ルパン三世シリーズ×オリキャラ
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覚えていないのは、騙されてるから(緑)
「……ここにねーなら」
薄暗い洞窟の中で開けた箱を閉める。
洞窟の中に潜んでいるお宝を盗みに来た訳だが、今ルパンが居る場所には存在しない。
そんな事気にする様子もなくルパンは箱を元の場所に戻し、家の中でいう廊下に出る。
薄暗い洞窟の中は、とてもじゃないが湿っており、人が住んでいるようには見えない。
――あの場所にないってことは、誰かが移動させたか。
退屈を嫌うルパンにとっては退屈の穴埋めは出来るが、正直あまり乗り気ではないため早く終らせてしまいたいと、少しばかり思っている。
そのせいなのか後ろに居る存在に気が付くことが出来ないで居た。
カチャ。
銃口が向けられたと悟ったルパンは、懐からワルサーを取り出そうとするけれどもそれより先に、ルパンよりかは低い声が洞窟内に響く。
決着をつけようぜ、と。
聞き覚えのある声にルパンは一度鼻で笑い、後ろを振り返ることなく口を開く。
「久しぶりだなぁ、次元大介」
「一生会うつもりはなかったがな」
銃を向けられているというのに、ルパンは両手を挙げることなく口角を挙げ、懐に持っていった手をポケットに仕舞う。
その動きと同時に、直接頭に銃口が突きつけられる。
「なぁ、次元大介」
「何だ。ルパン三世」
ルパンはゆっくりと右手をポケットから出してはそのまま肘を曲げ、勢いよく次元の腹に肘を当てる。
その速さはわずか0.3秒。
「うっ!」
次元にしてみればただの不意打ちだったので、腹を押さえながら片膝をつき、ルパンを見上げ睨みつける。
ルパンは次元の懐に手を伸ばして自分の恋人を奪い返す。
そして馬鹿にするような笑みを浮かべては「人のモノ盗ったらいけないでしょ。泥棒って言われちゃうぜ?」と、次元を小馬鹿にするように口元を上げてルパン独特の笑みを浮かべる。
「ハッ、人の銃弾に細工した奴がよく言うぜ」
――気付いていたか。
表情こそ変えないが、ルパンは恋人を懐に仕舞い、炸裂弾を自分の手のひらの上で転がしている。
弾数はたったの3発。
「でも役に立ったろ?ルパン様特製炸裂弾。標的に当たると爆発する仕組みだ」
「どうせなら全部すり替えろ」
「生憎そんなに弾数はなかったんでね」
はぁ、と次元の溜息が聞こえる。
洞窟の中で動いてきた石像を思い出しながら、煙草を咥えた。
薄暗い洞窟の中にボゥと灯りが点る。
ジッポが放っている灯りは部屋の電気を点けた時みたいに明るくはなく、どこかやんわりとした雰囲気を放ちながら、薄暗い洞窟を照らしている。
と言っても、そんなに面積は広くないのだが。
「何をしにきた」
次元は煙草に火を点けながらルパンに問う。
S&W M19 コンバット・マグナムはとっくに左後ろのベルトに挟まれていた。
「泥棒がする事なんて決まってるだろ」
だろうな、と言葉を返せば、次元は背中を向けてルパンとは逆方向に歩き出す。
そして数歩歩いたところで立ち止まる。
ゆっくりと振り返る次元に対し、ルパンは焦りなど全く見せておらず、その表情には『かかって来いよ』という余裕な表情が現れていた。
ピチャン、と水が跳ね返った音が微かに響いた。
ピチャン、ピチャン……。
――その刹那。
互いが発砲した音と共に、右腕にかすり傷が生まれる。
弾同士が擦れ合い、心臓に向けて放たれた弾丸は僅かに進行方向を変え、互いの腕にかする。
「銃の腕は確かなようだな」
何度か撃ち合った事はあるが、こんな至近距離で撃ち合ったことは無かったので、互いが互いの銃の腕を改めて理解する。
ルパンの放った言葉に特に返答することも無く、次元はもう一発ルパンに向けて発砲する。
自身の目的を果たすために。
「よっと!」
間一髪と言うところで華麗に弾丸を避けたルパンは閃光弾を使い、一気に奥まで逃げていく。
数秒経ったところで閃光弾の光が消えて、前を見てもルパンはそこには居なかった。
「逃げ足の速い奴だ」
次元から逃げて目的の宝を探していれば、先ほど自分が居た部屋と良く似た部屋を見つける。
――相変わらず、ワケの分からねぇ趣味なことだ。
そして、先ほどと全く同じ箱を見つけて、躊躇いもなく、その箱を開ける。
確かに中には依頼された宝が入っていた。
その宝を懐に仕舞い、その洞窟から出る。
やっぱりと言うか、お決まりと言うか、洞窟の外にはマフィア関係の人間が沢山いて、全員が自分に銃口を向けている。
「よくやってくれたな。宝を出せ」
ルパンは自分が欲しがっていたものではないので、素直に差し出す。
少しでも変な動きをすれば、一気に蜂の巣だろう。
目の前に居る男は黒いスーツにサングラスと言った、端から見ても裏社会の人間と言う格好をしており、宝を本物かどうか確認してから銃を下ろすように命令し「帰るぞ」と部下と思われる集団に声をかけ、スモークが張ってある車に乗って、ルパンの前から消えた。
**
「ふーん」
つまらなそうに端末を弄りながら、目の前に居る男の話を聞いている少年。
黒縁眼鏡をつけており、髪を伸ばしているのか、切るのが面倒なのか、男子しては長い髪をハーフアップにした少年は、端末の画面から目を離さない。
「聞いてるのか?」
「聞いてるのかって、何で俺まで連れて来られないといけないんだ」
不機嫌そうに、画面を見つめながら言う少年はルパンに朝早くに、空港まで呼び出され、何故か勝手にパスポートを作られて、海外に行くことになったのだ。
少年は至って普通とは言えないが、一般の高校生には変わらない。
平日があり、休日がある。
明日も学校だというのに、少年に変装したルパンが学校側に海外旅行に行くことになったため、暫く帰って来れないと勝手に言われいた。
「……裏社会の有名人さんが俺に何の用なんだよ」
この少年とルパンの出会いなんて至って簡単なもので、泥棒と巻き込まれた人質と言う関係だ。
その場に居たから人質にされ、銃口を突きつけられたただの高校生――と言う者もいれば、自分がした事が返って来た、と言う者もいる。
「まぁ、オコサマに分かるように簡単に言えば、あの時、何故俺を庇った?」
この少年――六条道恋也は問われたことに、眉を少し動かせば、画面に向けられていた視線を目の前に居るルパンに向ける。
遠まわしにいう事もなく問われた質問に簡単に答える気は無いのか、恋也は無言のままだ。
しばしの沈黙。
「庇ったつもりは無い。自分の命が危うかったからあぁしたら、庇われていたんだろ」
沈黙を破った恋也の口からは、素っ気無い返答。
あの日、あの場所には人質の恋也と、依頼されて盗みにきたルパンと、依頼主が居た。
「だったら、ヤツの銃弾を全部抜かなかっただろ」
すぅと表情が消えていくのが分かる。
恋也が行った事などルパンには全てお見通しの様で、腹が立つ様な気持ちになりながらも、首を縦に振る事はせずルパンを見つめる。
「自分が撃たれるかも知れないから弾を抜いただけだ」
「元々弾が抜かれてた銃を持たせて、ワザと人質になったのにか?」
「ちっ……」
完全に見透かされている。
そう判断した恋也は舌打ちと共に、顔を逸らした。
片手には端末が握られており、今にも投げ出しそうな程腹が立っているのだろう。
それを分かっていて、ルパンは続ける。
「お前は初めからヤツの弾を抜き、ワザと人質になって、ヤツが撃つほんの一瞬に俺の方に走ってきて、お前は肩にかすり傷を負った」
何も返さない恋也にルパンは更に続ける。
「アイツの銃に弾は入って無かったから、後ろに居たヤツが同時に撃った弾にお前は飛び出して、俺を庇った。違うか?」
舌打ちも返すことなく、恋也は顔を逸らして俯いたままだ。
恋也が飛び出していなかったらルパンに弾丸が当たっていただろう。
それを予測したのか知っていたのか、恋也は銃口から銃弾が放たれるほんの一瞬に、自分を抑えていたヤツにスタンガンを当て、全速力でルパンの方に走って行き、僅か0.2秒の差で遅れて来た弾丸が、恋也の肩に当たった。
両利きだったのが幸いしたのか、右肩をかすり、ナイフを持つのも困難だろうと誰もが予想した刹那、恋也は左手で傍に落ちていた残り一発の拳銃を、依頼主の頭に向けた。
実際発砲する事はなかったのだが、あの後恋也は銃を左手1本で粉々にして、意外にも間抜けな依頼主の前から去った。
ルパンとその依頼主がどうなったかは知らないが、路地裏に隠れていればルパンに見つかり、嫌々ながらもアジトに連れて行かれて、手当てをされた。
その後は恋也はいつも通りの日常を繰り返し、ルパンは盗みを働いていたのだが、何故か教えたつもりはないのに、ルパンから端末に連絡が入り、空港まで呼び出され、今に至る。
「違うって、言えば?」
問いに問いで返す。
睨みつけるようにルパンを見つめていればワルサーが突きつけられる。
そして脅すように続けられた。
「この世界はこわーい大人が沢山いてるんだせ?正直に言わねぇと、どうなるか分かってるよな」
ルパンの表情は真剣と言える。
本気で撃つ気はないのだろう。
だが、ルパンが住んでいる世界と恋也が住んでいる世界は違いすぎている。
住んでいる世界に染められている為、恋也が行う脅しよりもルパンの脅しの方が恐怖を与える。
「……分かった、俺の負けだ。確かに俺はアンタを庇った」
恋也の表情はいつもの表情に変わっており、どこかルパンが人を騙す時に似ている雰囲気を漂わせていた。
端末用黒縁眼鏡を外し、木製の机の上に置いて端末を仕舞う。
「何故庇った?」
ルパンの質問に一瞬汗を流して目を逸らそうとすれば、銃口が額に当たって、一度目を閉じて開いたと同時に口を開いた。
「過去に借りを作ったから、返しただけだ」
溜息を吐くように放たれた言葉はルパンにしてみれば、驚きでしかなく目を見開いていた。
ルパンは覚えていないのか、考える素振りを見せているが、一向に思い出したような表情はしていない。
ワルサーのロックを外し、自分の口元で引き金を引くと、ボッと火が現れた。
初めから撃つ気はない事がそこで判明したのだが、恋也は先に煙草を取れよと的外れな事を思いつつ、ルパンのジャケットに手を伸ばした。
腕を掴まれる事も無く、ジャケットの中から煙草を取り出し、1本取り出して、火に近づける。
煙草に火がつけば火が点いているのと反対側をルパンに向けた。
躊躇いもなく煙草を口に咥えたルパンは引き金から手を離し、懐にワルサーを戻す。
「俺はキャバ嬢でもホストでもホステスでもないけど」
ただ文句だけは言って煙草をジャケットのポケットの中に戻す。
「お前も吸うか?」
冗談で問われているのは恋也だって分かっていた。
その冗談に乗るか乗らないかは自分の自由だと考えている恋也は、たまに高校生にふさわしくない行動に出ることもある。
「……やめておく」
酒類は飲むくせに、とルパンは心中で呟きながらも笑みを崩さずに「つれないねぇ」と冗談で返した。
組んでいた脚を下ろして、恋也を見つめる。
そして尋ねてみる。
「連れて行ってやろうか?」
アジトの中は明るいとは言えなくて、蝋燭の灯りだけが光っているので、半分は真っ暗で半分はオレンジに光っている。
今恋也の目にはぼんやりと顔の輪郭が映し出されて、完全には分からないが何となくだが、ルパンの表情を確認することはできている。
だが、恋也にはルパンの質問が理解出来ないでいた。
「何を? 何処に?」
ルパンは得意げに口角を上げ、両手を広げてこう告げた。
「お前を世界中にだよ」
その瞬間、恋也の中であの言葉を思い出した。
昔と言っても、そんなに年月が経っていないが、何年前には変わりないあの日言われた言葉を思い出した。
まだ恋也が中学2年の時、ルパンから言われた一言。
『お前がもうちょい大人になったら、世界中に連れて行ってやるよ』
ルパンは覚えていないだろうな、と思いつつ恋也は俯いて暫く黙ったまま。
大人と言えば大体が20歳をイメージするだろう。
どうせルパンもその場から逃げるために吐いた嘘なのだろうと、淡い期待もせずに頷いた自分は何だったんだ、そう思わせた。
「……まだ、高校1年だけど」
進路とかはどうにかなるだろう。
学校に行って、たまに喧嘩に巻き込まれる日常を繰り返すよりも目の前の男について行った方が退屈しないのは分かりきっている。
退屈はしないが、生と死の境目で生きるようなもんだ。
だが、憧れにそんなものは必要なかった。
「俺はもうちょい大人になってからとは言ったけど、20歳になってからなんて言ったつもりはねぇぜ? 恋也ちゃん」
「えっ……」
覚えている訳がない、そう決め付けていた為、覚えていれば言えるセリフを目の前で言われ、混乱しつつも何度も瞬きをしながらルパンを見つめ、やっと覚えていたというのを理解すれば俯いてしまった。
その肩は僅かに震えている。
「ありゃりゃ……」
煙草を灰皿で消し、目の前にいる恋也の頭に手を置いて「久しぶりだな」と優しく声をかける。
**
『てめっ! あん時はよくもやってくれたなぁ』
『…………』
『何とか言え!!』
少年の叫びと共に鉄パイプが振り落とされる。
その瞬間、何者かの手で鉄パイプが恋也の頭に当たる手前で動かなくなる。
『子供がこんなもので遊んだらいけないだろ?』
誰だとか、何だとか、そんなお決まりの様なセリフが聞こえるが鉄パイプを持っている少年はとっくに鉄パイプから手を離して、1番初めに逃げ出した。
それに続いてもう1人も逃げ出して行く。
結局その場には鉄パイプを持った男と恋也しか居なかった。
『助けてなんて言ってませんけど』
『たまたま通り道だったから、止めただけだ』
ジャケットを羽織っている男は鉄パイプを壁に立てて、瓶ビールを入れるカゴを逆さまにし、その上に腰を下ろした。
そして自分の太腿を軽く叩いた。
恋也にしてみれば何を意味しているのか分からない。
ジャケットの男――ルパン三世は『足、見せてみろ』と口を開く。
恋也は何故足を怪我したのを知っているのか、そこに疑問を持っていたがこのまま無言でいればきっと、無理矢理にでも怪我をした足を触るだろうと思い、右足の靴を脱ぎ靴下を脱いで言われるままに行動した。
靴と靴下は地面に置いてあり、壁に手をついて、ルパンの太腿に遠慮がちに足を置いている。
制服の裾の捲られ足首に出来ている紫色の痣を見て、一瞬表情を曇らせる。
高校生にしてはやりすぎる酷い怪我を恋也はしていた。
右足には打撲や切り傷、捻挫とも言える怪我等が沢山あった。
右足がこうならば、左足も同じ様になっているだろう。
『誰にやられた?』
『別に……。喧嘩しただけ』
『あれが喧嘩か? 俺には一方的に殴られている様に見えたぜ』
酷いもんだな、そう呟いたのは紛れも無いルパンである。
『そういう世界に住んでるから、仕方が無い』
逃げ出したいとも思わなくなった恋也は感情を含めずに、淡々と告げた。
ルパンが足首に触れた途端、なんとも言えない激痛が走った。
『いっ!』
ガリッ、壁を引っかく音が聞こえたと同時に荒い息遣いがルパンの上から降ってくる。
軽く触れただけでこんなにも痛みを覚えるなら、強く握ると気絶してしまうのではないか、そう思っても仕方ない。
『痛むか?』
痛み故に体がいう事を聞かないため、素直に頷くことしかできない。
そんな恋也に問うてくるルパンは何がしたいのだろう、と恋也は頭の中で考える。
恋也は「ルパン三世」について知らないに等しい。
世界中で盗みを働いていても、自分の目の前に現れる事も無いだろうと思っていた。
顔だって知らない。
何故、自分は見知らぬ人に足を見られているのだろう。
――そういうことか。
そこで理解した。
後で利用される、と。
自分の周りにロクな大人が居ないせいなのか、考えがひねくれてしまった。
だから目の前にいるのが「ルパン三世」だという事など気が付かずに、何に利用されるのか、そんな事をひたすら考えていた。
『家まで帰れそうもないぜ……』
足の怪我だと家まで帰るのなんて不可能だろう。
そんなこと自分でも分かっている、分かっている事を告げられ、舌を打って返答する。
『医者でもないくせに、俺の足なんか見てどうすんだ?』
怒気を含んだ声で低く尋ねる。
ルパンは気にする様子もないのか、ポケットの中から湿布を取り出して足首に貼り付けた。
丁度、この路地裏を通る前に買ったものだ。
恋也の質問に、湿布を貼り付けてから答えた。
『仕事で日本に来たら、おもしれー噂聞いたから調べたら、お前さんに出くわしたってだけ』
『噂?』
聞いた所で特に何も無いだろうと分かっていながらも、恋也は尋ねる。
『中学2年で成績は学内2、だけどマフィアみたいに喧嘩しまくってるって噂』
――やっぱり俺のことか。
呆れてしまって、何も言えなくなっているとルパンの手が離れたのでゆっくりと足を下ろす。
靴下を履き、靴を履いて、右足を気にしながら立っている。
『っで、捜してみたら、丁度噂の人物が一歩的に殴られていたってわけ』
『だからって助ける必要は無い』
恋也の言葉にルパン肩を竦めながら立ち上がり『お前が望むのならば、攫っていっても良いんだぜ?』と告げた。
どこかに連れて行かれると言うより、行動を共にする、と言うほうに聞こえた。
その言葉に期待する訳でもなく、どうせ冗談だろうと思って『連れって行ってくれよ』なんて返答すれば、ルパンは驚いた表情で恋也を見つめては口角を上げた。
『お前がもうちょい大人になったら、世界中に連れて行ってやるよ』
その言葉の意味は、恋也がもうちょっと裏世界に詳しくなったら、世界中に連れて行ってやる。
その言葉をそのまま受け取った恋也は冗談だったな、何て思いながら淡い期待も込めずに頷いた。
『俺の名はルパン三世、覚えておけよ――六条道恋也』
名乗ってもいない名前を口にされ、恋也は何も言い返せないで立ち去っていくルパンを見つめていた。
**
「覚えているなら始めからそう言えよ」
「こういう感じも嫌いじゃないだろ?」
蝋燭の火を消して、電球をつける。
その動作を見ながら赤く腫らした目を手で覆いながら文句を言う。
パイプイスに腰掛けて溜息を吐くのを何度も繰り返した後、ルパンを見つめる。
「本当に連れ回してくれるんだろうな?」
恋也の質問にルパンは口角を上げ、それを返答にした。
ルパンはそのまま煙草に火を点け、咥えた。
「俺は美味い煙草が吸いたいだけだ」
「同感」
恋也もまたルパンのジャケットから煙草を取り出して、1本咥えてマッチで火をつけた。
この世界に年齢なんて関係ない。
「よろしく頼むぜ。相棒」
「あぁ――ルパン」
――俺が欲しかったと気付くのはいつになるんだろうな。
これはルパンが次元と組む前に恋也と出会った話。
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