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ペー族の服

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第三章

「その赤い靴は」
「百節靴です」
 女の子はすぐに答えた。
「可愛いですよね」
「ええ、靴もね」
「そうですよね、あと服のお花は」
「桃ね」
「はい、そうです」
 まさにその花だというのだ。
「桃です」
「やっぱり桃はね」
「縁起がいいお花なので」
「それでなのね」
「私達も服に飾っています」
 そうしているというのだ。
「こうして」
「そうなのね、あと」
「あと?」
「その帽子も」
 むしろ服よりも華やかだ、上にいくにつれて広くなっていて鉢の様な形だ。
 下の方は服と同じ配色になっているが服よりも華やかでだ、縁の一番下のところが様々な花模様で奇麗に飾られていて。
 実に可愛らしい、女の子にも似合っている。
 その帽子も見てだ、白菊は問うたのだ。
「いいわね、特に」
「特に?」
「白い房が付いているけれど」
 それが左に出て少女の顔の横にあった。
「それが特にね」
「この帽子はです」
 女の子はその帽子を指差しつつ白菊に説明した。
「形は月なんです」
「月なの」
「湖に映る月なんです」
「それを再現しているのね」
「はい、それで」
 ここで女の子は二人に背中を向けてだ、帽子の後ろにある白く立っている飾りを指差した、それはというと。
「これは雪です」
「そういえばここの山は」
「雪が沢山残ってますね」
「それをなのね」
「表しています」
 こう話すのだった。
「それです、あと帽子の模様は」
「花よね」
「あっ、わかりますか」
「ええ、服にもあるしね」
 花模様がというのだ。
「そうだと思ったけれど」
「そうです、花です」
「それで飾ってるのね」
「そうなんです、それと」
 二人に再び向き直って今度はだった。
 白い房を自分の左手に取ってだ、こう話した。
「ミュータっていうんですが、この房」
「ミュータ?」
「そう呼ぶのね」
「そうです、この房に男の人が触りますと」
 その行為はというと。
「プロポーズ、告白になります」
「面白いな、それは」
 女の子のその説明を聞いてだ、建成も目を丸くさせて言った。
「それに触るとなんだ」
「告白です」
「じゃあ僕は君のミュータには触れられないな」
「若しそれをすれば」
 女の子の方もにこりと笑ってだ、建成に答えた。
「浮気ですね」
「重婚だね」
「奥さんですよね、そちらの方」
「そうだよ」
 建成も白菊を見つつ女の子に笑顔で答える。
「そして僕は愛妻家であり恐妻家だよ」
「恐妻家は余計よ」
 白菊はくすりと笑って建成に話を合わせた
「とにかく。結婚してるのならね」
「そう、君のミュータには触れられないな」
「そうですよね、ですが」
 それでもとだ、女の子はここでだった。
 二人にだ、笑顔で言った。
「この服どうですか?」
「土産ものに」
「どうかっていうのね」
「はい、安くしておきますよ」
 女の子にとっての本題に入って言うのだった。 
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