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ダウンタウンすと~り~

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第四章

 父と兄もいた、二人は私を見るなりこう言ってきた。
「おい、ソース付いてるぞ」
「口にな」
「あっ、付いてるの」
「青海苔もあるぞ」
「またあそこでもんじゃ食ってたんだな」
「ええ、悪い?」
 私は二人にこう返しながら自分の席に着いた。もうちゃぶ台にはコロッケとお味噌汁にもやしとほうれん草のお浸し、それに白い御飯がある。母が置いてくれたものだ。
 その御飯とおかず達を見ながらだ、私は父と兄に言った。
「別にいいでしょ、私がもんじゃ食べても」
「何でそこでホットケーキとかじゃないんだよ」
 兄は口を歪めさせて私に抗議めいて言ってきた。
「どうせもんじゃとサイダーだろ」
「そうよ、それも飲んだわ」
「全く、色気がないな」
「色気って何よ」
「だから女の子の色気だよ」
 兄は自分の皿にコロッケを箸で取ってその上にソースをかけつつ言った。
「もんじゃじゃないだろ」
「お兄ちゃんだってもんじゃ好きでしょ」
「女子高生だと喫茶店だろ」
 そこにあるものだというのだ。
「そこでな、ケーキなりクレープなりな」
「あんなのじゃお腹にたまらないわよ」
 私は兄に自分のお皿にコロッケをお箸で取りつつこう返した。
「だからもんじゃなの」
「歯に青海苔付いていてもか」
「別にいいじゃない、それも」
「ったく、幾つになっても色気ないな」
「おい、秋奈」
 今度は父が私に言ってきた。右手には箸、左手にはお味噌汁の椀がある。
「とにかく御前もんじゃ食ったんだな」
「そうよ」
「一人じゃないよな」
「正典とよ」
「ああ、それならいい」
 このことを確認してきた、いつものことだ。
「あいつならな」
「あいつって」
「赤ん坊の頃から知ってるからな」
 だからあいつでもいいというのだ、他所の家の子供でも。
「別にこの呼び名でもいいだろ」
「だからっていうのね」
「そうだ、それで正典は元気か?」
「相変わらずよ」
「それならいいがな、それじゃあな」
「それじゃあって?」
「あいつに今度な」
 野菜の浸しと一緒に出されている梅干を箸で取って自分の皿に入れている。そうしながらこんなことを言った。
「言っておきたいことがあってな」
「怒るっていうの?」
「いや、御前がな」
「私が?」
「馬鹿なことをしてもな」
 私がだ、そうしてもだというのだった。
「笑顔で許すのが男だってな」
「何よ、それ」
「御前がそんなのだからだよ」
 父はまた私に言った。
「口にソース付けてる様な女の子だから」
「お父さんもそう言うのね」
「当たり前だ、たまには喫茶店でコーヒーでも飲んでな」
「ケーキを食べろっていうのね」
「そうしたことをしようと思わないのか」
「ケーキは好きだけれど」
 それでもだった、ついでに言うとコーヒーも。
「喫茶店で洒落たとかいうのは」
「好きじゃないか」
「柄じゃないわよ」
「じゃあ喫茶店には行かないのか、これからも」
「喫茶店に行ったらね」
 その時どうしているかもだ、私は言った。
「カレーライスでしょ、それかオムライスよ」
「そんなものは洋食屋で食え」
「嫌よ、お腹にたまるもの食べないと」
 私は気が済まない、そうした性分だ。 
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