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【腐】Happy Whiteday

作者:神流
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その2

「あいつ、頑張ってんのかな…」
補習授業を終えた後。
俺はいつものように職員室に戻らず、家庭科室へと向かっていた。
(昨日からやたら緊張してたし。ちゃんと講師できてんのかよ…)
足早に家庭科室の前へとやって来る。
廊下の窓から、こっそり教室の中を覗いてみると――
「本田先生、花がバラバラになっちゃいます」
「ツルでうまくまとまらなければ、輪ゴムを使ってもいいですよ」
「せんせ―、これにはどんな色が合いますかね?」
「ちょっと色同士がぶつかっていますね…少し淡い色のお花を…」
(…何だよ、しっかりやってんじゃん。しかも生徒とも打ち解けてるし)
スムーズに授業を進めている菊を見て、少し驚いてしまう。
(でもそうだった。菊はこうやって誰とでも真っすぐ付き合うやつなんだよな)
微笑ましく思いながら、授業の様子を眺める。
と、その時、
「あれ、ギルベルト先生じゃないですか」
「……あ」
ドアの近くにいたモブ田先生と、目が合ってしまう。
「見つかったか…」
「きゃ~!」
俺に気付いた生徒たちが騒ぎ出しても、隠れることさえできず。
菊も呆気にとられたように俺を見ている。
「……」
(こっそり見るつもりだったんだけど…菊、すげーびっくりした顔してんな)
「どうかしたんですか? こんなところで」
苦い顔で頭をかく俺に、モブ田先生は声をかける。
「あ、いえ、その…補習授業が終わったので、どんなものかと様子を見に来まして」
「もしかしてフラワーアレンジに興味がおありとか?」
「まあその、はい」
その場をやり過ごそうと適当に返事をする。すると、教室から女子生徒が声をあげる。
「じゃあ先生も一緒にやろうよ!」
「私が教えてあげるからさ!」
「ずるーい!」
そんな言葉に便乗して、モブ田先生も俺に笑みを向けてくる。
「とてもわかりやすくて丁寧な授業ですよ。よろしければ見学していってくださいよ」
「で、では…」
この流れだ断るわけにもいかず、お邪魔することに。
 
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