ルパン三世シリーズ×オリキャラ
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大人の味には全て裏がある(LUPIN The Third~峰不二子という女~/オリキャラ/ルパン大集合続きA/R15)
未遂でも実行でもない、何故か、酒を飲まされている。
一瞬睡眠薬でも入っているのかと疑ったが、目の前で酒が注がれるのを見れば、薬など入っていないだろうと、脳が勝手に判断する。
氷に薬が仕込まれているなど、考えもせずに。
**
あの後恋也は緑ジャケットのルパンに連れ去られて、少し狭さを感じるアジトで、何故だかグラスを片手に、酒が注がれている。
冒頭で述べたように、睡眠薬でも入っているのか疑っていた恋也だが、全く同じ酒をルパンは自分のグラスに注いだ。
何をしたいのか、恋也は理解に苦しんでいる。
「まぁ、1杯いこうや」
ルパンは持っているグラスを軽く傾ける。
乾杯という事なのだろう、そう判断した恋也は腕を伸ばして目の前に置かれているグラスを手に取り、ルパンが持っているグラスに軽く当てる。
カンッ、グラスが当たる音を確認してから、グラスの中に注がれている酒を見つめる。
種類は何だろうか、恋也自身日本酒とビールとカクテルは飲めるが、ジンやウォッカ、ウイスキーやバーボンはまだ飲めない。
酒自体飲めない年齢なのはこの際気にしないでおこう。
「ウイスキー、飲んだ事ねぇか?」
ルパンは普段と変わりなくグラスに口をつけているが、恋也は全くグラスに口をつける素振りはなく、ただグラスの中身を見つめていた。
不思議に思ったルパンは恋也に問う。
灯りなんてものは、裸電球だけで、昔の家の雰囲気など出ていたりするが、そんな事は気にも留めていなかった。
ルパンの問いには素直に頷いたが、好きか嫌いかなんて飲んで見なければ分からない。
だから恋也はグラスに口をつけた。
そのまま、薬9割、水1割で作られた氷が溶けて、ウイスキーの中に薬が混ざっているとも知らずに、恋也はゴクリと喉を鳴らしながらウイスキーを口にする。
その時のルパンの表情なんて誰でも想像できるぐらい簡単なものだった。
口角を上げ、罠に掛かった鼠でも見るような顔で恋也を見つめながら、ウイスキーを飲むのを続けていた。
恋也にとって初めてのウイスキーは、何とも言えない味で、ただアルコール度数が高いというのが良く分かったぐらいだ。
「けほっ、けほっ」
あまりにもアルコールがきつかったのか、蒸せており、口元に手を当てながらも荒い息を整えようとしていたのだ。
その様子をルパンは笑みを作りながら見つめて、何も言わずにただグラスを口に持っていく。
「……で、初めての味はどうだ?」
カラン、氷がグラスに当たる音がし、グラスがデスクに置かれた事が分かる。
グラスの傍にはまだ幼い手がある為恋也がグラスを置いた。
「初めての味って言われてもなぁ……」
若干返事に迷っているが正直に言ってしまえば、『大人の味』で、不味いという訳ではなかった。
初めて飲んだから蒸せただけで、普段飲んでいれば飲めるだろうと言う、どこから来るのか分からない自信を恋也は持っていた。
使い古したような緑、正確には所々破れている深緑に近いソファに身体を預けて、天井を見つめながら恋也はぽつり、一言何気ない言葉を呟いた。
「ルパンと飲んでて美味そうな味だった」
それは単に酒を飲んでいたいと思っている。
同じ裏世界に住んでいるのだから、同じ酒も同じように感じられるだろう。
そう思ったから、ただそう呟いた。
「…………」
ルパンの上がっていた口元は下がっていた。
ルパンの目に恋也はどこか寂しそうな表情を浮かべている。
動物で表すと兎のような、今から捨てられる猫や犬みたいな表情をしていた。
「合わせてくれるだけでも、有り難いってもんよ」
組んでいた脚を下ろして、ルパンはグラスを片手に立ち上がり恋也の隣に腰掛ける。
恋也の肩に腕を回して半分抱きしめるような体勢になり、ゆっくりと右手を恋也の目の前に持っていき、恋也の前で右手に持っているグラスを、ほんの少しだけ傾けた。
氷を見せ付けるかの様に。
「合わせてるって訳じゃ……」
目を逸らしながら呟いて、目の前に持ってこられたグラスを見つめ、球体の氷を見つめている。
カラン、カラン、と氷が音を立ててグラスに当たっているのを、ただぼんやりと眺めていた。
いや、ぼんやりとしか出来なかった。
はぁ、はぁ、と息遣いを荒くしてとろんとした目で、氷を見つめていた。
それが分かるとルパンは肩を揺らしながら笑い、口を動かす。
「この酒じゃなく、この氷に『何か』が入っていたら、どうする?」
球体の氷に薬を仕込むのは簡単で、それを飲ませるのも簡単なことだ。
ただ、自分が薬入りの氷を取らなければ良いだけの話だ。
ルパンの問いすら答えることが出来なくなってきているのか、恋也はトロンとした目でルパンを見つめて、「……うん」と意味も分からない、何に肯定したのか分からない返事を返した。
どこか眠たそうな雰囲気を放っている恋也にルパンは、変わりの無い笑みを浮かべつつ、グラスをデスクに置き、右手で恋也の顎を摘まんだ。
そのままゆっくりと顔を近づけていき、そのまま軽く恋也の唇に振れた。
まだ16歳にもならない少年の唇は、女と全くではないが、確かに未成年と言う柔らかさを持っており、先ほど口につけたウイスキーの味が微かに残っていた。
「……? なっ!」
かあぁと音が出るぐらいに恋也の頬は赤くなっていき、薬の効き目で眠たくなっていたようだが、自分がされたことを理解した途端に、目は覚めていき次第には耳まで真っ赤にさせている。
それもそうだろう。
酒を飲まされて、気が付いたら自分よりも遥に年齢が上の怪盗に、しかも同性にキスをされた。
そんな事、誰も考えないし予想もつかないだろう。
「……欲求が溜まってるなら、女抱けよ」
文句の様に呟いた言葉は、いつもの様に軽く受け流され溜息を吐きながらもまだ信じられない恋也は、ソファの背凭れに身体を預け、吐息を吐き出した。
水でも欲しいのだが、生憎目の前にあるのはウイスキーなので、渋々と言って良いほど、グラスを手に取り、ウイスキーを口に流し込んだ。
「こうやって、お前を口説くのを楽しみにしてたんだぜ?」
「何をバカな事を……」
はぁ、ともう一度溜息を吐いた恋也には関係がないようにルパンは背凭れの後ろに手を回して、天井を見上げつつ「人生で1番恐いものは『退屈』、だろ?」と、確認するように尋ねた。
その問いに答えようとはせず、グラスを置き暫くお互い沈黙が続く中、本日何度目かのカラン、という音を聞き、ルパンの顔を見ることはせず「俺を抱いたら退屈じゃなくなる、とでも?」何て、聞き返す。
「やってみねぇと、分からない事もあるんだぜ」
試すような、誘うような口調で恋也の口元にルパンは手を置き、そのまま再び顔近づけていき、そっと唇を合わせようとした途端、恋也はルパンの首に腕を回し「『媚薬』なんて使わなくても、俺をこういう風に出来ただろ」と、呟いては自分から後ろに倒れた。
ソファの上で押し倒されているように見える恋也は、気にすることもなく、ルパンの背中に腕を回して「俺、アンタだったら喰われても良いんだぜ」と告げた。
恋也の告げに乗ったのか、初めからその気でいたのかはルパンにしか分かるわけもなく、ルパンは黙ったまま恋也の顔の右側を優しく撫で、顔を軽く押さえながら、恋也にキスを行った。
子供のキスではない、大人のキスを行い、恋也は喉の奥から喘ぎ声を出し、その頬を朱に染めていく。
「あっ……」
一度触れた唇は離れることなく、そこにいて、ゆっくりと舌が侵入されれば、ぴくりと身体を震わせ、口内を好き放題にされて恋也は背中に回した手で、ルパンのジャケットを強く握る。
シワが出来るほど強く握っていても今の快楽には負けるのか、次第に力が抜けてきて、そのまま熱い息だけを吐き続けながらも、ルパンの舌を受け入れている。
――やばっ……。
意識が飛びそう、そう思った瞬間に唇が離れて、恋也の意識は飛ばないままでいる。
「ここじゃぁ、辛いだけだろ? あっちで続きやろうぜ」
ルパンは目だけで場所を伝えて、恋也のほぼ力が抜けている身体を抱き上げた。
**
カチャ、カチャ。
身体が跳ねる度に聞こえてくる、金属が揺れる音を聞きながら、ルパンは口角を上げる。
何度も金属の音を出しながら、自分を求める少年が愛しくて仕方が無い。
自分でもどうしてそう思ったのかは分からないが、いつの間にか、目の前の少年――恋也を欲するようになった。
いつか自分のものにしたい、そう思ってしまったからなのか、ルパンは恋也から目が離せないでいた。
あの日、初めて出会った時に感じた『何か』はきっと手に入れてから分かるんだろうと、ルパン自身も思っているのだが、未だにその『何か』は分かりきっていない。
恋也には「手に入れたかったから」と伝えているのだが、正直な所、手に入れたいという思いもあったが、知りたいという気持ちの方がルパンは強かった。
何がそうさせるのか、どうしてそう思わせるのか、ルパンはそれを知りたかった。
だから、抱けばそれが分かるだろうと勝手に思ったのだ。
「可愛いぜ」
ルパンの呟きが聞こえているのか否か、恋也は頷きながらも続きを求めている。
それに応えようとルパンは動きを早めていき、恋也は声を発しながら達する。
達した後も恋也は熱い息を吐き続け、そして一言「覚えておけ」と呟いた、
**
あの後、恋也は意識を失って今朝方目が覚めた。
腰痛が酷いが気にしている暇もないぐらいに羞恥が襲い、布団おそらく普段ルパンが使っているものであろう、をもう一度被ってシーツに顔を埋める。
隣に人肌はなく、肌寒さを覚えつつ、寝返りを打って壁側に向く。
壁は壁でしかなく、何度溜息を吐いても変化は訪れないので、一度体を起す。
すると目の前に映った光景は自分の服が散乱しており、昨夜自分が何をしたのかと言うのを、突きつけられているような気分になる。
薬を盛られていたとしても、乗ったのは自己責任だ。
「マジか……」
はぁ、と溜息混じりに呟き床に散乱している服を広い、フローリングの床を裸足で降りて昨日着ていた服をもう一度着なおす。
何も着ないよりマシだろう。
どんな顔をして会えば良いのかと悩んでいると、ガチャリと風呂場のドアが開く音が僅かに聞こえた。
対して広くもないこのアジトの音は、大体聞こえてきて、今どこに誰が居るぐらいは検討がつきやすい。
数分経った頃に脱衣所のドアが開く音がしつつも、足から伝わる冷たい温度を感じながら、ゆっくりと部屋から出て、脱衣所に向かう。
「起したか?」
「いや、いつもこの時間帯に起きる」
誰かに起されたわけでもないので、正直に答えつつ、恋也は脱衣所のドアノブを手にした。
そのまま右に回して中に入り、シャワーを浴びていた。
腰の痛みは治らない。
**
「腰、痛むか?」
脱衣所から出て開口一番に尋ねられた事に、頬を赤く染めつつ意地で首を横に振った。
確かに初めてと言うわけではない。
けれど、自分の意識が飛ぶぐらいまで弄られたことがないため、腰痛等には無縁だったので、重い腰を持ち上げるように伸びをしたのがいけなかったのだろう、すぐに腰を痛めてると目の間にいるルパンに見破られ、リビングとはいえないが、昨日酒を飲んだソファに抱えられて、連れて行かれた。
「何、するんだよ……」
そう言うも答える素振りを見せないまま、ルパンはソファに腰掛け、恋也を自分の脚の上に座らせた。
「言っただろ? 口説くのを楽しみにしていたって」
恋也の耳元でそう囁いては、そのまま続けるように告げた。
「大人の味には裏があるって思えよ」
ルパンはまだ、恋也を欲していた理由は分からない。
恋也はというと頬を染めつつ「覚えてろ」としか言わなかった。
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