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FOOLのアルカニスト

作者:刹那
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合体魔法

 
前書き
合体魔法については、私の勝手な解釈です。公式のものではありません。
また、後書きでのステータス表記について、友人から読むのめんどいとか、流れをきるとか指摘を受けましたので、今後どうするかは考え中です。よければ意見を頂けるとありがたいです。
ただ、原作を知らない人には、魔法とかスキルとかはわけわからないと思いますので、作中である程度描写もしますが、それとは別に後書きで説明をいれるつもりではいます。 

 
 「主様も雷鋼の糞爺も毎日毎日よく飽きませんよねー。そうは思いませんか、セイオウボ?」

 「妾にふるでない化け狐。ぬしこそ、その言何度目じゃ?坊がここに来て以来、毎日繰り返されていることくらいとうに知っておろうに。大体にして、雷鋼様の慈悲によって生かされておきながら、その言いよう……恥を知るがいい」

 「えー、そんな事言われても、主様と違ってあの糞爺にはこれっぽちも魅力を感じませんし、力を根こそぎ奪われた恨みもありますから、その首をねじ切りたい思いはあっても、敬意も糞もありませんよ」

 「慮外者が……」

 チェフェイの完全に開き直った言に、呆れたように嘆息して口を閉ざす西王母。そんな両者の前では、主同士が絶賛戦闘中だ。まあ戦闘とは言っても、戦闘と言う名の鍛錬なのだが、互いに真剣で斬り合い、普通に死ぬことすら想定されているそれは、最早ただの鍛錬とはいえないであろう。

 「それにしても、私を召喚制御した状態でのペルソナ召喚とか、あの糞爺も大概無茶を言いますよね」

 「確かに困難であることは否定はせぬが、坊には必要なことじゃ。なにより、坊自身が望んでいることでもあるのじゃからな」

 そう、両者は傍観しているからと言って遊んでいるわけではない。西王母は常の治療&蘇生役というのもあるが、今回はそれにチェフェイの監視役も含まれていた。監視役とはいっても、チェフェイの行動を監視しているわけではない。西王母は、チェフェイの制御がされているかをMAG力場を通して監視しているのだ。
 チェフェイの方は、鍛錬の前に「戦闘を観察しろ、但し介入は許さない」という命令を徹より受けており、それを守って両者の戦闘を傍観に徹しているのだ。己も介入して、雷鋼に痛撃を加えたいという意思を殺しながら。

 すなわち、チェフェイが戦闘に介入した時点でこの鍛錬は失敗なのだ。この鍛錬の主題は、直接契約したチェフェイを己が制御下においたまま、ペルソナを召喚してみせることであるのだから。COMPを介しての契約と異なり、直接契約での召喚には、徹自身の制御力が問題となる。一体までなら制御可能なことは、すでに確認済みであったが、そこには重大な問題があった。それはペルソナを召喚しようとすると制御が甘くなるということであった。COMPを介しての二体制御ならば、ペルソナ召喚は何の枷にもならなかったが、直接契約下のチェフェイの召喚制御では重大な枷となるのだった。

 制御が甘くなる、言葉だけなら大したことではないが、実際は大事である。それは、召喚契約主である徹の意思に反することができるということと同義なのだから。すなわち、徹の隙を突いて、徹自身を殺傷したりすることができるのだから。そして、それは悪魔召喚士としては絶対に許されないことだ。ゆえにこそのこの鍛錬であった。

 「やっぱり今回ばかりは、主様も苦戦していますね。あ、また制御が甘くなりかけました」

 見れば徹がなにかしようとして、慌てて中断したことが分かるような素振りを見せている。恐らくは、ペルソナ召喚を試みようとして、制御が甘くなりかけたのに気づき、慌てて中断したのだろう。

 「ふむ、今のは危ないところよのう。後僅かで、化け狐の枷が外れるところよ」

 「そうですねー、今ので八度目でしたっけ?」

 「うむ。もっとも、試みた回数だけなら、その倍を軽くゆくがのう」

 その危うさにハラハラしながら、安堵の溜息をつく西王母をよそに、肝心のチェフェイは愉快げだ。他ならぬ彼女の主の苦境であるというのに、彼女はそれを楽しんでいるかのようだった。

 「ぬしは少しは心配ではないのか?坊は他ならぬぬしの主ではないか」

 「心配?不要ですね。私の主ならば、この程度の苦境容易く乗り越えていただかなくては。それに、己の主が自身の為に、死力を尽くすというのは、女としてこれ以上はない喜悦でしょう」

 西王母の苦言をどこ吹く風で受け流すチェフェイ。確かに、この鍛錬はチェフェイ召喚時に徹自身も全力で戦えるようにするためのものであるから。彼女と共に戦うためと言う意味ではあながち間違っていないだろう。である以上、チェフェイにとって、己の主たる男がその為に白刃を交わし血を流しているのから、その様は喜びと悦楽を生む。その喜悦に身を震わせてみせすらするチェフェイの表情は、これ以上なく淫靡であった。

 「汚らわしい化け狐めが。坊もとんだ悪女にひっかかったものじゃ」

 その様にほんの少しばかりの理解とそれ以上の嫌悪で西王母はぼやく。やはりどこまでも、中国古来より信仰されてきた死の女神と中国最古の悪女は相容れないらしかった。




 外野はさておき、当事者である徹はそれどころではない。制御が甘くなる前に中断したとはいえ、それは致命的な隙となる。ましてや、相手は彼の師である雷鋼だ。その絶好の隙を見逃すはずもない。ここぞとばかりに繰り出される斬撃を徹は必死に受け流す。まともに受ければ折れる。刀どころか骨までも。雷鋼の剛撃は、いくら鍛えた所で子供の体躯である徹には耐え切れるはずもないし、そもそも日本刀は受けるのには向いていない。斬ることに最適化された武器である日本刀は攻撃面には優れていても、防御面では西洋剣に大き劣る。西洋剣が重量で断ち切るならば、日本刀は切れ味と腕で斬るからである。ゆえに、単純に受け止めるというのは日本刀には許されていない。いや、同じ日本刀、あるいは重量が同じ武器ならばそれもできようが、雷鋼が扱うのは太極剣であり、両刃の肉厚な剣である。徹の愛刀『長篠一文字』とは比べくもない頑丈さだ。

 極限まで練られた体術に組み込まれた剣術、それが雷鋼の技である。基本が相手が武器持ちを想定した中国拳法であるがゆえに、その動きはどこまでも絶妙だ。武器持ちの天敵ともいえる彼が本気をだせば、徹などものの十秒で終わる。にも関わらず、それなりにやりあえているのは、雷鋼が拳打を封印し、偏に手加減している他ならない。それでも徹にとっては十分すぎる脅威であったが……。

 捌くのが精一杯で反撃の糸口など全く見つけられない。起死回生を狙うのならば、ペルソナの高速召喚による不意をついての反撃だが、それを試みる度にチェフェイとのMAGのラインが揺らいで、実行には至らない。それどころか、余計な隙となって、雷鋼の逆撃を呼ぶことになるという悪循環になってしまっているのが現状である。

 「ちっ、またかよ!」

 度重なる失敗に毒づく徹だが、雷鋼の攻撃は緩まるところをしらない。

 「ぼやいている暇があるとは随分余裕よな。ほらほら、気を抜いとると死ぬぞ」

 「そんなことわかってるよ、糞爺が!」

 己へのやるせなさと雷鋼への怒りで大ぶりになりかけるが、努めて斬撃を小さくコンパクトにまとめて捌く徹。雷鋼の挑発にのれば、即座に死なのだ。それはこの4年間の鍛錬で嫌というほど骨身に染みている。

 (とはいえ、どうする?このままじゃジリ貧だ。一か八かを狙っても失敗するのが目に見えてる)

 実際問題、ジリ貧なのは徹自身も認めざるをえない事実であった。このままなら、遠からず体力がつきて斬殺されることは間違いない。正式な弟子となった今では、ノルマをこなせなくとも見捨てられることはないが、全く手も足もでないというのは癪である。それに多少なりとも、何らかの成果を出したいというのが人情である。

 (制御力なんて、土壇場で上がるようなもんじゃないし、こんな事ならCOMPでの召喚制御との差異とか調べとくべきだった……って、それだ!それで制御の感を掴もう。まあ、現状では何の役にも立たないが……。さて、どうしたものかね)

 制御を鍛える方法は思いついたが、現状を打破する方法には繋がらない。さて、どうしたのものかと頭を悩ませる徹。

 (もうこの際、何かやってみたかったことをやってみるというのはどうだ?それも師匠を納得させるだけのものを。うーむ、なにがあったか?ペルソナ合体、ミックスレイドって、どっちも『ワイルド』限定だし、できるわけない。悪魔合体にペルソナ変異とかもこの場じゃ不可能だろうし……いや待てよ、合体と変異?そうだ、合体魔法だ!イゴールも言ってたし、できないわけじゃないはずだ。
 しかし、あれはペルソナの共鳴現象を利用したものらしいし、仲魔とはいえ悪魔とでできるのか?いやいや、なんでもやってみるものだ。できないと決めつけたら、できるものもできない。直接契約しているチェフェイなら、可能性がないわけじゃないはずだ)

 今回の課題は諦め、とりあえず現状を打破し、雷鋼を一応納得させることに目的をかえた徹は、その為の命令をチェフェイに送ったのだった。



 「はい?何をお考えなのですか、主様!」

 主からきた突然の命令、その余りの内容にチェフェイは思わず戸惑いの声を上げた。

 「いきなりなんなのじゃ?坊がどうかしたのか?」

 「いえ、雷鋼への攻撃とかなら喜んでだったんですけど、この命令の内容は……」

 理解出来ないと言う言葉を出さずに、主である徹をみやるチェフェイ。正気を疑う気すらある。それだけ、チェフェイは主の命令に困惑していた。

 それも無理も無いことである。徹がチェフェイに下した命令とは、自身へと『ドルミナー』をかけろというものだったからである。『ドルミナー』とは敵全体を睡眠状態におく魔法である。相手である雷鋼に対してならともかく、自身に対してかけろとは自殺行為としか思えない。それで眠ってしまえば、当然雷鋼に殺されるだろうし、よしんば抵抗に成功したとしてもそれはどうしようもない隙となるから、やはり殺されるだろう。そんなわけで、チェフェイには理解不能な命令であった。

 実行を躊躇うチェフェイだが、徹からは必ず実行するようにという強い意思が伝わってくる。この命令に抗うのは、並大抵のことでは無理であることを悟ったチェフェイは、半ばやけになってそれを実行した。

 「ああ、もう!どうなっても知りませんからね、ドルミナー!」

 常の妖艶さはどこにいったのか、やけっぱちな叫びと共にその魔法は放たれたのだった。



 突如行われた介入に、雷鋼は驚かなかった。雷鋼には、徹を相手にしてなお周囲の状況に注意を巡らす余裕があったからである。だから、チェフェイの突然の参戦は、彼にとって驚きでもなんでもない。というか、そもそも雷鋼はチェフェイの参戦を禁じていないのだ。雷鋼が徹に課したのは、『チェフェイを召喚制御しながら、ペルソナを召喚してみせること』であり、それ以上でもそれ以下でもない。すなわち、チェフェイを召喚制御した状態にして、ペルソナさえ召喚できるならば、チェフェイがなにをしてようが構わなかったのであるから。

 チェフェイを傍観させたのは他ならぬ徹の判断であり、そこに雷鋼の意思はない。むしろ、彼はこれを悪手とすら思っていた。奇襲という形でいずれ介入させるにしても、雷鋼の不意をつくことは不可能だからだ。そんわけで、その介入は意外でも何でもなく、不意をつくものではなかったのである。

 だから、突然の参戦に驚くこともなく、むしろ、雷鋼がようやくかという思いであったのは無理も無いことであった。初手としては悪くない手だと、評価すらしていた。流石の彼も、僅かとはいえ魔法による睡眠効果に抵抗するために力をさかねばならないのだから。

 しかし、次の瞬間雷鋼は驚愕に目を見開くことになる。なぜなら、その魔法の標的は雷鋼ではなく、他でもないチェフェイの主である徹だったのだから。そして、次に起こった出来事は、さらに彼の想定を遥かに超えた事態であった。



 チェフェイのやけっぱちな叫びが聞こえ、徹は僅かに微笑んだ。彼女の叫びが常とは似つかわしくなかったからである。余程、納得できない命令だったのだろう。まあ、己でも客観的に見てとんでもない命令しているという自覚が徹にはあったので、自粛したつもりだったが、叫びにMAGのラインから続いてきたチェフェイからの罵詈雑言の数々に笑ってしまうのは、どうしようもないことだった。

 その一方で、徹は集中の極地にあった。合体魔法を成功させるために、彼なりに努力していたのである。そも合体魔法は、ペルソナ同士の共鳴現象を利用して魔力の共鳴現象を起こさせるものだ。それをペルソナと悪魔でやろうというのだから、当然ペルソナの共鳴現象にかわる何かが必要だと徹は考えた。

 その結果、彼が考え出した代替はMAG力場を利用することだった。自身のMAG力場の波長をチェフェイに合わせることで、ペルソナの共鳴現象にかえ、魔力の共鳴現象を起こさせようというわけだ。これは幸いにも、直接契約であるがゆえに上手くいった。

 そして、かけられた魔法を取り込むようにペルソナを召喚する。徹の唯一無二の半身『トウヤ』を。使うスキルはすでに決定している。

 徹に睡眠効果を表すはずだったドルミナーは、ペルソナの飛ばそうとする針に吸収され、次の瞬間それは放たれた。ドルミナー+九十九針で、『夢見針・改』である。それは狙い過たず、あまりのことに棒立ちの雷鋼を直撃し、吹き飛ばす。

 (伊達に四六時中召喚しているわけでじゃない。今回はうまくいったとはいえ、ゴブリンとか他の奴だったら無理だったな。他の仲魔とやろうと思ったら、あらかじめMAG力場の波長を合わせる訓練をしなければ駄目だなこれは……。)

 その惨状を見ながら、冷静に考えを巡らす徹。雷鋼の心配などかけらもしていない。あれでどかなるようなやわな相手でないことを徹は嫌というほど知っているからである。無用な心配をするより、今後のことに考えを巡らす方が、より建設的で役に立つというものである。

 (それにしても、通常の九十九針よりも威力が上がっていたし、これも魔力の共鳴現象の賜物かね?今回はぶっつけだったが、実戦で使う際は事前に試しておくことが必要だな。じゃないと、危なかしくて使えたものじゃないな)

 「なんですか今の!どういうことか説明して下さい、主様!」

 その思索を中断させたのは、徹の仲魔チェフェイの勢い込んだ声であった。

 「ああ、そんなに急かさなくても、今説明するって……近い!近い!顔が近いぞチェフェイ!」

 徹が声に応じ、顔を向ければそこには好奇に彩られたそれでいて怒ったようなチェフェイの顔が至近距離にあった。後少し近ければ唇が重なってもおかしくない距離である。さしもの徹も大いに慌てた。

 「顔が近いくらいなんですか!なんでしたらキスでもしますか!とんでもない命令してきたと思ったら、あんなことを狙ってたなんて……あー、もう!私が納得いくまで一から十まで説明してもらいますからね!」

 だが、そんなことは関係ねえといわんばかりにさらに距離を詰めようとするチェフェイ。

 「待て待て待て!驚かせたようで悪かったし、説明もせずにとんでもない命令したのも悪かったよ。だから落ち着いてくれ」

 必死になって、チェフェイを宥めつつ接近を阻止する徹だったが、些か分が悪い。初めての試みだったせいか、思ったより消耗が激しかったのだ。そのせいで、思うように力が入らないからだった。

 「いちゃつくのはそこまでにせい。儂も説明して欲しいものじゃな。お前が何をしたのかをな」
  
 あわや押し切られるというところで徹を救ったのは雷鋼の鶴の一声であった。徹の予想通り、その体には傷一つない。

 「むー、いいところだったのに……また、邪魔してくれやがりましたね、この糞爺!当たり所悪く先の攻撃で死んでいればよかったのに」

 仕方なしに密着状態にあった体を離すチェフェイ。不機嫌そうにむくれた顔でぼやくが、当たり所が悪くというあたり、彼女も雷鋼の力量を認めてはいるようだ。

 「ふん、あの程度の攻撃で死ねる程やわな体しとらんわい。まともに受けたとはいえ、咄嗟に硬気功で強化した肉体ならば、あの程度の針どうということはないわ」

 「ちっ、化物爺め。死ねばいいのに」

 「主にだけは言われとうないわ、化け狐。で、徹よ。説明してもらおうか。お前が何をしたのかをな」

 ドロドロに怨嗟が篭ったチェフェイの言葉をこともげに流して、説明を促す雷鋼。

 「えーとですね……」

 徹は、合体魔法についての詳細を語った。己が思いついた代替策等も含めて全部を。

 「なるほどのう」

 「馬鹿ですか主様は?ああ、そうなんですね、馬鹿なんですね」

 考えたものだと感心する雷鋼を余所に、チェフェイは怒り心頭であった。

 「馬鹿って、お前……。いや、俺なりに勝算があって」

 「勝算?試したこともないことに命をかけるのが勝算?いいですか主様、それは勝算などとは言いません。博打というんです。博打に命をかけるのは古来より愚か者だけです!」

 「いや、それはその通りなんだが……。一応、できるという確信というか情報があってな」

 「ベルベットルームとやらですか?その長鼻さんが何者なのかは知りませんが、そんな胡散臭い奴のことをどうして素直に信じるんですか?!あんな博打をするくらいなら、最初から私と一緒に戦えばよかったんですよ!」

 「イゴールが胡散臭いとか……お前、言いたい放題だな。心配してくれるのはありがたいんだが、少し落ち着け」

 チェフェイのあまりの剣幕に驚く徹だが、逆にそれが彼を冷静にさせた。

 「むう、私は大変不満です。まだまだ全然言いたいりませんけど、結果がいい方に出た以上、これ以上は何を言っても無駄でしょう。だから、罰としてしばらく口を聞いてあげません」

 徹のなだめる言葉に不満気ながらも矛を収めるチェフェイ。しかし、彼女はやられ放しで済ませるようなおとなしい女ではなかった。言うが早いか、チェフェイは徹の影に飛び込み姿を消したのだった。

 「口を聞かないって、おい?チェフェイ?でてきてくれよ」

 慌てて徹は影に向かって声をかけるが、姿を現すどころか、声すら返ってこない。

 「ガハハハ、自業自得じゃな徹よ。女心と秋の空じゃ。そのうちに頭も冷えよう。今は、時が経つのを待つのじゃな。それにお前、あやつだけで済むと思ったら、大間違いじゃぞ」

 「へっ?」

 予想外の言葉に不思議そうな顔で聞き返す徹に雷鋼は神妙な顔で顎をしゃくって、背後を見るように促す。それにつられて背後を見た徹はそこで顔を蒼くして絶句した。

 「!!!」

 そこには怒り心頭の死の女神がいたのだから……。
 彼女の説教はとてつもなく長く、それでいて精神的に凄まじくきついものであったことを追記しておく。また、チェフェイは一週間ずっと召喚に応じず、声すら返さなかったそうな。 
 

 
後書き
[スキル解説]
ドルミナー:眠りを促す波長を放つ術(敵単体を「睡眠」状態にする)

九十九針 :無数の針を投げつける(敵単体に投具属性小ダメージ)

ドルミナー+九十九針⇒『夢見針・改』   
夢見針・改:睡眠作用のある針を無数に投げつける(投具属性中ダメージ+「睡眠」付与) 
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