カジノ王
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第五章
「これでも足りないかも知れないしな」
「おいおい、そこまでしてもか」
「まだ足りないか」
「そこまでしても」
「その時はまた金を稼いでくるしやり方も出す」
そうしてというのだ。
「とにかく、アメリカ人であってアメリカ人でない俺達はな」
「とことんまでしないとか」
「無理なんだな」
「飼い殺しの立場を抜け出せない」
「徹底的にしないと」
「ギャンブルはすれすれだよ」
犯罪、裏社会とだ。ジェロニモは真剣な顔でこのことも指摘した。
「けれどな」
「俺達はそのすれすれでもしないとか」
「どうにもならないのがか」
「現実か」
「そうなんだよ」
ジェロニモは少し皮肉めいた笑みになって友人達に言った。
「俺達はな」
「他のアメリカ人と違ってか」
「そこまでしてか」
「やっとのし上がれる」
「そうなんだな」
「まあ何も出来ないよりましか?」
一人がこんなことを言った。
「カジノでも」
「だろうな、前は何も出来なかった」
フロンティアの時代からついこの前までは、とだ。ジェロニモはアメリカの歴史からその彼の言葉に応えた。
「それこそな」
「そうだよな、まだカジノが出来るだけな」
「ましだろうな」
「そうなるな」
「ああ、じゃあここをカジノの場所にしてな」
そして、というのだ。
「俺達も上がっていこうぜ」
「そうしてだな」
「これから」
「俺達だって上がらないとな」
例えネイティウだとしても、というのだ。
「だからやろうぜ」
「ああ、これからな」
「やっていくか」
友人達も応えた、彼等の目には光が宿っていた。
人を集め小さいながらもホテルやレストラン、風俗店等も置いていって宣伝もしてだった。カジノに人を呼んだ。そして違法すれすれのこともした。
そうして居留地は以前とは見違えるまでに賑やかなものとなった。ジェロニモはその中でネイティブ達の顔役にまでなった。
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