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冷たそうで

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第四章

「最初はさりげなくね」
「そうね、声をかけてね」
「反応を見てね」
「それからよね」
「実際にどうなのか」
「それを見てからね」
 こう慎重に行こうというのだ、そうしてだった。
 実際にだ、彼女達はだった。
 この日は何もしなかった、そして。
 その次の日にだ、部活の朝練を終えてクラスに入って来た景子にだ、彼女達は景子が自分の席に座って本を開いたところで声をかけた。
「あの、川西さん」
「ちょっといい?」
「何?」
 声をかけるとだ、すぐにだった。
 景子は彼女達に応えてだ、顔を向けて来ると共に。
 声も出して来た、その声は綾や図書委員の下級生の娘が言った通り。
 明るい声だった、その声で言って来たのだった。
「何かあるの?」
「川西さんが今読んでる本ね」
「何の本なの?」
「ライトノベルなの、タイトルはね」
 景子がライトノベルを読んでいること、そしてそのライトノベルのタイトルも聞いてだ、クラスメイト達はまずは意外だと思った。
 それでだ、お互いに顔を見合わせてだ、こう話すのだった。
「川西さんがねえ」
「そのラノベ読むなんてね」
「意外よね」
「そうよね」
「面白いわよ」
 明るく言う景子だった、綾達の言う通り。
「この作品ね」
「そうそう、アニメ化したしね」
「アニメの方も面白いしね」
「アニメの方は観ていないけれど」
 景子はさらに話に乗って来た、やはり声も表情も明るい。
「面白いみたいね」
「そうなの、アニメの方もなの」
「面白いのね」
「そう聞いてるわ」
「そうなのね、それでね」
「他にも読んでるのある?」
「ええ、他にはね」
 景子はクラスメイト達に応えて話をした、この時の景子は彼女達が知っている景子ではなかった。全く違っていた。
「ゲームの攻略本も」
「えっ、景子ちゃんゲームするの」
「そうだったの」
「野球ゲームとかね。チームは阪神よ」
「ああ、阪神ファンなの」
「そうなの」
「そう、野球はやっぱり阪神よね」
 こうも言う景子だった、しかも満面の笑顔で。 
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