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ソードアート・オンライン~狩人と黒の剣士~

作者:村雲恭夜
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インベーティング:それぞれの道

ロードSaid

目を覚ますと、目の前には天幕の天井。
精神世界(アンダーワールド)から電子世界(アンダーワールド)へ帰ってきていた。
「うー……身体が重いっ!?」
動かそうとしてベッドから落ち、顔面を強打する。
「にしてもあの黒いライトは一体……?」
『お前は自分の身より他人の身か』
すると、ドラゴンが言う。
「うっさいな……ライトの異変を真っ先にどうにかすべき事柄だろ?」
『……まぁ、奴の事だ。その内戻ってくるだろう』
「だと良いけどね……ってアアアアアアアアッ!!」
俺は叫ぶと、二挺の愛銃を見る。
「……あ、良かった消えてなかった」
『……消滅世界が既にトラウマか』
ドラゴンが呆れて言う。当たり前だろ、ゼンリンシューター消されたんだから。
『……アンダーワールド内での戦闘では消されない筈だぞそもそも』
「あ、そう言えばあのマッハ、誰だったんだろう……?」
俺はドラゴンに言うとドラゴンは横に首を振る。
『さぁな。俺に存在すらも感知されないと言うことは最初から居たと言うことになるが……いや、まさかな』
ドラゴンは顔を振ると、俺に言う。
『ともかくだ。俺は軍議に出てくる。その身体ではお前も聞き取れないだろう?』
「それ以前に動きたくても激痛と魔力切れのせいで動けないんだけどね……」
『丁度良い、そのまま休んでいろ』
ドラゴンはそう言うと天幕を出た。
「……責めてさ、ベッドに戻してくれても良いんじゃ無いかな!?」
俺は叫ぶと、ドラゴンが顔を出す。
『無茶した罰だ。受けていろ』
「酷いよね!?」
叫び返すと、ドラゴンは出ていった。
「……軍議って何時までだろう……」
最悪、二時間は掛かるだろうと覚悟を決めて、寝た。






†††








ダークSaid

光のゲートを飛び出すと、地面に着地する。
脚に痺れが走ると共に、感覚を取り戻し、スッ、と立つ。
「まるでウィザードのアンダーワールド侵入みたいで少し面白い……いやいや、思っただけだからな!?」
漆黒騎士団の面々が俺にジト目を放ってくるので訂正する。
「……しかし、ここは何処でしょうな」
ジョーが言うと、俺は手を地面に付ける。
「お前ら、少しくすぐったいぞ」
『は?』
俺は忠告すると、術句を放つ。
「『闇よ、ほとばしれ』」
途端、神力の過半数が解放され、地面を走る。
闇神魔術『暗黒捜索(ダークネスサーチ)
「さて、暫くは皆休んでろ。でも警戒は怠るなよ」
『ハッ!』
騎士団面々が敬礼をすると、数隊に別れて休息を取る。
「……うぅ~ん。いや、良いんだけどさ。良いんだけど……もう少し気を楽にしてくれると……」
俺は言うが誰も反応しない。
「……忠義には厚いんだけど、融通効かないのが難点だよな、うちの騎士団」
漆黒騎士団は問題児の集まりである。
天国にも地獄にも行けない霊達を一手に俺が引き受けて騎士団編成したまでは良かったのだが……まぁ、これでも連続殺人鬼『ジャック・ザ・リッパー』、死神『ウロボロス』等々様々な世界から来ている戦闘のプロが居るので戦闘では最大の威力を発揮する。……が、コイツら全員人殺しとかなんだよな結局。
「フム、思った以上に多いですね」
と、俺の前に美少女が現れる。
「誰?」
「主神オーディーンの命により、漆黒騎士団に配属となりました。ヴァルキュリアのエトナと申します。以後、お見知りおきを」
綺麗な敬礼で名乗ると、俺は頭を天に上げた。
「……オッサン、よりにもよってこの人かよ!!」
神場で戦っているで在ろう神に向かって叫ぶと、エトナがビクッとする。
「な、何か行けなかったでしょうか……?」
「いや、エトナが悪い訳じゃないただオッサンが悪いんだ叫んで悪かった」
早口で言って戻っていいと指示すると、エトナは自分の隊に戻る。
『……中々に、アレだね』
ベルトさんが言うと、俺は溜め息を吐く。
「……ああ。所でベルトさん、シフトフォーミュラとシフトトライアルの調整は済んだのか?」
『フォーミュラの方は調整は完了した。ただ、トライアルは元がガイアメモリだからね、必殺技の時間調整のリミットを解除するのに手間取っている。まぁ、何にせよ、スピード、ワイルド、テクニック、デッドヒート、フォーミュラ、トライアルの全能力を合計したシフトオールラウンダーの製作には必要不可欠だからね。どちらにせよ、今回のは良い機会だったよ』
「……相変わらずブレないなぁベルトさん」
『そうとも私はベルトだ』
「真顔で言わないでくれる!?って顔ねぇわこの人」
『失礼な!ここにセントラルフェイスが在るだろう!?』
ベルトさんが突っ込むと、神力が帰ってきた。
「フムフム、ホウホウ、成る程……」
俺は頷くと、面々の方へ向く。
「よっしゃ、人間の街はアッチだ!急ぐぞ!」
「全員立て!これより進軍を開始する!!」
ジョーが言うと、騎士団の面々は立ち、オオー!と叫んだ。
「……まぁ、殺る気で何よりだ」
『努力の方向性を見誤ってる感じが営め無いんだが……』
ベルトさんの突っ込みを無視して、俺達は歩き出した。












†††









ライトSaid

俺を纏っていた闇が薄れ、俺の身体が動くようになる。
『どうなっているんだ……?』
『お人好しの歌師が闇を倒したからだ』
声がすると、翡翠色の髪に蒼色の眼をした男が立っていた。
『……お前は何者だ?』
『違う世界のお前さ、俺』
言うと、近付いて来る。
『来るな!お前まで闇に囚われるぞ!!』
『……既に闇に囚われた後さ』
言うと、闇を放って俺を吹き飛ばす。
『グアッ!!』
『……まだ闇を祓える力を持つか、俺。俺にもその力が在れば、翔夜に罪を増やさせることが無かったのにな……』
悲しそうな声で言うと、俺は姿勢をただして闇に浮遊する。
『何故お前がここにいるんだ?』
『翔夜に魂ごと世界から消滅させてくれと頼んだからさ。そして、お前と繋がった』
言うと、奴は闇の雷を放つ。
『何時までも!!』
此方も雷神皇ノ天戟で応戦して闇の雷を相殺する。
『……ここまでの力を持っているのに何故戻らない、雷獣?』
『……俺はもう戻れない。戻ったらもう、取り返しが付かなくなる……殺してしまうかも知れないんだ、この力で』
俺が言うと、奴が言う。
『……呆れたぞ。俺がこんなものだとはな』
『何っ!?』
『お前はその力の本当の意味を知らない!ジンオウガと同等の、いやそれ以上の雷撃を持っていながら何故その力にあらがおうとはしない!?』
『……無駄さ。俺はよくわかっている』
『分かっていないな。ならば何故、貴様はあの時雷帝になれた!?』
『……』
『……お前の中に、コイツが居たからじゃないのか?』
言うと、翡翠色の物体を投げてくる。

それは、小型犬と化したジンオウガだった。

『ジン!?』
『貴様のその呆れるほどの諦めがソイツをそこまで弱体化させた。皆の希望となる筈のお前が、自らの力に溺れるのを恐れてどうする!?』
『……そうか。やけに力に詳しいと思ったら……あんた、呑まれたんだろ』
『ああ』
簡潔すぎる一言。
俺には、その言葉の意味、重さが良く解った。
『俺は孤独だった。何時も孤独だった。……だが、友が出来た。そして、その友もまた孤独だった。そしてまた俺が一人にしてしまった。俺が呑まれたから……異形の怪物となったから。……だが、お前には友も、仲間も、そして慕ってくれる友も居る。……愛すべき者も居る。お前はまだ、ここで終わるべきではない』
奴は近付くと、手をかざした。
『俺の残された力をくれてやる。これを御しきる事が出来るのならば、真の意味で貴様は皇となろう。が、出来なければ二度と、友を触れられない身体と成り果てるだろう。そして、友に殺されるであろう。……どうするかはお前次第だ、雷獣』
俺はそれを聞くと、ジンオウガを見る。
(……俺を助けてくれた皆が居る。ジンも、俺を助けてくれた。ダークも、北斗も、そしてロード達も。……何時までも、諦めてる訳には行かないよな……また、皆の元に帰るためにも)
『……例え怪物に成り果ててしまう力だとしても』
俺は覚悟を決めて叫ぶ。
『俺はっ!その運命すらもぶち壊す!皆が待ってる、皆の所に帰るためにも!!』
『ドライバーオン!プリィズ……』
『フレイム!ドラゴン……ボゥ・ボゥ・ボゥボゥボゥ!』
フレイムドラゴンに変身した俺は、奴に叫ぶ。
『幻想も運命も知ったことか!幻想や運命にすがる位なら……行き当たりばったりで行くしかねぇだろうが!!』
『……良く決意した、赤き竜と蒼き稲妻の竜の継承者。さぁ、見事御してみよ!コレが……真の皇の雷撃よ!!』
奴は叫ぶと、術句を放つ。
『【叫べ叫べ叫べ。天高く登りし稲妻の雷帝よ。そなたの叫びを轟かせよ。一つは赤き焔を撒き散らせ、一つは白きほうこうをもたらし(そら)を光らせ照らし、一つは黄き破壊をもたらし全てを消滅させ、疾風(かぜ)は更なる破壊をもたらさん。穿て、全ての物を。貫け、我が前に立ち塞がる悪き物を。我が契約の名は雷皇。契約により生来せよ、灰燼の化身。無慈悲の剛雷。ーーーーー全てを捉えて焼き尽くせ雷神の槌】!』
途端、地面と天に魔法陣が展開、俺の身体は固定される。
『元の姿のまま、元の場所へ帰れ、その時、お前は真なる皇の雷撃を手に入れている筈だ。死ぬなよーーーーー【デトロイト・ミョルニール】!!』
そして、俺の意識は白い雷撃によってかき消された。 
 

 
後書き
インベーティング、完・結!!
ダーク「いよいよダークテリトリーの奴等と戦争か」
ライト「俺は果たして間に合うか?」
ロード「そして皆の未来を守れるのか!?」
アリシゼーション編、次回からWob版の物から書き始め!
三人『さぁ、次からも見逃すなよ!?』 
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