剣聖龍使いの神皇帝
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
第2巻
作戦行動開始×CBと実戦部隊での戦闘風景×凱旋風景
「灰村隊長、お待ちしていました!」
「待たせたな。で、状況を報告せよ」
「はっ!現在異端者とドウターはまるで結託したかのように動いていますが、我々地上部隊は前方にいる小型ドウターを葬る事で後方にいる異端者の道を空ける所です」
「なるほどね、では俺は『実戦部隊』に報告をしよう。沙紀は後方にいるであろう『実戦部隊』と合流せよ」
そう言いながらハンドガンを持ち、剣を抜いてから、最前線にいるドウターを駆逐しながら後方にいる迅に伝える。ちなみに迅には俺らCBが使う通信機を預けている。今頃は定石展開として、百地先輩が威力偵察をするだけど沙紀を向かわせたので問題はない。
「全部隊に告ぐ!ドウターを全て倒したらターゲットである異端者を『実戦部隊』に委ねる。また異端者の弱点が分かり次第報告せよ!」
『地上班了解!/IS部隊了解!』
そう言いながらも、俺ら地上部隊は小型ドウターであるヒト型や四足歩行の獣類を倒しながら進むが、相変わらずドウターは物量での攻めである。対して《異端者》の情報は集まってくる。今回のは、全長十数メートルの黒豹のような化け物である。一番後方にいるが、その後ろにはゲートを確認したので俺は門を破壊するべく動いた。黒豹で瞳は金色、森を破壊しながらまるで門を守っているかのように見えた。一方沙紀は《移ろいの門》によって来たであろう迅達部隊を確認後に降り立った。
「お待ちしておりました皆様方」
「全く相変わらずお早い到着のようで、・・・・それで?《異端者》の情報は『呼んだかな?石動隊長さん』おや灰村特別顧問」
『この声をスピーカーモードとして・・・・、現在俺を含めたCB部隊は前方にいるドウターを排除している。で、今回の《異端者》は沙紀』
「はい。まずはこの映像をご覧下さい」
沙紀は指示通りにして、投影型の端末を取り出してから現在の状況を映像で伝えた。前方はドウターで埋もれていて、後方にいる異端者は黒豹型で体の硬さはまあまあ硬いし、体毛がまるで針金のように尖っていてまるで槍のようだ。針の雨があるため、防御力は高いが弱点が炎である事で《火炎》以上の火力で倒す事が可能。あとそこから二~三キロに森の開けた場所があり、『実戦部隊』の実力が出るのはそこだという事も詳しく伝えたのだった。
「なるほどね、流石はCBの情報網。すると灰村特別顧問は、前方のドウターを片付けながら後方の《異端者》を誘導している訳ですか」
『そう考えたいが、俺には策有りだ。まず俺の相棒であるダハーカを召喚し、黒豹型を転移魔法で開けた森に移動させる。動けなくしている間に、そちらが配置し終える時にダハーカの転移魔法発動させる。後方にある門を閉ざせて、全てのドウターはこちらに任せて欲しい』
「それは有難い策ではありますが、その間の時間稼ぎはそっちがしていると?」
『今動きを止めてもらっているから、そちらは出来るだけ早く配置してくれると助かる』
「了解しました。という訳で百地君は先に行き、森が開けた場所と我々が最も配置場所を探索してくれ。それ以外の者は走るぞ!」
そう言っている間にこちらではダハーカを召喚し、龍化となって動きを停止させてもらっている。そんで森の開けた場所に転移する所にモモ先輩が来ては、白鉄と黒魔で配置場所を確保してから迅達がそこに来るまで動きを停めてもらった。俺はその間にチャンスとなったので、素早く門のところに行くとライフルにメモリ装填したので閉じる事が可能なので、空間からライフルとメモリを取り出した。
「今回はドウターゲートを先に閉じさせてもらう『Black Steel Gravity!MaximumDrive!』このライフルで簡単に門を閉ざす事が出来たのも、技術が更に上がったかもしれんな!」
一番後方にあるドウターゲートがある所まで行くと門番はいないが、小型ドウター達が代わりに門番をしていた。が、ライフルに黒鐵改の重力球をチャージ中にIS部隊が滅殺してくれたお陰でがら空きとなった門に向かってライフルで撃った後に閉じたので、これでもうドウターが出てくる事は無くなった訳だ。小型ドウターばかりだったので、地上部隊の武装はライフルに対ドウター戦用弾丸を自動的に装填されていて、薬莢は自動消滅なので問題ない。
「こちら最前線。そちらは準備できたか?」
『こちら石動。準備完了なので、いつでも来させてくれ!』
「よしダハーカ!『既に転移している』さてと、俺達はゆっくり駆逐しようぜ。はあああっ!」
白騎士機関の分類によれば、《救世主》は二種類に大別される。超人的な武術である光技の使い手、白鉄。魔法=闇術の使い手、黒魔。極々一部の特例を除いて白鉄と黒魔以外の《救世主》は存在しない。俺はその特例であり、観測史上で唯三人、二つの前世を持ちながら白鉄と黒魔の力が使えず、代わりに創造神黒鐵の力が使える《最も古き神》であり頭脳では零達也、戦闘面では織斑一真だったが、灰村諸葉は二つの力が使いこなす事が出来る。故に神の力や赤龍帝や中にいるとされているドラゴン達を召喚し、使役していると言われている。
『暴れるんじゃねえよ、そのままいないと旦那に怒られる』
「流石は千の魔法を操ると言われるドラゴン、アジ・ダハーカ。歴史やゾロアスター教でしか聞いた事なかったが、まさか実物を見れるとは」
『俺はアジ・ダハーカだが、邪龍じゃねえぞ。俺ら元邪龍は旦那のお陰で神龍になれたのだからな』
そう答えるダハーカと迅だったが、情報通りとなり白鉄で体毛をそぎ落としてから黒魔の連中で《火葬》で決着が付いたらしいので、俺らは俺らで残党勢力を迅達実戦部隊に向かわせないように小型ドウターを地上部隊のライフルで一斉摘発。飛ぶ奴はIS部隊で葬り去ったので、実質的に勝利となったのだった。亜鐘学園校庭では、大歓声に包まれていた。教室全ての窓が開け放たれて、中にいる生徒達から盛大な拍手が送られる。
CBとの作戦で見事《異端者》を討伐してみせたけど、それ以上にCBの情報網はとても助かっている。『実戦部隊』が凱旋を祝う歓呼と拍手でもあるが、戦闘の一部始終は蒼い翼から映像提供を白騎士機関の職員達が録画をし、リアルタイムで教室にあるモニタや校庭の巨大電光スクリーンに流される仕組みとなっている。学校中の誰もが『実戦部隊』の強さを見て感嘆し、憧れ、中には恋焦がれる者までいた。生徒のほとんどが熱狂し、気に入りの隊員の名を呼び続けるが、特に多いのが特別顧問に就任しCBと連携をするためであるが、最前線で対ドウター戦と対異端者戦の両方と戦える灰村諸葉の名を呼ぶ女生徒の声がとても目立つ。
「愛人でいいから可愛がって、灰村君~」
そういう黄色い声まで飛び出す始末で、『実戦部隊』は《移ろいの門》から跳び出すが、肝心の灰村諸葉の姿がないと思ったら上空から魔法陣が展開されて相棒であるドラゴンの上に乗って帰ってきたのだ。本物のドラゴンであり、それに乗ってくるのは何度かあったが相変わらず迫力がある。ダハーカの着地ポイントを『実戦部隊』のメンバーが、空けてくれていたのでそこに着地する。真ん中の頭の上に乗っていた諸葉と沙紀が降りて来たら、熱烈な声援を聞くのだった。
「もう四度目の出撃なのに、雰囲気慣れしているのは何故かしら?」
《移ろいの門》がある魔法陣の後方にダハーカと俺と沙紀がいたが、わざわざこちらに来た校長先生だった。茶目っ気振りにウインクしていたけど、俺らはこういうのは慣れているので不思議な顔をしていた。大人の貫録で色っぽいが、生憎俺は何千億生きているのでそのような事はスルーする事が出来る。
「そりゃー、何千何万何億年生きていたとされている創造神黒鐵の記憶を持っていますからね。それに戦闘振りも見たと思いますが、ドウターとの戦いを楽しむかのような戦闘風景だったのでは?」
「《異端者》との戦闘はついでという事かしらね。だから戦闘慣れしているし、色々と規格外でイレギュラーなのね」
始めはドウターとの戦いを始めてから、部下達に《異端者》の戦闘能力を調査し、最前を尽くしたまでの事。あとダハーカはドラゴンの咆哮を上げた後に、元の場所へ戻って行った。そんで迅率いる実働部隊を安全に戦いながら、弱点を既に見つけてからの戦術に慣れてきたメンバー達。
「校長先生の魔法陣も凄いかと思いますよ。まあ闇術の中ではですが、ウチらのはそれを何度も使えてデメリットがない転移魔法陣。そちらはデメリットがある魔法陣だと聞いておりますよ」
あの魔法陣を抜けたら、数百キロある所に一瞬で繋いでしまう魔法というのはこちらとしては一般にあるが、闇術としては規格外とも呼べる。校長先生が若干二十歳で校長という大役を任されたのも、『実戦部隊』を運用するに当たってこの術が極めて有効だと言う事を。CBの場合は、創造神黒鐵の力をタブレット型にした端末で簡単に転移魔法が可能となった。なので異端者が出た時に、月中基地支部からまず出現したという事を日本中にある蒼い翼支社に送られて、一番近くにいる部隊に出撃命令が下る。状況によって、CB本隊は各支社の要請により出撃する事がある。今回は一番近くにある支社地下にあるCBの基地から出撃したが、人数は百人だけで半々地上部隊とIS部隊となっている。
「そうね。これがあればいつでも、どこでも《異端者》の出現地に送り届ける事が出来るけどデメリットは確かにあるわ」
「《移ろいの門》は校長先生以外の誰にも使えない事でもあり、《固有秘法(ジ・オリジン)》に分類されている秘術ではあります。闇術の中では反則技ではありますが、こちら側にはいつでも行ける転移魔法陣が使えます」
行きは先陣を切り、帰りは殿を務めるのが石動隊長のポリシーで俺が特別顧問になる前は、危険な威力偵察任務を石動が行っていた。だが今では到着すると既に威力偵察という任務は、CB側がやっており情報提供する代わりに全てのドウターはこちらが倒すという事になっている。一万いたとしても、CB側は量より質なので攻撃方法は多くある。《移ろいの門》を使用するには、色々と制約があると聞いている。
「そのお陰で我々は安心して倒せるようになりましたから、こちらとしては楽になったと思われます」
最後に出てきた石動が言ったので、今は勝利を祝う事にした。静乃に聞いた事があるが、一日一回しか使えずに細かく面倒な術的制約があるらしい。まあ楽に勝利が出来たのは、CBの情報提供をしてきたからであるのは変わらない。帰還した全員の顔を見渡している。
「ご苦労であった、諸君。今回もCBの正確な情報網と策のお陰で、犠牲を出す事なく《異端者》を討伐する事が出来た。策や情報網を提供したのは、灰村特別顧問の力と諸君らが正確に指示を聞き、奮闘した賜物である。隊長として感謝と同時に灰村特別顧問に感謝する」
堂々たる声で労いを掛けたが、CBとの情報網や策が無ければ今頃どうなっていたかは分からない。まあ石動隊長がそう言った事で、非常事態宣言解除と解散の合図となったので、遠巻きにしていなければならなかった予備隊員が駆け寄ってくる。
「今日も正確な策を考えたり、ドウターや異端者を倒すという大活躍だったね。兄様!」
サツキが一番に俺の所に来ては抱き着いてきた。他の隊員から冷やかすような口笛を吹いた者には、不意打ちとして後方からハリセン叩きの刑に処した。全生徒は知っていたが、隊員達は戦闘が終わったのか忘れていたようだった。
「ホントなら公衆の面前で抱き着く事はしないが、前回同様いいだろう」
「わぁーい、兄様からのお許しが出たので早速!」
最近めっきり行為をしなくなったのか、女の甘い体臭を嗅ぐ事で理性を保つ事で精一杯だった。念話で沙紀はいつでもという事で、では今夜でもと約束をした。妹だと思えるようにしているが、俺としては恋仲のような雰囲気だろうと思ってしまう。毎日スキンシップ的な事をされも慣れてしまった俺に対して、男子生徒からの嫉妬や妬みが聞こえて来るので最初は後方からのハリセン叩きの刑にしたが、最近俺としていてもそう言う風に見ていない。流石にハリセンを持つ俺に畏怖を持ったようだ。
「そういえば静乃はどうしたんだ?予備隊員だから、ここに集合する決まりのはずなのだが」
「何かここの理事長に呼び出しがあったのよ。諸葉達が戦っている間に」
理事長?ああアイツか、漆原家で実兄がここの理事長をしていると聞いた。亜鐘学園は私立という体裁があるため、経営者という立ち位置的な理事長が存在する。意外と気さくでよく生徒の前に顔を出す校長とは違い、俺は今まで理事長の姿を見た事がない。漆原家がここの出資をしていたために、蒼い翼が創立者なのは変わらないが横槍を入れて来たのが漆原家で、よく零家と対立している。話し合いで、創立者は零達也となったが、理事長は漆原家となった。でもまあいつでも解約辞表出せるので、何かあったら報告を。と蒼い翼から言われている。
「俺らが戦っている最中でお呼ばれか、それにしても心配だな。今まで姿を現してない理事長と会うだ何て、サツキも心配じゃないのか?」
「漆原ばっかり心配していると思ってたけど、確かに心配よねー」
理事長とどういう関係かを考えていたがまあいい。こちらは戦闘狂の場面を見ていたのか、たまにサツキでも俺が笑っていると別の意味でヤバいと聞いた。俺達が《異端者》と戦闘中だった頃、理事長室の窓際に一人の男が立っていた。後ろ手を組み、校庭の電光スクリーンを見上げる。『実戦部隊』の戦い振りというより、CBと一緒に戦っている灰村諸葉の場面を注目していた。初めて目の当たりにする、創造神黒鐵の力や仲間であるCBと使役しているドラゴン達の戦闘振りを。真面目腐った顔をした男の口元に、ゆっくりと笑みが刻まれている。堪えきれないばかりとなったが、男はポケットに手をやり、着信を報せる携帯電話を取り出す。
『ハロー、タダノリ。ご機嫌如何?』
とても気さくだが、美しい発音の英語が聞こえた。
『大変素晴らしいです』
タダノリと呼ばれた男は、亜鐘学園理事長をしている漆原賢典の事だ。理事長は流暢な英語を使って、恭しく返事をした。
『へえ?何かいい事でもあったの?』
『丁度今、例の灰村諸葉が戦う様を見ております』
『それはいいなあ!で、どうなの、神皇帝は?期待通り?』
『ええ。この映像をお譲り出来ないのが残念な程に』
『他所には公開しない事になってんのはお互い様だしね。それは仕方が無いけど、蒼い翼からの映像提供だからそこだけは持っているんじゃないのかな?』
『ですな。まあ、近々その目で直にご覧になれば良い事かと。それに蒼い翼を敵に回したくはありませんからな』
密談をしている様子だったが、この通話は既に月中基地支部が盗聴しているのをデータとして保存している。どんな密談や盗聴防止をしたとしても、こちらには優秀な管制官がいるので無駄な事。理事長はずっと諸葉から目を離さないでいた。
『その件で電話したんだよ。来週中に日本に行くスケジュールがついたから、よろしく』
『お待ちしております、サー』
理事長は丁寧に通話を切った事で、電話相手が優れた救世主で話のしやすい人物なのと、最後に言った言葉で電話相手が特定出来た。こちらは亜鐘学園理事長漆原賢典で、通話相手は白騎士機関イギリス本部長であるサー・エドワード・ランパードの可能性大だった事を。理事長が計画した企みに、真っ先に乗ってきた共犯者。フットワークも軽く、早速協力するための来日を約束してくれた様子。理事長は企みをもう少し補強するための布石を打つ。
「ついに我が校に現れた三人目の神皇帝だ。一人目と二人目は蒼い翼とCBに現れた事で、不運とされたが今回の幸運はまさに千載一遇」
独白している間にも、出入口のドアが静かにノックされる。先程、人を呼び出しておいたからであり、理事長は執務机に腰をかけると入室を促す。彼女には是非企みのために一役買ってもらわないといけないと考えていたそうだ。彼女というのは、戦闘後にサツキが静乃が呼ばれた件であるようだが、その企みをぶっ潰すために泳がせていたのだった。
ページ上へ戻る