剣聖龍使いの神皇帝
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第1巻
ランク付け×実戦部隊について
一年生達がそろそろ学校生活にも慣れてきて、ゴールデンウィークの使い道についてアレコレ算段を巡らせる四月後半に突入した。石動との対決という準備運動以来、クラスメイトも俺に対する視線は熱いモノとなっているが俺は最早慣れっ子である。女子達は主に憧憬と羨望を込めてで、男子達は嫉妬と畏敬を込めていた。
一方石動はあれ以来学校に来なくなった。隣の市である自宅療養中だそうだが、武道館の外に出れば怪我したところは元通りとなるので、理屈の通らない話となる。様子見に行った最初に倒した腰巾着達が囁くには、俺の名を聞くだけで恐怖状態に陥って、ベッドから震えて出てこないと言う。俺的には一時的にドラゴン恐怖症となったライザー・フェニックスを思い出す。まあアイツも修業して克服出来たようなもんだが、とある昼休みにここに訪れた人物で、クラスは騒然とさせる。
「灰村諸葉君はいるかな?話があるんだ」
何か上から目線で言われたから恐らく上級生だと思うが誰だ?と思い見ると教室前方の出入口に現れたのは、深みのある声で告げた。長身で引き締まった体型で、強面に見えるが真面目そうな男。名札には「三年二組(白A)石動迅」とそう書いてあるので、あの雑魚が兄貴がどうのこうのと言っていたからその兄貴らしい。一瞬弟の敵討ちなのか、仇討かと思いながらもだったがクラスがざわめいていた。
「あの人、超強いらしいよ」
「どんぐらい?」
「日本支部屈指」
「マジかよ。学生レベルじゃねえじゃん」
「実際、先生達の方が教わる事も多いらしいよ。でも今の灰村君が戦ったらどうなるかな?」
「灰村君も強いらしいよね、もし戦ったらどうなるの?」
というヒソヒソ話をしている声が聞こえる。
「何か俺に用か?別にヤバそうな話では無さそうに見える」
「諸葉、無視しちゃえば?」
サツキはそう言うが、俺は呼び出しに応じる事にした。あとは・・・・。
「それと申し訳ないが、漆原静乃君も一緒に来て欲しい」
と石動が言い出したので、俺と沙紀に静乃は一緒に行動をした。沙紀は俺の護衛者で、もしヤバそうになったら沙紀と共に逃げても構わんと言っといた。石動を先頭に俺らは校舎屋上に向かった。待ち伏せはないな、気配感じないしここは人気のない話には持って来いの場所だな。石動は落下防止柵の傍で校庭を眺めながらだが、やっと話を切り出した。
「灰村君、単刀直入に言うとね、君にランクCへ昇格するよう勧めに来たんだよ」
弟の話では無さそうだが、今何て言った?俺がランクCだと、それは白騎士機関でのランク付けだろうに。俺はランクSSSだと言う事は、CBと蒼い翼のみ知っている。石動弟は雑魚だったが、石動兄は強いのか。
「・・・・ランクC、ねえ。それは白騎士機関でのランク付けだろう」
「そうよ。便宜上、全ての《救世主》をランク分けしている」
石動兄よりも静乃が答えてくれたが、亜鐘学園生徒は全てランクDでDの意味は、『弟子階級』の頭文字である。普通なら卒業試験に合格し、白騎士機関に入る資格を得た者がランクCで意味としては『一般階級』のCだ。
「俺は亜鐘学園生徒ではありますが、白騎士機関所属ではありませんよ?一応聞きますが、なぜ俺がランクCになるのですか?」
「話は最後まで聞いてもらえると助かるが、卒業試験合格しなくても既にそれ以上に実力を有していると認められているのは、学生の間でもランクC以上に認定される。我が校には僕を含めて現在十二人いるし、君にもその資格は充分に有りだと学校側から判断が下ったのさ。それと弟の事で話をしに来たんじゃないのさ」
俺が白騎士機関所属ではない事をサラリと言うと、説明を引き継いだ石動兄。聞いても俺は首を縦には振らない。
「入学したばかりの灰村君にはまだピンと来ないかもしれないが、ランクC《救世主》とは正しく『正義を体現する剣』であり、それに憧れない者はこの学校には・・・・」
「そんなのは白騎士機関所属である先輩がそう言っても俺は首を縦には振りませんよ?卒業後の白騎士機関に入る道などいりませんし、ここは学費無料で奨学金が出る=給料が出るくらいでしょ。メリットばかりではないに決まってますからね」
「なるほど、弟を拳だけで倒した強さだけではなく頭も良いって事だね。ウチの厳も見習ってほしいものだ、ランクCになれば僕が預かる『実戦部隊』に入ってもらうのが決まりだ。白騎士機関の第一義は、突如として出没する《異端者》を可及的速やかに殲滅する事だ。そのために学んでいる『途上の学生(ランクD)』が、実際に《異端者》と戦う事はあり得ない。でも、『実戦部隊(ランクC)』の僕達には《異端者》との戦闘も訓練の一環として要求されるんだ」
「つまり俺がその部隊に入れと?」
「ああ。《最も古き神皇帝(創造神黒鐵)》何だ、喉から手が出る程欲しいと思っているよ。出動するのは月に一か二だが、毎日放課後には『実戦部隊』での特別演習が行われるから時間も取られる。部活は論外で、実戦だからね。学園創立以来の僅か五年間で、少なく死者も出ている。文字通り命がけの覚悟がいるので、強制はしたくない」
俺が神皇帝だからなのか、その部隊に入れって言われても強制はしないそうだがこの人からは逃げられないだろうな。例え断っても何度も説得にきそうだし、仕事としては戦闘狂であるのにとってはとても有難い部隊となるが、俺には既にソレスタルビーイングブラック・シャーク隊部隊長しているので、CB所属となっている。
「逆にアンタらが俺の足を引っ張ると思うのですけど?」
「なぜそう思えるのかい?『一目見て弱そうだと思いますからね。それに俺はCB所属ですから』だったらこうしようか、こちらの部隊に入るかは保留として我が部隊で戦ってもし負ければこちらの部隊に入ってもらうよ。勝てばそちらの好きなようにして構わない『それでは俺が勝てば特別顧問で構いませんか』いいだろう、男に二言はない」
「だったら私も今日から顔を出します」
俺と石動兄との会話が終わった所で、静乃が言い出したので納得した。
「決心してくれたか。優秀な黒魔も貴重だからね。助かるよ」
静乃はまだランクCじゃないが、そこまで域は達していない。まあ前世の記憶は持っているが、まだ力としては初歩の第一階梯闇術を習得しているところだが俺と同じく力を隠しているのではと思っている。ま、たまに俺は使わない闇術を詠唱無しで使うので威力調査としてやっている。
「漆原君には、『実戦部隊』の『予備隊員』になって欲しいと前々からオファーしていたんだよ。ランクCに近しい実力を持つ者には、僕達のスパーリング相手として、放課後特訓に付き合ってくれるよう頼む事にしているんだ。彼らにとってもまたとない特訓になるしランクCに昇格出来た時、すんなり僕達と呼吸合わせする事が出来る。それが予備隊員としてだ」
「静乃の家事情だったろ確か。漆原家の実兄は亜鐘学園の理事だったろ?」
「ええそうよ。まあそういう事情で、一年前から黒魔としてのトレーニングをしていたの」
「それを校長先生や理事からで、僕達に推薦してくれたという訳だよ」
まあそういう所で、本来だったら静乃は授業も予備隊員も全然やる気がなかったらしいが、俺の事を惚れ直したそうだ。で、授業はクラスメイトと一緒ぐらいのレベルだったが、本来の力は隠している。そんで話は終わりだからと言ってたら、沙紀がドアを開けたらサツキが盗み聞きをしていたらしいが、俺としては気配だけで分かっていた。
「あたしも入れてくだひゃい!『実戦部隊』でも予備隊員でもどっちでもいいですから、あたしも入れて下さい!」
「えーと・・・・君は?」
「諸葉達と同じクラスの、嵐城サツキです!白鉄です!」
元気よく自己紹介するサツキだったので、たじたじとなる石動兄だった。俺は予定だが、静乃も入るので居残り特訓ならと入れてくれと頼み込んだ。意気込みは認めるらしいが実力も分からない者に入れる事はないと思うと、静乃は俺の足手纏いになる程しかの実力だけだと言ったら、石動弟には予備隊員すら半年早いと思っていたらしいが、それに劣るようでは入れないらしい。戦力外通告を出したが、俺はまだ入るとは言ってない。石動兄は、率直に激励の言葉を贈るが、聞こえていない様子。
「では放課後にまた会おう」
そう言って立ち去る石動兄だったが、沙紀はサツキに言ったがまだチャンスはあると言った。
「サツキ、沙紀の言う通りだ。それに俺は断る理由もあるが、更に強くさせるために特別顧問になる予定だ。なので、実力を見せればいいとすれば実戦のみチャンスがあるから、そんなに落ち込むな」
「うん・・・・うん・・・・・、まだ兄様には足手纏いになると思うけど、きっと追いつけて見せるわ。いつかきっと諸葉の背中を護れるようになるわ!」
そう激励をかけたら、サツキは実技授業とかで力を付けて欲しいと願いながら、俺らは教室に戻った。その後に放課後を待ちながら、実技授業を見学していた。俺の実力は既に知っているし、実技授業では関係ないと思っているから見学席で見ていたのだった。
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