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ソードアートオンライン VIRUS

作者:暗黒少年
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仲直り

 
前書き
キリトとの仲直り。『』は心の中の声。 

 
 三十二層ボス攻略が終わった後、ゲツガは宿のベッドで寝転がって考え事をしていた。

『あの声は何だったんだ?それに対価ってのも気になる』

 ひたすらあのときのことを考えるが、何も浮かんでこない。考えても疑問が解消されないためいらいらして頭をガシガシっと掻く。すると、メッセージがきたときのポーンという音が部屋に響く。誰からだろうと思い見るとキリトからだった。

【久しぶりだな、ゲツガ。無視してたのは謝る。だけどお前の言葉はまだ許せない。だから勝負しないか?ベタだがお前なら受けてくれるだろ?】

 そう書いてあった。男なら拳で語れ、見たいなこと言いやがって、と思いすぐにメッセージを返信する。そっちがその気なら受けてやると。そして、次のメッセージにキリトが場所を指定してきた指定場所を確認したらすぐにコートなどを装備して宿を出た。


◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


 指定した場所に着くとすでにキリトがいた。

「久しぶりだな、ゲツガ。三十二層、活躍したんだって?」

「ああ、死にかけたけどな」

 そう言うとキリトは苦笑した。
 
「それよりキリト、早く本題に入ろうぜ」

 ゲツガは両手剣を背中から抜き、逆手持ちに変えて構える。

「そうだな、早くやり合おうか」

 そう言ってキリトは背中から片手直剣を抜き、《決闘》の申請をしてきた。初撃決着モードを選択して、OKボタンを押す。するとキリトとゲツガの間にタイマー表示が現れる。このタイマーがゼロになると戦闘が開始する。

「キリト、賭けをしないか?」

「……何を賭ける?」

 しばらく考えてから、キリトはそう言った。

「お前がアルゴから聞いた情報はどうだ?」

「それならお前が持っている一番の秘密じゃすまないぞ」

 キリトは、少し不機嫌な表情になり言った。

「俺は、秘密にしたいことを全部言う。それならどうだ?」

「内容によるけどな」

 そんな会話をしていると、タイマーの時間が五秒前になっていた。なので両手剣を構える。それに習うようにキリトも剣を構える。そしてゼロになった瞬間、開始の文字が現れると同時にキリトが突っ込んでくる。

「うおおおおお!!」

 剣が赤い光を纏い、それがゲツガの腕に向けて振り落とされる。それを受け流し、回し蹴りを決めようとするが、避けられる。そしてそのままキリトは、剣のスキルと体術のスキルを連続して使ってくる。

「中々やるようになったじゃん、ゲツガ!」

「攻略組でも引っ張るくらいの奴が弱くてどうするんだよ!!それよりも喋ってるとしたかむぞ!!」

 そんなことを口にしながらでも攻撃を止めない。しかし、両者の攻撃はエンジンがかかった様に加速していく。そしてキリトの武器に大きな衝撃を与えることにより、落とすことに成功したが、こっち持ち手を強く叩かれて武器を落とす。拾ってる暇などない。次の攻撃を防ぐことを考えた。素早く防御体勢を取り、後ろに飛ぶ。だが追撃は来ない。どうやらキリトも同じ行動をしたようで防御の体制で後ろに飛んでいた。

「ははっ、同じ行動かよ!!」

「どうやら、やっぱりこれで決着をつけるしかないらしいな!!」

 そう言ってキリトはファイティングポーズをとる。こちらも体術を習ってたときの構えをする。ムエタイの構えに似た構えをする。そして両者は体術のみの格闘になる。まずキリトが殴る。それを体を後ろに思いきりそらして避ける。

 そのままバク転の要領で蹴り上げる。それをキリトが避ける。そして今度はキリトが拗ねに向かって蹴りをかますが、跳んで避け、そのまま蹴りを入れる。攻撃しては避けて反撃、攻撃されては避けて攻撃の繰り返し、三十分もの長い戦闘だったがようやく決着が付く。

「いい加減倒れろ!!」

 キリトが思いきり叫びながら、殴りにくる。集中や体力の限界で渾身の一撃と言ったところだ。

「お前が倒れろ!!!」

 しかし、ゲツガも限界のようで最後の力を振り絞り、拳を振るう。

 ドゴッ、と大きな音を立てて両者の顔に拳がめり込み、両者は後方に吹き飛んだ。そして、同時に決闘が終わる。

 ドロー。それがゲツガとキリトの決闘の結果だ。

「はあ、はあ、はあ。お前、最後のはマジで痛かったぞ」

 肩で息をしている、ゲツガがぼやく。

「そういうお前は……攻撃の一撃一撃が重すぎるんだよ。どんだけ筋力値に振ってんだよ。しかも最後の攻撃なんか、衝撃が半端ない」

 キリトも同じように肩から息をしていた。

「「……プッ」」

「「アハハハハハッハハハハハハハ!!」」

 二人は笑い始めた。純粋に楽しかった。バトルでは決着は付かなかったがいい経験だった。ゲツガは立てるまで回復すると、キリトのほうに歩み寄り、手を差し伸べる。

「いい決闘だったぜ、キリト。こんな楽しかったのは久しぶりだ」

 その手を強く握り、キリトは答える。

「このバトルジャンキーが。まあ、楽しかったのは認める」

 二人は背中を合わせて座り、しばらく黙っていた。しばらくして、黙っていた口をゲツガのほうから開く。

「キリト、賭けは無かったとして、お前に話したいことがある」

「賭けなしってお前、結局話すつもりだったのかよ。とりあえず聞いてやるよ」

 キリトがそう言うとゲツガは話す。

「キリト……実は俺……一回死んだんだ」

「はあ!?意味わかんねえよ、そんな話」

「本当なんだ。戦士の墓場ってあるだろ?」

「ああ、あの不人気スポットの」

「そこでノイズのせいで、どこかバグステージ見たいなところへ落ちたんだ。ようやく脱出できるってところで、そこにいたモンスターの《ブラッド・インへレスモンスター》にHPを全部削られて死んだんだ。だけど、ノイズが体全体にかかったような感じがするとHPが少しだけ残った状態で、変な感じになったんだ」

 そして自分が生き残って帰ったこと、生命の碑の自分の場所だけノイズがかかり見えないこと、クラインに話したことと話してない部分も全部話した。

「……そんなことがあったのか」

 キリトが静かに言う。

「信じられないだろうが事実なんだ」

「信じられない……けど、お前は俺に対して嘘はあんまりつかないもんな。お前の言ったこと信じるよ」

「ありがとな」

 そう言って空を見上げる。上には空が広がってるはずだが、上の層の底辺が見える。後、六十七層という、気の遠くなる様な数ダンジョンをクリアしなければならないとなると、考えると目が眩みそうになる。しかし、今は、着々とほぼ確実にクリアしていってる。何年たとうとココから脱出することが目標だ。

「キリト。後どれくらいでこの城から脱出できると思う?」

「ん?……そうだな……後二・三年はかかるかもな。人数の問題とかもあるし……強すぎるモンスターとかで苦戦を強いられることも考えたらそれぐらいかかるんじゃないか?」

「そうか。そうだよな……まあ、これからはお前も参加するんだろうし、大丈夫だろ。背中は預けたぜ、相棒」

「わかったよ、相棒」

 そう言ったあと、ゲツガは立ち上がる。

「行くのか?」

「ああ、これからもマッピングやクエストクリアに貢献しないといけないからな」

「ったく、お前は攻略が好きだな。まあ、そのおかげで結構早く攻略できてるんだけどな。死なないように頑張れよ」

 キリトはそう言って、手を振ってくる。

「おう!」

 力強い返事を返して、ゲツガは去っていった。 
 

 
後書き
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