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願いを叶える者(旧リリカルなのは 願いを叶えし者)

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赤志ユウジの災難

「赤志ユウジ!貴方に決闘を申し込みます!」

初っぱなから騒がしくて申し訳ない。
突然ながら俺、赤志ユウジは目の前のチビッ子に決闘を申し込まれていた。

「その前に、お前誰だよ」

「私は間宮あかり!アリア先輩の戦妹で、最も頼れる戦妹です!」

何故同じ単語を二回使ったのかは聞かないでおこう。
話を要約すると、先日の神崎のお礼参りってことになるわけだな。

「あー、上勝ち狙ってんの?やめとけやめとけ。
Eランク相手にしたって何の名誉も着いてこないぞ」

俺は手をヒラヒラと降って「帰ってください」とアピールしてみる。

「黙れ!アリア先輩の敵ぃー!」

チビッ子は激情して俺に向かい、走り出す。

「はぁ…」

俺はため息を付きながら半身になって向かってきたチビッ子に足を駆けた。

「うぎゅっ!!」

「おお、痛そ~」

チビッ子は避けることもせずに地面とキスをしてしまった。
よろよろと打ち付けたであろう鼻を押さえながら、キッと俺を睨んでくる。

「お前さん、手の内隠して俺に挑むのか?」

「っ!…何のことですか?」

「お前さん…面白い動きするんだなぁ。
油断させるためか、はたまたそれが実力なのかは知らんが…利用できる手法を隠して俺に挑むのならば、それは勝てるかもしれない可能性を0にしていることと同義なんだぜ?」

「………何が分かるんですか?私は今全力でやっています!」

「その全力が見事なスッ転びだとは…可愛そうに」

「~~~!!絶対泣かせてやるんだから!」

そう言ってまた走り出すチビッ子。
しかし先程とは違い、体制を低くして両手を自由にするように脱力させている。

「(鳶穿!)」

「ほっ!」

見えないように滑り込ませたチビッ子の右手を跳ね上げて足を払う。
走っていた勢いもあったのか、チビッ子は空中を一回転して地面に尻を打ち付けた。

「痛ぁい!(そんな!?鳶穿が……!」

「いやはや…中々面白い技を使おうとしたなぁ。
とは言っても、本来の使い方を改正して使われたその技に俺を倒す力は無かったみたいだな」

「くっ!私は諦めない!
この技がダメでも他のなら!」

「はいアウトー」

"ベシンッ"

「うわぅ!」

再び立ち上がろうとしたチビッ子の頭を叩いて軽い脳震盪を引き起こす。
チビッ子は頭をクラクラさせながら尻餅をついて目を回した。

「ま、これにこりて作戦でも練って出直しな」

そう言って俺は立ち去る。
後ろでは仰向けで倒れて目を回すチビッ子がいるだけだった。

「………くそ」

やはりと言うかほっとける筈がなく、仕方なくチビッ子を担いで学生寮へと歩き出したのだった。












「それでこんなところに来たんだ?」

あの後、寮に帰ったのは良いのだが、またもや神埼が入り浸っており、尚且つ金次を押し倒している現場に遭遇した。
俺は無言でソファにチビッ子を置いて再び外へ出た。
後ろから聞こえる叫びを無視して、取り合えず峰のいる場所へとやって来たのだ。

「まぁお前さんのやってることと動機は知ってるからどうもしないが」

「いや、何で知ってるのか知りたいんだけど…まぁ良いよ。
でも何でここに来たの?一応女子寮だよ?」

「俺の知り合いにはお前しかいないからな」

「そ、そうなんだ……」

ここへ来て早々に武偵殺しの件を話し、更にはその内容も話した。
最初は驚いていたものの、俺だからと言うよくわからん言葉で納得された。

「まぁお前があの二人を相手にして負けることは無いが、油断とかすると痛い目にあうからな」

「分かってるよ。
これは理子が理子になるための大切な事。
これが終われば自主することも構わないんだからね」

そう。
オールナイトな日曜日を過ごした後、俺は峰を鍛え上げた。
初めて数秒で音を挙げる峰をスパルタでやりくりし、約3ヶ月で最初の8培位の強さを手にいれた。
戦技に技法、戦闘思考など、様々な事を叩き込み、峰はRランクと呼ばれる人外認定者とタメを張れるレベルになっている。

「そう言えばユウくんはこれからどうするの?」

「ん?何だいきなり。
んー、まぁやることないしな…のんびりするのが一番だと思うな」

「そっか……なら、さ。
私、ユウくんの世界ってやつに行ってみたいんだけど……ダメ、かな?」

…………俺の世界か。

「俺は別に構わんが、その前に自分の目的果たしとけよ?
じゃねぇと後々後悔することになるからな」

「ホント!?わかったよ!
絶対成功させて見せるから!約束だからね!」

ホント、何でこんなに興味を示すのかねぇ?
まぁ別世界なんて普通なら行けるわけがないんだし…貴重な体験しますってか…?

「んじゃ、俺はもう帰るわ」

「そう?じゃあまた明日ね」

「おう」

はぁ……あと2年か…。
早く帰りたいぜ………。 
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