光明の魔導師〜眩き妖精の物語〜
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ちょっと長めのプロローグ
------------俺は、この生き方で正しかったんだろうか
刃が胸に突き刺さる。
------------俺は、結局何もできないままだったな
刃が喉笛を切り裂く。
------------嗚呼、畜生が。
倒れた所に、燃えた木材が降り注ぐ。
------------嗚呼、俺は死ぬんだな…
視界が暗転し、俺は静かに目を閉じた。
・・・・・・・・・・・・・・・・
「……ろ………きろ………」
うるせえ。俺は寝てんだよ、静かにしやがれ
「………きろ…………起………ろ………」
体を揺さぶるんじゃねえ。ああうるせえ。
「起きろと言っておろうがっっ!!!!!」
「ぬおおお!!うるせええええ!!誰だコラ!!!」
ってあれ?どこだここ?妙に真っ白だし。てか俺、さっき死んだだろ。ああそっか、あの世とか言うところか。地獄か天国か、じゃあ目の前のムキムキジジイは裁判官的な何かか。
「……俺、審判とかそーゆーのいいんで、天国でいいっすか?」
「一体お主の思考回路はどうなっておるんじゃ…」
目の前のムキムキジジイは頭を押さえてため息をつく。つかなんで上裸なんだよ。腰に巻いてんの上着だろ?多分。着ろよ。暑苦しいよ。
「で、あんたは一体誰だ?ついでにここはどこだ?俺は死んだはずだがどうなっている?」
「質問の多いやつじゃのう…まあそれも当然じゃろうて。仕方ない、まずワシは光皇神。この世界に"魔法"を作り出した者じゃ。そしてここはワシが地上の魔法を一括管理している空間、人間が天界と呼ぶところじゃ。」
ナニヲイッテイル?
「つまるところ、死にかけだった主の魂をいただいての、この空間へ持って来させて貰ったというわけじゃ。」
「オーケイ、信じられんが仮に、仮にだ。いいか?仮にだぞ。あんたがそのえーっと…光皇神とかいう魔法を作り出したヤツで、俺の魂をとっ捕まえて持ってきたとして、だ。」
そう。一番の疑問はそこなのだ。
「なんでそんなことを?」
「いい質問じゃな…」
すると目の前のジジイは険しい顔つきになり、腕を組んで説明を始める。いや、だから服……いいよいいよ、もういいよ。
「ワシのこの体はとうの昔に朽ち果てておる。今はほとんど残滓に近い。この体じゃと人間界に行くことはできんのじゃ。じゃがあくまでこれは予測じゃが、近々人間界で大きな動乱が起こる。不穏な空気も流れておるしの。」
そっから先はあんま説明を聞いていない。面倒くさいのである。黒魔法が〜とか、アカシャの書が〜とか出た辺りから考えるのを放棄した。が、そこでジジイはとんでもないワードを発しやがった。
「つまりそのゼレフがの、まだ生きておっての、」
「ちょっと待てジジイ、今ゼレフっつったか!?」
「そうじゃ。」
「ヤツは300年前近くの魔導師だ。生きてるわけがねえ。」
「いや、生きておるんじゃ。死に場所を求めての。」
ありえない…そう、ありえないのである。
「さて、ワシの話はこの辺にしよう。そろそろお主の話を聞かせてくれぬか?」
「俺の話だあ?」
「そうじゃ。覚えてる範囲でいいんじゃが。」
「なまえは……いかん、思い出せん。歳は確か17で死んだな。魔法は使わなかったというより使えなかった。孤児院の出だからロクに教わりもしなかったしな。村が変なやつらに襲われて、女の子を避難船に乗っけた少し後に、残りの住人探してる間に死んだかな。」
「ちなみにお主の死体は10箇所以上刺されて斬られて、最後は燃えた家屋の下敷きになっておったの。」
オーバーキルすぎんだろ。こえーよ。
あ、そういえば
「俺が助けて避難船乗っけた女の子は?無事か?」
「大丈夫じゃったよ。」
そうか……よかった………
「さて、先ほど説明した通り、ワシは人間界には行けん。そこでお主を呼び出したんじゃ。」
「そりゃまたなんで」
「手近に若くて魔法を使わない、純粋な魂がおったからじゃ」
「で、俺に何をさせたいんだ?いい加減話してくんねーか?」
「お主にはもう一度人間界に戻ってもらい、人間界の事を見守っていって欲しいのじゃ。」
「ほほう、話しが2、3段ぶっ飛んだが、つまり俺に生き返れと?」
「そうじゃ。イヤとは言わせんぞ。もうお主の体の構築はすでに始まっている。」
「さすが神、なんでもありだな」
「それもただの肉体ではない。ワシの残った肉体を全てお主の体の素材として使っておる。」
「あんたはどうなる?」
「なに、ワシはもう人間界には行けん。体をこのまま何もせずに朽ち果てさせるのも勿体無い。ワシは天界に居続ける。」
つまるところニートっすね、わかります。
「じゃが今回の件はあくまでもワシの都合。ワシが作り上げた魔法で危うくなった人間界の事を任せようと、輪廻の輪へと還元されるはずの魂をとっ捕まえてきてしまった。この老いぼれのワガママのために。」
すまなそうにうつむきながら、俺に語るジジイ……いや、神か。
「故に!」
急にでかい声出すな、こえーな!
「お主を信じ、お主にはワシの力そのものを与えよう!」
「ジジイのチカラ?」
「そうじゃ。この世界にある"魔法"、"呪法"や、それ以外のどれにも当てはまらん、正真正銘の神の力"界法"じゃ!人間では"神通力"と呼ぶ者もいるようじゃのう。」
「ほほう、そいつは太っ腹なこったな。だがあいにくと俺は魔法なんざ使ったこともねえし、ましてやそんな大仰なモン使いこなせるとは思わねえんだが」
「そのためにまずは一つ、ワシの肉体を素材として作ったお主の体がある。なに、粉々に吹き飛ばされない限りあの肉体は何度でも再生する。」
は?ゾンビかなんかかよ?
「それにワシが直接、お主にその力の使い方を指南しよう。この天界でな。」
こうして俺の、奇妙なやり直し人生が始まったのであった。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
あれから、本当に色々な事があった。まずは体術を徹底的に叩き込まれた。血反吐吐くくらいに。ちくしょうなんで俺がって言いたかったがあのジジイ怖い。切れると蝶怖い。
武器の訓練もした。色々な武器を試してみたが、俺には少し長めのツインサーベルが一番しっくりきた。
その先はもう、魔法の練習だった。いや、界法か。本当に便利だな。ちなみにこれ、消費魔力がヤヴァイ。蝶ヤヴァイ。どれくらいヤヴァイかというと、小技一つが禁忌魔法級の消費魔力だったり。界法こえー。
だがこの問題は、現在人間界で生成中の俺の体ではクリアされるそうだ。というのも、ジジイの作り出した"太陽核"とやらを、魔力の精製機関の代わりに入れたらしい。通常の魔導師はこの精製機関に大気中のエーテルナノを無意識に取り込み、それを自分の魔力に変換して貯蔵しているらしいのだが俺は違う。体の中に常に魔力の太陽のような、莫大な魔力を恒久的に精製する機関"太陽核"が入っている。
そして最後に、俺はジジイにある事を頼んだ。
「おいジジイ、一つ頼みがある」
「なんじゃ」
「ジジイの持ってる魔導書、何冊か人間界に持ってっていいか?」
「それはならん。じゃが一応理由を聞こうか」
「俺のこの界法、多分目立ちすぎるんだよな。向こうだと。最初の方は恐らくそれでもいいが、目立ちすぎると面倒だしなにより動きづらい。そこで、ふつうの魔法を覚えて、いざって時の界法って感じにしてーんだ。」
「ふむ……なるほど………じゃが、書物を人間界へと持っていくことはならん。ルール違反じゃ。」
「ちぇー」
「じゃが持っていかなければいい。知識のみを頭にダウンロードしていくのは構わん。」
「てことは?」
「適当に2、3冊魔導書を持ってこい。ワシがお主の体の脳みそにダウンロードしてやろう。」
お、いいね。
「じゃあこれとこれで。」
そう言って取り出した書物。一つは「古代魔法:陣形速記」
現存するどの魔法よりも、どんなに優れた魔導師よりも正確に、素早く魔法陣を書く方法が記された本。
もう一つは
「禁忌魔法:魔法陣編」
人間界で何らかの理由で禁忌とされた魔法の、魔法陣が記された本である。
「またなんでこの本を?」
「禁忌魔法の書物を漁ってたんだがな、使えそうなのがこれしかなかった。つかなんで禁忌魔法の本とかしかねえんだ?」
「人間界で禁忌とされた魔法は神の元へ還る。まあゼレフが随分前に持って行きよって、向こうじゃロストマジックだのと言われておるそうじゃが」
悲しそうな顔をするジジイ。セキュリティガバガバすぎんだろ。
「さて、お主の体ももう準備完了じゃ。次天界で会った時には土産話でも聞かせてくれ。」
「俺、本当に大丈夫かな?」
「最強の力を与えた。最高の知識も与えた。残りの足りないものは人間界での経験じゃ。それが埋めてくれる。」
「そうか……」
「生きよ、転生者。フーガ・フォーマルハウトよ。」
「ありがとう。世話んなったな。今度こっち来るときは楽しい話を聞かせてやるからよ。」
「ああ、楽しみじゃなあ……」
お互い笑顔で、そして景色と意識が薄れていく--------------
X777年、転生者であるフーガ・フォーマルハウトの冒険が始まる
後書き
初めまして!分かりにくいところ、読み苦しいところなどあれば感想でジャンジャン言ってください!駄文、文章力皆無、めちゃくちゃ設定、亀更新ですが、よろしくお願いします!
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