ない。
そう。島の形ごと変えてやればいいのだ。
マイクラ的な考え方だが、この150cm砲の砲弾は45t。俺の身長以上。
内34tは超高性能爆薬。兎に角突き刺してもらう。

そして船体と島の間にありったけの火薬が仕込まれたところで妖精さんに総員退避のお願いをして、本島まで退避。俺は艦娘である為、船体の見える位置に。妖精さんが二人来てしまったが(艦長さんと砲雷長さん)いい。手榴弾のピンを抜き、思い切り艦娘スペックで投げる。
手榴弾は綺麗な放物線を描くまでもなく、高速で飛翔し、地面にのめり込み爆発。それにつられ誘爆してゆく。やばっ!!!すぐに妖精さんを抱き込み地面に這いつくばる。

ドゴォォオォオオォォォォォォォォォォォォォォオオオンン!!!!!!

大量の爆薬が一斉に爆発し、地形を変える。
爆音が響き、空が赤く染まり、ここまで熱が溢れ出てくる。
そしてザッパーンッ!という豪快な音を立てて船体が着水。
こうして超ダイナミック進水をしたZE☆
「...ケホッ出来たな。」
船体を見るが、煤がついているものの、傷一つなく、浸水した感覚が無い為穴も無く、特に損傷していないが、島の半分が吹き飛び、海水に覆われ、アメストリアは衝撃で1m程浮遊し、着水。
そのせいで未だに水柱が立ち、水飛沫が太陽を反射し、キラキラと輝いていた。
まるでアメストリアの進水式(笑)を祝福しているようだった。
 
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