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エコロジー

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第三章

「環境とはね」
「少し違うか?」
「ううん、大企業の横暴を許すな」
「ええと、企業が環境を破壊している?」
「ちょっとね」
「確かに水俣病とかあるけれどな」
 二人は勉強して公害のこと、そしてその被害のことも知った。それでこの会報やビラのことはわかった。だが。
 それでもだ、首を傾げさせて言うのだった。
「最近企業の方も」
「こういうことは気をつけてるだろ」
「さもないと評判が悪くなって」
「売上とかが落ちるからな」
 二人はこのことを自然に理解していた。
「評判が悪い店は潰れるから」
「どんな店でもな」
「だからね」
「こうしたことはないだろ」
 それで、というのだ。
「今時ね」
「大企業の横暴とかって」
「ちょっとこれって」
「環境じゃないんじゃないのか?」 
 こう疑問に思うのだった、だが。
 逵本や但馬に聞いてもだ、二人はそれこそが環境問題の為の活動だと言うだけだった。そして。
 二人はデモにも参加した、それは。
 原発反対のデモだった、そのデモもだ。
 二人は原発が環境問題そのものということもわかっていた、放射能は恐ろしい。しかしそのデモの中で。
 ふとだ、真宙は赤い掛け軸に白く書かれている言葉を見てだ、佑樹にこっそりと囁いた。
「あののぼりだけれど」
「どうしたんだよ」
「うん、あそこにあるね」
 そののぼりを指差しつつ囁くのだった。
「あれって何かな」
「何だ?参政権?」
「外国人にね」
「これ原発反対デモだよな」
「その筈だよね」
「何で参政権なんだ?」
 佑樹も訳がわからず言う。
「関係ないだろ」
「どう考えてもね」
「それにな、俺な」
 佑樹もこっそりとだ、真宙に話した。
「このデモおかしいって思うんだよ」
「何が?」
「ああ、普通の雰囲気じゃないだろ」
 こう真宙に囁いたのだ。
「どうもな」
「そういえば確かに」 
 真宙も周りを見た、見ればだ。
 赤い垂れ幕や旗が多くそこにだ。
 様々な過激なスローガンが書かれていた、しかも。
「打倒!」
「粉砕!」
「闘争!」
「勝利!」
 こんな言葉ばかり叫ばれ拳さえ掲げられている。ヘルメットを被り棒まで持ってプラカードを振り回している者すらいる。
 その様子を見てだ、真宙も佑樹に囁いた。
「そうだよね」
「これ平和的じゃないだろ」
「環境保護ってね」
「ここまでする必要あるか?」
「ないと思うよ、僕は」 
 これが真宙の考えだった。
「いいことならね」
「普通に穏やかに話してな」
「それで相手にわかってもらえばいいよね」
「そうだろ、何でな」
 佑樹もこう言うのだった。
「闘争とか勝利とかな」
「叫ぶ必要あるのかな」
「しかも何で参政権なんだ?」 
「環境と全然関係ないよね」
「ああ、このデモおかしいぜ」
「関係ないことまで言ってるし妙に過激で」
「何かあるんじゃないのか?」
 二人はデモの中にいて明らかに違和感を感じていた、そしてだった。 
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