リリカルアドベンチャーGT~奇跡と優しさの軌跡~
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第八十六話 迷子探しと出会い
前書き
ルカのオリジナルと対面。
そして…。
コロナモン[リリカルアドベンチャー、始まるぜ]
ルカ達は朝食の匂いに引き寄せられ、居間に着くとクイントが山のような料理を作っていた。
ルカ「…おはようございますクイントさん……」
クイント「おはようルカ君」
スバル、ギンガ「「おはようお母さん…」」
クイント「おはようギンガ、スバル」
眠そうに目を擦る3人にクイントは微笑ましそうに見る。
クイントは料理をテーブルに置く。
ゲンヤ「さあ、飯だ。食うぞ」
全員【頂きま~す】
ルカ達は勢いよく料理を口に掻き込んでいく。
フレイモン[朝っぱらからよくそんなに食えるよな…]
アグモンX[それがスバル達だからね]
アグモンXは気にせず料理を口にする。
クイント「ルカ君。お友達の所にはいつ戻るの?」
ルカ「午後1時に…」
クイント「そう…なら…」
クイントは時間を確かめるとルカの方を向いた。
クイント「ルカ君、買い物に行きましょう?」
ルカ「買い物?」
クイント「ええ、何時までもその服着てるわけにはいかないわ」
ルカ「これ…動きやすいんですけど」
クイント「駄目、ルカ君だってお洒落しなきゃ。スバルとギンガも行く?」
スバル、ギンガ「「行く!!」」
ゲンヤ「クイント、お前仕事は?」
クイント「有給取ったわ!!」
ゲンヤ「おいおい…」
ルカ「有給とは何ですか?」
ゲンヤ「有給ってのはな…」
クイント「別にいいじゃない♪さあ行きましょう」
ルカ「え?あ、ちょっと待って下さい…」
ルカがクイントに引きずられていった。
フレイモン[お、おい待てよ!!]
急いで朝食をかきこんで飲み込むとルカ達を追い掛けた。
ルカ「……」
ルカはミッドチルダの首都、クラナガンの街並みを改めて見た。
クイント「どう、クラナガンの街並みは?」
ルカ「人が多いですね…昨日は気づきませんでしたが、こんなにも人が沢山いるなんて…」
驚きを隠せないルカの様子を、クイントは笑顔で見る。
スバル「ルカ兄!!服屋さんはこっちだよ!!」
ルカ「え?あ、はい」
クイント「コラ~!!先に行っちゃ迷っちゃうでしょ~!!」
先行したスバルとルカの後を、クイントとギンガが追っていった。
クイント「う~ん。ルカ君は何の服が似合うかしらね…」
フレイモン[愚問だな。決まってるだろ!!燃え上がる赤だ!!]
クイント「あら?ルカ君は青も似合うと思うけど…」
フレイモン[違う赤だ!!]
クイント「青よ、青!!」
本人よりも保護者達が盛り上がっている。
スバルは黒いシャツと黒いジーンズを持ってくる。
スバル「お母さん。これは?」
クイント「これは…」
フレイモン[案外似合うかもしれないな…よし、ルカ、着てみてくれよ]
ルカ「は、はあ…」
スバルが持ってきた服に決定したのだった。
服屋でルカの服を買った後、アイス屋へと向かったナカジマ家一行。
スバルはバニラ、ギンガはチョコ、フレイモンはストロベリー。
ルカはメニューを見てずっと悩んでいた。
クイント「ル、ルカ君?そこまで悩まなくても……」
ルカ「う~ん…………」
スバル「ルカ兄?」
そしてルカは目をカッと見開き、口を開いた。
ルカ「抹茶アイスでお願いします(`・ω・´)キリッ」
クイント「そんなに悩んで抹茶なの…?(-.-;)」
ルカ「駄目ですか…?(-.-;)」
クイント「駄目じゃないけど…(^_^;)」
ルカは抹茶アイスを受け取ると一口食べる。
ルカ「!?…冷たい…けど、美味しいです…」
スバル「だよね!!アイスって美味しいよね!!」
ルカ「はい」
意気投合したルカとスバル。
フレイモンとクイントは微笑ましげに2人を見ていた。
フレイモン[こうして見ると兄妹みたいだな…あれ?ギンガは?]
クイント「え?いないの?」
フレイモン[アグモン達がいれば一発で分かったんだけどな…しょうがないな。ルカ、探しに…あれいない!?]
スバル「ルカ兄!?」
クイント「ルカ君までいなくなっちゃったの!?」
フレイモン[ルカーーーッ!!!!]
フレイモンの叫び声が木霊した。
ギンガ「お母さん…スバル…どこ…?」
ギンガは、目を離した隙に迷子になってしまった。
ギンガ「ここどこ?迷っちゃった……」
どこを見渡しても、ルカやクイント達の姿は見えない。
ギンガ「ぐすっ……」
目に涙を溜め、その場にしゃがみ込む。
ルカ「ギンガ!!」
ギンガ「え…?」
前を見るとこちらに駆け寄ってくるルカの姿があった。
ギンガ「ルカ…君?」
ルカ「帰るのが遅かったから心配しましたよ……大丈夫ですか?怪我は?」
ギンガ「うぅ…!!」
ギンガはルカに勢いよく抱きつく。
ルカ「…ギンガ、どこか怪我でも?」
ギンガが泣いているのを怪我をしたと勘違いしているルカ。
ギンガ「うぇええん……!!」
それからギンガは泣き止むまで、ルカに抱き着いていた。
ルカ「…そろそろクイントさんの所に帰りましょうか?」
ギンガ「うん…」
ルカはD-3を取り出すと反応のある方に向かって歩きだす。
スバルが持っていて助かった。
クイント「ギンガー!!」
ルカ達の姿を見つけたクイントが駆け寄って来る。
ギンガ「お母さーん!!」
クイント「何してたの!?」
ギンガ「迷っちゃったの…」
クイント「もう…気をつけなさいね?ルカ君、スバルの次にギンガまで迷惑かけちゃってごめんなさいね」
ルカ「いいえ…ギンガに怪我がなくて良かったですよ」
フレイモン[さあ、帰ろうぜ!!腹減ったなあ]
クイント「そうね、帰ったらお昼ご飯にしましょう!!」
スバル、ギンガ「「うん!!」」
クイント「今日はルカ君の食べたいのを作るけど…何がいい?」
ルカ「…オムライス…というのを食べてみたいです」
はやてに聞いて1度食べてみたいと思っていた料理を言う。
クイント「じゃあ今日のお昼ご飯はオムライスね!!」
ルカ「はい」
ギンガ「ルカ君」
ルカ「何でしょうか?」
ギンガ「手…繋いでもいい?」
ルカ「…勿論」
ギンガはルカの手を握る。
ギンガ「ありがとう…」
スバル「ギン姉ずるい!!私も私も!!」
スバルはルカの空いた手を握る。
スバル「ルカ兄、大好き!!」
ルカ「はい」
スバルとギンガとルカが仲良く手を繋ぐ姿をクイントは優しく見守っていた。
ゲンヤ「しかし、ルカ。お前、ギンガと何があったんだ?そんなに懐かれちまって」
ルカ「さあ…それも僕にも分からないんです。迷子になったギンガを見つけたらこうなりまして…」
昼食後、クイント手製の特大オムライスを平らげたルカはゲンヤと話していた。
ルカ「…そろそろですね」
ルカは時間を見ると、立ち上がる。
ルカ「…お世話になりました。ありがとうございます」
ゲンヤ「おう」
クイント「ルカ君、フレイモン君。いつでもいらっしゃい」
フレイモン[ああ、飯…美味かったよ。ありがとう]
スバル「ルカ兄…行っちゃうの…?」
ギンガ「ルカ君…」
目に涙を溜めながら言うスバルとギンガ。
ルカ「はい。でも大丈夫です、きっとすぐに会えますから」
スバル「本当…?」
ルカ「はい。」
ギンガ「約束…だよ?またお話聞かせてね」
ルカ「勿論。」
ルカとギンガは小指を絡ませる。
ルカ「それじゃあ…」
ルカとフレイモンはフェイトのマンションに向かっていく。
ナカジマ家を出たルカはマンションのフェイトが暮らす部屋に来ると中に入った。
大輔「帰ってきたか、お前にこの2人がお前に会わせたい人だ。おまけがいるけどな」
エイミィ「ちょっと大輔君。おまけって何?おまけって?」
賢「こちらの女性がリンディ・ハラオウンさん。そして彼がクロノ・ハラオウン。そして彼女がエイミィ・リミエッタさんだ」
ルカ「………」
ルカは自分と同じ顔をしている少年と隣の女性を見つめる。
リンディ「あなたがルカさんね、私はリンディ・ハラオウン。初めまして。」
クロノ「…クロノ・ハラオウンだ」
クロノは自身のクローンであるルカを複雑そうに見つめる。
エイミィ「エイミィ・リミエッタだよ。よろしくねルカ君。」
ルカ「あ、はい…。」
エイミィ「ルカ君ってクロノ君そっくりだよね~」
ユーノ「(そりゃあ、クロノのコピーですからね…)」
エイミィ「クロノ君、弟が出来るんだよ。よかったじゃん」
ルカ「?」
エイミィ「実を言うとね、艦長がルカ君のことを聞いて是非うちで引き取りたいって、言ってるんだ。ルカ君、天涯孤独なわけだし…それにクロノ君と同じ遺伝子だし兄弟同然じゃん」
ルカ「は、はあ…」
エイミィ「あ、勿論すぐってわけじゃないからね。ルカ君だって色々あるし、心の整理が出来たら返事をすればいいよ」
ルカ「はい。分かりました…ありがとうございます」
リンディ「あら?本当に素直な子ね。クロノと同じ遺伝子とは思えないわ」
クロノ「母さん…僕の半分の遺伝子は母さんだろう…?」
我が子を否定するのかとクロノがジト目でリンディを見遣る。
大輔「(無視)さて…皆、昨日仲間の選ばれし子供を探したけど…見つかったか?」
賢、アリシア、ユーノが首を横に振る。
エリオ達も首を振る。
大輔「ルカは?」
ルカ「見つけましたよ。それも2人」
大輔「そうか、それは仕方な…って、何い!?」
賢「見つけたのか!?」
ユーノ「誰なんだ!?」
ルカ「スバルとギンガ…ゲンヤさんとクイントさんの娘さんです」
エリオ「(やっぱり…)」
キャロ「(スバルさん達なんだ…)」
ルーテシア「(後はあの人だけ…)」
リンディ「ナカジマ三佐の娘さん達ね…」
リンディもデジタルワールドの話を聞いていたため、普通に返す。
クロノ「その仲間を集めないと次元世界に影響が起こるんだろう?」
大輔「ああ、デジタルワールドは俺達の世界の影だからな、今は影響はないけどいずれは…」
クロノ「選ばれし子供というのは全員、D-3を持っているのか?」
大輔「ああ」
クロノ「…分かった。こちらでも何とか探してみよう」
大輔「…明日からまた探しに行こう」
大輔達のいるマンションからかなり離れているビルの屋上にストラビモンが立っていた。
ストラビモン[………]
ストラビモンは目を閉じ、ヴリトラモンの言葉を思い出していた。
ストラビモン[あいつは…何故俺のことを……]
考えれば考えるほど分からなくなる。
ふとストラビモンの視界にオレンジ色の髪の少女が映る。
ストラビモンは少女を見た瞬間、懐かしさを感じた。
ストラビモン[何だ…?この感覚は…?俺はあいつを知っている…?]
ストラビモンは視線を横にずらすと少女が座っている場所の近くに…。
ストラビモン[D-3…!選ばれし子供か…!!]
ストラビモンはビルから少女のいるマンションのベランダに跳び移る。
ストラビモンはベランダの窓から侵入するが、入ろうとした瞬間、僅かに音が鳴る。
?「誰?」
少女がストラビモンの存在に気づく。
ストラビモンは身を固くする。
早く逃げ出さねば…。
?「ねえ、君。アグモン達のお友達?」
ストラビモン[何?]
少女の口から出たデジモンの名前にストラビモンは目を見開いた。
ストラビモン[何故知っている?]
?「アグモン、あっちのお家に住んでるの。公園に行けば会えるんだ」
ストラビモン[ほう…]
ストラビモンは少女の言葉から選ばれし子供が近くにいることを知る。
充分な情報を得ることが出来たので、後は少女を始末すればいい。
だが…。
ストラビモン[(何故…出来ない…)]
腕が動かない。
それどころか頭の中で警鐘が鳴る。
この少女を殺すな。
殺したら必ず後悔すると。
?「どうしたの?」
少女が不思議そうな顔でストラビモンを見つめるが、ストラビモンは何でもないと言うように首を振る。
ストラビモン[お前…名前は?]
?「名前?私はティアナ!!ティアナだよ!!」
ストラビモン[ティアナか…ティアナ、情報の提供感謝する…]
ストラビモンはベランダからビルに跳び移ろうとする。
ティアナ「ねえ」
ストラビモン[?]
ティアナ「また会えるよね?」
ストラビモン[…………ああ]
今度は敵としてだろうけど…。
ストラビモンはベランダからビルに跳び移り、そして消えた。
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