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ハイスクールD×D~舞い踊りし剣舞姫~

作者:レゾナ
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第十九話

駅のホームに入り、エレベーターに向かっている、と思う。

とりえあず、俺たちはついていってるだけだしな。

そしてエレベーターの前まで来るとソーナ会長は

「このエレベーターで()()()()

そう言った。

…………ん?降りる?

「あのソーナ会長?今、降りるって言いませんでした?」

このエレベーターって降りるのは無理だった筈じゃ……?

「はい、確かに普通に降りる事は出来ませんが。私たちは悪魔ですので。それ専用のルートという物があるのです」

そう言って全員でエレベーターに乗る。

そしてソーナ会長はポケットから何やらカードを取り出す。

「どうやって降りるの?」

フィアナが未だに疑問だったのかソーナ会長に聞く。

「この電子パネルにこのカードを読み込ませれば」

そう言ってパネルにカードをかざすと……エレベーターは下に降り始めた。

「ほ、本当に下に降り始めたな……」

エリス、疑ってたのか?

「ちなみに、これ以外の方法で冥界にいくルートも存在しているんですか?」

俺はふと、疑問に思ったので聞いてみる。

「はい、確かに存在していますが私が使用するのは基本このルートですね。イッセー君は冥界には?」

「ああ、こっちに戻ってくる際に冥界を通って戻ってきましたからね。というか、精霊王達が冥界に進行してたんで、それを止める為にこっちに戻ってきたみたいな感じでしたし」

「そうだったのですか……では、その時に魔王様達と?」

「そうですねぇ……ミカエルさんは結構温和そうな人だなとは思いましたね。後は……まあ、基本自由思考?」

「否定出来ないのがちょっとあれですね……」

エレベーターで下に降りながらソーナ会長は頭を抱えている。

別にそこまで気負う事はないと思うけどな。

チーン

話をしていたらそんな音が聞こえてきた。どうやら着いたらしい。

エレベーターの扉が開く。

「私たちは五番線のホームから出る列車に乗ります」

「五番線って……どこよ?」

「多分あれの事だろう。日本語表記で「五」と書かれているからな」

クレアは目を凝らして探しているが見つからなかったらしく、ルビアに場所を教えてもらっている。

ちなみに事前に決めた通りにルビアにはアーシアの隣からあまり動かないようにしてもらっている。

その方が確実だしな。

そして五番線の列車に俺たちが乗り込み、次いで生徒会メンバーが乗り込むと待っていましたとばかりに汽笛が鳴り、列車が走り出した。

俺たちは手頃な席に座る。

俺の隣にヴァーリ、クレアにフィアナ。向かいにはルビアとアーシアとリンスレットとエリスにゼノヴィア。

今更だが……椅子、でかいな。だって、四人が座ったとしてももう一人位は入りそうだ。現に向かいの席には五人座ってるのに普通に座れてるし。

ちなみに席順は昨夜に決まった。俺は別に一人でもよかったのだが、誰も頑として譲らなかった。

何でだろうか?そもそも席の場所など見える景色がちょっと違うだけだろうに。

「はぁ~~……だるいよぅ…………」

と、今代の白龍皇であるヴァーリはだらけてしまっている。というより、気持ち悪そうと言った方が正しいか?

「ヴァーリ、乗り物弱いの?」

「うん……何かゆっくりと揺れるこの感覚がどうも苦手で……」

クレアの心配する声にヴァーリも何とか返すといった感じだ。

本当に苦手なんだな、乗り物系……。

「待っててね、今酔い止めの薬を……あれ?どこに入れてたっけ?」

クレアは自分のバッグを漁り薬を探そうとするが見つからないみたいだ。

「ふふふ、ヴァーリちゃん。口開けて」

そう言ってフィアナが身を乗り出してヴァーリに口を開けるように言う。

「あーん……」

ヴァーリは何も疑う事なく物を口に入れる。

「ふぐっ!!!?」

ヴぁーリは一瞬苦しんだ後、ぐったりと横になった。つまりは、俺の膝の上に頭を乗っけている状態だ。

「おい、ヴァーリ。大丈夫か?」

「…………」

返事がない。というか……白目、向いてる?

「フィアナ。ヴァーリに何を飲ませた?」

「え?()()()の酔い止めの薬だけど……」

「「「「「「っ!!!!????」」」」」」

フィアナ自作と聞いた所で俺たち(ゼノヴィア除く)は一斉に顔を青くする。

というかヤバい!下手したらヴァーリが死ぬ!!

「リンスレット!クレア!綺麗な水!」

「了解ですわ!」

「了解したわ!」

そう言ってクレアとリンスレットにペットボトルの水を取ってもらい、ヴァーリの口に注ぎ込む。

「ヴァーリ、吐き出すんだ!!」

「げほっ!ごほっ!」

何とか、物を吐き出させたんだが……

「な、何なんでしょうか、これ……?」

アーシアの疑問ももっともだと思う。

ダークマター。そう、暗黒物質。そう言えばわかりやすいと思う。真っ黒なのだ。

あれ?俺が見た時は普通の感じだったんだが……まさか、口の中の酵素に反応してあんな感じになったのか?

だとしたら、フィアナの奴、化学兵器を作り出した事になるぞ……!

「おかしいわね……普通に作った筈なんだけれど……」

どう普通に作ったらダークマターが出来上がるんだよ!

「ヴァーリ、大丈夫か?」

「うぅぅ……口の中、気持ち悪い……」

「しょうがない。楽になるまでそのままじっとしてろ」

「うん、じっとしてる……」

そのまま、俺の膝の上でゆったりとするヴァーリ。

何というか……すごく子供っぽいな。

『ヴァーリが子供ならお前は父親か?はっ!この年齢で父親とは』

「ドライグ、煮沸消毒って知ってる?」

俺はドライグに話しかける。

「何?どうしたの、イッセー。突然」

結構小さな声で言ったんだがクレアには聞こえたようだ。

「ああ、いや。ちょっとな。気にしないでくれ」

『煮沸消毒?確か消毒する対象を煮て消毒する方法だったか?それが一体』

「よし、ちょっとソーナ会長に頼んで鍋を持ってきてもらおう。そこでこいつを煮沸消毒する」

俺はそう言って右手で時を刻む赤龍帝の時計(ブーステッド・タイム・クロス)を握り締める。

『ちょっ!?ま、待ってくれ相棒!神器を煮沸消毒するのはいかがなものかと思うぞ!?』

「何だか時計が激しく動いているように見えるのですが……?」

見間違いじゃないよアーシア。実際に動いて抵抗しようとしているから。まあ、抵抗出来ないけどね。

「ま、大方ドライグが何かしらイッセーをからかったんだろう。皆、気にしなくてもいいぞ」

そしてルビアがトドメの一撃を喰らわせる。

『ルビア・エルステインが見捨てた!?というか、今ので全員気にしなくなったな!?少しひどくないか!?』

ドライグは諦めたかと思いきや

『い、いや、まだ希望はある!相棒、これからはイジらないから、煮沸消毒は止めてくれ!』

まだ諦めてはいなかったようだ。

「じゃあ、誓えるな?」

『い、いや、しかし……』

ほう、どうやら余程煮沸されたいと見える。

「ゼノヴィア、ちょっとソーナ会長の所に行ってきて鍋を貰ってきてくれ」

「わかった」

嬉々とした表情で立ち上がるゼノヴィア。

『ちょっ!?わ、わかった誓う!誓うから!』

「「「ちっ」」」

俺とゼノヴィア、そしてルビアは同時に舌打ちする。

『なぜか三人に舌打ちされたぞ!?俺が悪いのか!?』

いや、全面的にお前が悪いだろドライグ。俺たちを怒らせたんだからな。 
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