ハイスクール・DM
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15話
飛行能力が頼りになるコンコルドの神器モードの翼による高速移動。目的地である廃教会の位置は記憶している。
「キング」
「おう、来たか」
堂々と廃教会の前でアウトレイジ本来の姿で立っていたカツキングへと声をかける。隠れる事無く立っていたのは、向こうから仕掛けてきたとしても迎え撃つだけ、どっちにしても堕天使とは敵対する気満々と言う意思その物。
「ブルースとジャッキーさんの二人のスタンバイは?」
「もう準備できてるらしいぜ。ったく、さっさと殴り込めば良いものを」
「そう言わないでよ、キング。……こっちはカラス共と話し合いなんてする気は無いんだからな」
四季の右手に有るのはクロスファイヤの神器モードである百万超邪の右籠手。
「これは連中が売ってくれた喧嘩への返礼……祭りの花火は精々盛大にするものだろ?」
当然、向こうにはそんな意図は無い。アザゼルにしてみてもなるべく平和に事を納めたかった結果なのだが……結果的に逆方向に全力疾走している現状には頭を抱えたくなる事だろう。
まあ、頭を抱えている時間等無いかもしれないが。
「はっ、違いねぇな!」
カツキングとしても流石に堕天使を壊滅させる意思は無いが、この廃教会に居る連中を全滅させる気は満々だ。
「神器モード、2ndフォルム」
四季の呟きに合わせて百万超邪の右籠手の形状と色彩が変わる。
「さてと、先ずは此処居る獣と違って礼儀を守って、ノックでもしようかな」
強化形態である2ndへと変化させると廃教会の扉の前へ立ち、右手を大きく振りかぶる。
「完全開放、百万超邪の右籠手!!!」
百万超邪の右籠手に蓄えられている力全てが四季の攻撃のインパクトと共に開放させ、四季の一撃の破壊力が100万倍の破壊力に倍化される。
それと同時に四季の右腕に有る籠手が元の形へと戻る。2ndと呼んでいる形態の持つ能力として、100万倍に倍化させる本来の効果を連続で仕えると言う物がある。
『あじゃぱー!』
教会だった建物が跡形も無く粉砕され、誰かが悲鳴と共に空高く吹飛ばされていった。唯一無事だった十字架が四季の前に落ちるが、それを邪魔だとばかりに踏み砕いて更地へと変えた教会跡を歩く。
「随分な欠陥住宅だな、ここは。ノックした程度で壊れるなんて」
口ではそう言っているが最初から教会を完全に破壊するために使った一撃だ。この惨状も全て四季の意図でしかない。
「しかし、地下への入口も今ので埋まったんじゃねぇのか?」
「最初から呑気に階段を下りる気は無い」
此処に居る詩乃のドラグハート・ウェポンの位置ならばこれだけ近付けば手に取るように分かる。
態々地上部分の教会を跡形も無く破壊したのは、地下への通路を埋めて人間であるはぐれエクソシスト達を逃さない為と言うも存在している。面倒になれば、詩乃と序でにアーシアと言うシスターを救出して、堕天使達を始末してから出入りに使った場所を瓦礫で埋めなおせばいい。……あとは放置していれば勝手に立派な殉教者になってくれることだろう。
「アリス、神器モード、電脳者」
四季の顔に汗ら割れる片目を覆うバイザーの様な物と、左手に表れる手袋。周囲に展開されている魔力の流れを感知、同時にハッキング。……それによって見る事が出来るのは、無力化ならば数秒で終る程度の代物……。
「直通するだけだ!」
百万超邪の右籠手を彼女の気配の前、己の足元に叩き付ける。
「へっ、確かに……これが一番手っ取り早いな」
「同感だな」
カツキングの言葉に答えるのは神器モードからアウトレイジの姿に戻ったクロスファイヤ。同時に四季も落下しながら赤き血を展開する。直通ルートの開通と落下の際にも術式への干渉は続けている。
『うわぁー!』
『天井がぁー!』
内部でも四季が崩した影響で天井が崩れているのだろう、何人かの悲鳴と叫び声が上がるが……四季は完全に無視している。
そんな四季とクロスファイヤに先行する形でカツキングが前に出ると、カツキングの視界に写ったのは、光の槍を持ってカツキングを驚愕の表情で見上げている、人間の年齢でいうならば四季よりも年上に見える長い髪の女の堕天使。
「邪魔だ!」
相手が反応するよりも早くカツキングの一撃が構えていた光の槍諸共女堕天使を袈裟懸けに切り裂く。
「カラワーナ!?」
崩れ落ちるカラワーナと呼ばれた女堕天使の表情は何が起こったのか理解していない表情だった。その彼女と目が合った黒い髪の女堕天使『レイナーレ』は思わず一瞬で死んでいった部下の名前を呟く。
そして、その体が襲撃者に踏み砕かれると同時に黒い羽に変わり、襲撃者の全貌が明らかになる。
「なっ!? ド、ドラゴン……」
「チッ! 一人で良いトコ持ってくんじゃねぇよ、キング!」
「モタモタしてるテメェが悪いんだろ?」
「それは後で」
続いて降りてくるのはクロスファイヤと四季の二人。先に言った事に腹を立てているクロスファイヤとそれに言い返すカツキングを窘めると、四季はレイナーレと……その後ろで十字架に貼り付けにされている詩乃とアーシアに向き直る。
「おい、カラス共! 詩乃を返してもらうぞ!」
―赤き血―
―武闘将軍カツキング―
―百万超邪クロスファイヤ―
赤き血を構える四季と、己の肉体に武器を展開するカツキングとクロスファイヤ。
無法なる者達が此処に集結する。
???……
『なんやー、折角ワイの所から逃げた連中を纏めて捕まえる事が出来るかと思うとったのに、とんだ邪魔が入ったようやなー……』
姿が見えない影の中で“それ”はそう呟く。
『しゃーない、今回はこれで諦めトコか……。だけど、逃がさへんで……“ガイギンガ”はん』
後書き
ってな訳で、デュエマのストーリー上の敵役もちょっとだけ登場しました。誰かは簡単に分かるでしょうが、敢えて秘密にしておきます。
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