ハイスクールD×D大和の不死鳥
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
27ハーフヴァンパイア
俺は旧校舎一階の「開かずの教室」とされていた教室の前に立っていた。
部員全員が集まっていた。昨日の話し通りり厳重に封印されているリアス様の最後の眷属悪魔、『僧侶』を解放するらしい
先日、サーゼクスが部長と朱乃さんを連れて行ったのは、なんでも『僧侶』の封印を解くためだったらしい。
「――さて、扉を開けるわ」
リアス様は扉に刻まれていた呪術の刻印を解いてから扉を開く。
「イヤァァァァァアアアアアアアッッ!」
――ッ! とんでもない声量の絶叫がなかから発せられる。リアス様は予想していたのか驚くこともなく、ため息をつくと朱乃さんと共になかへ入っていってしまった。
『ごきげんよう。元気そうでよかったわ』
『な、な、何事なんですかぁぁぁぁ?』
声からして年下の男。声の位置から身長は低めだな。
『あらあら。封印が解けたのですよ? もうお外に出られるのです。さあ、私たちと一緒に出ましょう?』
朱乃さんのやさしい声。いたわりを感じる。やさしく接してあげようって感じだが、しかし――。
『やですぅぅぅぅぅ! ここがいいですぅぅぅぅぅ! 外に行きたくない! 人に会いたくないぃぃぃぃっ!』
かなりの引きこもりみたいだ。
部屋の中に入ってみると、床にへたりと力なく座り込み、リアス様と朱乃さんから逃げようとしている。金髪と赤い双眸をした人形みたいに端正な顔立ちをした男がいた。しかも、駒王学園の女子の制服に身を包んでいた。
イッセーがそいつを見て嬉しそうに叫ぶ。
「おおっ! 女の子! しかも外国の!」
素晴らしいといわんばかりに喜ぶイッセーに苦々しく伝える。
「おい、イッセー。こいつは男だぞ。おまえ男の娘がいけるタイプだったのか?」
「え?」
イッセーから距離をとる。
リアス様も喜んでいたイッセーに告げた。
「さすがヤマトね。イッセー、見た目、女の子だけれど、この子は紛れもない男の子よ」
「いやいやいや、どう見ても女の子ですよ、……え? マジで?」
「女装趣味があるのですよ」
横から朱乃さんが言った。
「ええええええええええええええええええっ!?」
イッセーは驚愕の叫び声を上げた。
「ヒィィィィィッッ! ゴメンなさいゴメンなさぁぁぁぁぁい!」
謝る女装男子。イッセーは頭を抱えて、その場にしゃがみこんだ。ざまあみろ!
イッセーが女装男子に鬼の形相で怒鳴っていた。
「女装趣味ってのがさらに残酷だ! 似合っている分、余計に真実を知ったときのショックがデカい! 引きこもりなのに女装癖かよ! 誰に見せるための女装ですか!?」
「だ、だ、だ、だって、女の子の服のほうがかわいいもん」
「かわいいもん、とか言うなぁぁぁぁ! クソッ! 野朗のクセにぃぃぃ! 俺の夢を一瞬で散らしやがってぇぇぇぇぇっ! お、俺は、アーシアとおまえのダブル金髪美少女『僧侶』を瞬間的にとはいえ、夢見たんだぞ!? 返せよぅ! 俺の夢を返せよぅ!」
「……人の夢と書いて、儚い」
「小猫ちゃぁぁぁぁん! シャレにならんから!」
「と、と、と、ところで、この方は誰ですか?」
女装男子がリアス様に訊く。
「あなたがここにいる間に増えた眷属たちよ。『兵士』のヤマト・「下は言わないでください」わかったわ、ヤマトと同じ『兵士』兵藤一誠、『騎士』のゼノヴィア、あなたと同じ『僧侶』のアーシア」
紹介されたようで、「よろしく」と俺と3人は挨拶する
「ヒィィィ、人がいっぱい増えてる!」
対人恐怖症でもあるのか?
「お願いだから、外に出ましょう? ね? もうあなたは封印されなくてもいいのよ?」
リアス様はやさしく言うが――。
「嫌ですぅぅぅぅ! 僕に外の世界なんて無理なんだぁぁぁぁぁっ! 怖い! お外怖い! どうせ、僕が出てっても迷惑をかけるだけだよぉぉぉぉっ!」
「ほら、部長が外に出ろって――」
「ヒィィィィ!」
イッセーがたぶん少しだけ強引に手か何かを引っ張ったんだろう。女装男子の悲鳴が聞こえた。
「あれ? リアス様?」
後ろを向くと俺と女装男子以外止まってる
部屋で動いていた女装男子に訊いてみる。
「おまえがやったのか?」
「へ? 動けるんですか?」
…………。なんとも気の抜けた返答だった。
「おまえが時間かなんかを止めたんだろ?」
「は、はい! っ! 怒らないで! 怒らないで!」
突然、叫び始めた女装男子。女装男子に話しかけた。
「別になにも悪さをするつもりもなさそうだし、怒りはしないから解除してくれないか?」
頭を撫でてやる。
「す、すみません! 僕! 神器が上手く制御できなくて……! もう少しすれば解けると思うんですけど、すみません!」
数分後
「あれ? いつの間にヤマトが女装野朗の近くに?」
「おかしいです。何かいま一瞬……」
「……何かされたのは確かだね」
イッセーとアーシア、ゼノヴィアが驚き、他のメンバーは納得とうなずいていた。
「さすがヤマトね」
「ええ。やはり効きませんでしたね」
リアス様と朱乃さんがうんうんとうなずいていた
「その子は興奮すると、視界に映したすべての物体の時間を一定の間停止することができる神器を持っているのです」
結構強力な神器だな。
「彼は神器を制御できないため、大公及びサーゼクスさまの命でここに封じられてたのです」
リアス様は女装男子をうしろからやさしく抱きしめ、俺たちに言う。
「この子はギャスパー・ヴラディ。私の眷属『僧侶』。いちおう、駒王学園の一年生なの。――そして、転生前は人間と吸血鬼のハーフよ」
「『 停止世界 の 邪眼
フォービトゥン・バロール・ビュー
』?」
イッセーの問いにリアス様はうなずいた。
「そう。それがギャスパーの持っている神器の名前。とても強力なの」
「時間を停めるって、それ、反則に近い力じゃないですか?」
「ええ、そうね。でもあなたの倍加の力も、白龍皇の力も反則級なのよ?」
そうだよなぁ。倍加とか半減とか反則すぎるよなぁ。
「問題は、それを扱えないところ。それゆえギャスパーはいままで封じられてきたのよ。無意識に神器が発動してしまうのが問題視されていたところなの」
「しかし、そんな強力な神器を持った奴をよく下僕にできましたね。しかも駒1つ消費だけで済むなんて」
イッセーの言葉に部長は一冊の本を宙に出現させた。そしてペラペラとページをめくり、イッセーに差し出した。
「駒の消費が1つで済んだ理由は『 変異 の 駒
(ミューテーション・ピース)
』を使ったの」
「……ミューテーション・ピース?」
イッセーに木場が説明を始めた。
「通常の『悪魔の駒』とは違い、明らかに駒を複数使うであろう転生体が、ひとつで済んでしまったりす特異な現象を起こす駒のことだよ」
「部長はその駒を有していたのです」
と朱乃さん。木場がさらに続ける。
「だいたい上位悪魔の10人に1人はひとつぐらい持っているよ。『悪魔の駒』のシステムを作り出したときに生まれたイレギュラー、バクの類らしいけど、それも一興としてそのままにしたらしいんだ。ギャスパーくんはその駒を使った1人なんだよ」
「問題はギャスパーの才能よ」
「部長、どういうことですか?」
「彼は類希な才能の持ち主で、無意識のうちに神器の力が高まっていくみたいなの。そのせいか、日々力が増していってるわ。――上の話では。将来的に『禁手』へ至る可能性もあるという話よ」
イッセーが驚いた。まあ、禁手になれないで困ってるのに、何もしないで禁手になるほどの才能の持ち主に驚いているんだろう。てか、禁手か~……。
時間停止の禁手は結構強そうだな~。しかも制御できないのは怖い。
リアス様は困り顔で額に手を当てていた。
「そう。危うい状態なの。けれど、私の評価が認められたため、いまならギャスパーを制御できるかもしれないと判断されたそうよ。私がイッセーと祐斗を『禁手』にいたらせたと上の人たちは評価したのでしょうね」
「……うぅ、ぼ、ぼ、僕の話なんてして欲しくないのに……」
イッセーのそばに置かれた大きなダンボールから声がした。イッセーはそれを無言で蹴った。
「ひぃぃぃぃぃぃぃっ!」
悲鳴が聞こえてきた。当然、ギャスパーだ……。
「能力的には朱乃に次いで4番目なんじゃないかしら。ハーフとはいえ、由緒正しい吸血鬼の家柄だし、強力な神器も人間としても部分で手に入れている。吸血鬼の能力も有しているし、人間の魔法使いが扱える魔術にも秀でているわ。とてもじゃないけど、本来『僧侶』の駒ひとつで済みそうにないわね」
そうですね。あれ?四番目?
「俺も入ってるんですか?」
「当たり前じゃない。ヤマトの能力は私達の中で一番よ」
そうなのか~
能力番付けは俺、部長、朱乃さんのトップスリーだ。
それからギャスパーの紹介が行われた。
なんでもデイウォーカーで日の光が平気……だけど本人は太陽の光が苦手ではなく、嫌い。
授業に出ていない。ダンボールが自分の世界で満足。外の世界嫌い。
さらに吸血鬼なのに血が嫌いで飲むのも苦手。飲まないといけないそうだが、あんまり飲みたくないそうで、レバーも嫌い。
「……へたれヴァンパイア」
そんなギャスパーに小猫ちゃんが吐き捨てるような痛恨な一言を放った。
「うわぁぁぁぁん! 小猫ちゃんがいじめるぅぅぅぅ!」
1年生同士だから容赦がないんだろ。小猫ちゃんが生き生きしている。
「とりあえず、私が戻ってくるまでの間だけでも、ヤマト、イッセー、アーシア、小猫、ゼノヴィア、あなたたちにギャスパーの教育を頼むわ。私と朱乃は3すくみのトップ会談の会場打ち合わせをしてくるから。それと祐斗、お兄さまがあなたの禁手について詳しく知りたいらしいから、このあとついてきてちょうだい」
「はい、部長」
「あ、あの!」
「なにギャスパー?」
ギャスパーがリアス様に声をかけた。
ギャスパーが部長に訊いた。
「そのヒト、僕の神器がまったく効かなかったんですけど、何者なんですか?」
「彼は…………「信用の話になるので言ってください」わかったわ。彼はヤマト・フェニックス、聖獣フェニックスで実力が高すぎるのよ。それと私の彼氏でもあるわ」
「そ、そそそそのヒトがライザーの時のフェニックスなんですか!?」
「そうよ」
リアス様、朱乃さん、木場は魔法陣でその場をあとにした。
続く
ページ上へ戻る